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PFIの図解

PFI(Private-Finance-Initiative)を図解してみました。
この図解は「政策図解」という形式で書かれています。政策図解は、1枚で政策の基本的な情報をモデル化するものです。 

追記:
ついに「政策図解」が本になりました。これまでnoteで書いた記事を大幅加筆して生まれました。社会のしくみがみえてくる、50の政策を図解した本です。よければぜひご覧ください!

厳しい財政状況や人口減少、公共施設の老朽化などに対応しながら、地域経済を活性化させることは、多くの地方公共団体が抱える課題の一つです。
今回は、こうした課題に対応するため用いられる官民連携手法(PPP)の一つであるPFIについて紹介します。

それではどうぞ。

PFI

民間の資金やノウハウの活用により、公共施設等を設計・運営する仕組み

公園・学校・福祉施設・ゴミ処理施設など、私たちの生活は多くの公共施設によって支えられている。
それらは身近な存在である一方、公共施設がどのように作られ運営されているかを知る機会は多くないように思う。

そんな公共施設の運営は、実は行政だけではなく、民間企業も担っている、というと意外に思われるのではないだろうか。

今回紹介する「PFI(Private-Finance-Initiative)」は、民間企業に公共施設や公共サービスの業務を委託するという政策だ。

公共施設は通常、<設計・建築・維持・運営>などの業務ごと、かつ年度ごとに分けて、行政機関から民間企業に発注する場合が多い。
しかし、今回図解した「PFI」という手法では、全ての業務をまとめて行政機関から民間企業に発注する。行政機関が業務ごとに細かな仕様を定める必要がなく、民間企業が自分たちのノウハウや技術を柔軟に活用しやすい点が特徴だ。
この手法は、官民(行政機関と民間企業)が協働して、効率的かつ効果的に質の高い公共サービス提供を実現する考え方(PPP(Public-Private-Partnership))から来た手法の一つである。

では、どのような形でPFIが成り立っているのか、詳細を説明する。

PFI事業では、資金の調達から施設の建設・運営・維持管理に至る幅広い業務を担うため、設計会社・建築会社・維持管理会社など複数の企業が、1つのSPC(特別目的会社)を設立する。
SPCはそのPFI事業のみを行う単一目的会社で、従業員もいない、いわゆるペーパーカンパニーだ。

SPCは国や自治体などと契約(特定事業契約)を結ぶことにより、PFI事業の権利を獲得する。そして、構成メンバーである各社に業務を委託し、取りまとめながら事業を推進していく。
その際に必要な資金は、事業から得られる収益を担保に金融機関からの融資を受けたり(プロジェクト・ファイナンス)、出資者から出資を受けたりしている。

このようにして複数の民間企業の技術や資本を活用できるため、PFIには3つの効果が期待されている。(※1

効果①:低廉かつ良質な公共サービスが提供されること
効果②:公共サービスの提供における行政の関わり方の改革
効果③:民間の事業機会を創出することを通じ、経済の活性化に資すること

1999年にPFI法が制定されてから、20年以上が経った。
2020年度末までに実施されたPFI事業は累計で875件にのぼる。(※2
このうち最も多いのは​社会教育施設や文化施設などの<教育・文化領域>で、その後に<まちづくり領域(道路、公園、下水道施設、港湾施設等)><健康・環境領域(医療施設、廃棄物処理施設、斎場等)>が続く。

具体例として、山形県東根市の公益文化施設「まなびあテラス」の整備を見てみよう。

この事業は、図書館・美術館(市民ギャラリー)・市民活動支援センターで構成される公益文化施設とともに、都市公園も一体的に整備し、維持管理・運営を実施するものである。
設計企業・建設企業・維持管理企業・運営企業など計6社によってSPCが構成されており、事業期間は22年間(平成26年9月~令和18年10月)、約65億円での契約であった。(※3

交流や芸術文化の拠点としての役割を発揮することが期待されていることに加え、​​図書館にはIC予約本受け取り棚、市民活動支援センターには地域映像 アーカイブシステムを採用することなどにより、低コストで質の高い行政サービスの実現にも取り組んでいる。

(出典:内閣府 民間資金等活用事業推進室『PPP/PFI事例集』)

最後に今後の展望を考えてみよう。

政府は当初、2022年度末までにPPPおよびPFIの事業規模を21兆円とする目標を掲げていたが、2020年度末時点ですでに23.9兆円を超え、目標を3年前倒しで達成した。

しかし、PFIの取組はまだ道半ばといえる。

人口減少や新型コロナウイルス感染症への対応等により行政機関の財政状況が厳しさを増す中で、これから多くの公共施設等が老朽化による更新時期を迎える。
この状況において、良質な公共サービスの提供・財政健全化・地域経済の活性化を同時に実現する方法としてPFIはこれまで以上に有用な政策になるだろう。

政府は2022年度から10年間の事業規模目標を30兆円とする新たな計画を決定した。ノウハウを持つ専門家の派遣を増やすなどして、PFI未実施の自治体を中心に働きかけを強化する方針だ。

こうした追い風を受けることで、今後もPFIの活用が広がると考えられる。
今後どのような官民連携の取り組みが生まれるか、ぜひ注目してみてほしい。

▼参照記事
※1 https://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/aboutpfi/pfi_kouka.html 
   (内閣府HPより)
※2    https://www8.cao.go.jp/pfi/whatsnew/kiji/pdf/jigyoukensuu_kr2.pdf
  『令和2年度のPFI事業の実施状況をとりまとめました 』
   (令和3年11月12日 内閣府  民間資金等活用事業推進室)
※3  https://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/jireishuu/pdf/jireishuu.pdf
  (PPP/PFI事例集 令和2年4月発行 内閣府 民間資金等活用事業推進室)


説明は以上です。

今回の記事以外にも、様々な事例を図解で紹介しています。「政策図解シリーズ」というマガジンでこれまでの政策図解の記事がまとめられているので、よければ見てみてください。フォローもしていただけると嬉しいです。

https://note.com/bizgram/m/mb0dcc005d7c0

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