3.経営計画の作り方:概論
では、”良い”経営計画の条件を満たす経営計画は、どのように作れば良いのでしょうか?この章では、具体的な経営計画の”作り方”、すなわち経営計画の策定プロセスについて説明します。
3−1 心構え
計画を作る上で、まず意識しておきたい心構えは以下の3点です。
目標は“良い”経営計画
当然ですが、ただ作るのではなく、前章で説明したような条件を満たす、良い経営計画を作るという意識を持つことが大前提となります。
·フォーマット埋め≠計画作り
機械的にフォーマットを埋めることは計画作りではありません。適切な思考プロセスにのっとって、深く考え抜くことが必要です。
サイエンス<アート
計画作りは決まった手順どおりにやれば必ず良い計画ができる科学的プロセスではありません。むしろアート的な要素が強いことを理解しておきましょう。
3−2 策定プロセスの全体像
続いて、経営計画の策定プロセスの全体像です。経営者や経営計画に関する専門家全員の意見が一致するような“正解”プロセスは存在しませんが、筆者の経験にもとづき本資料で紹介する計画策定プロセスは、以下の4ステップからなります。
① 前提確認:目的・計画期間・構成など、計画を作る上での前提を確認します。
② 骨子作成:計画の骨子を作成します。
③ 詳細化:骨子に基づき計画の詳細内容を検討します。
④ 資料化:検討内容を計画資料に落とし込みます。
このプロセスの一つ目のポイントは、前提を確認した後に、まず計画の骨子から作るという点です。いきなり“重箱の隅的な”検討をしたり、資料を作り始めると作業の手戻りが発生したり、十分な議論ができなくなってしまいます。リソースが限られている中で良い計画を作る上では、まず骨子を固めることが肝要です。
もう一つのポイントは、上図の矢印で表されているように各ステップを行きつ戻りつしながら進めるということです。次のステップへ進まないと判断できないこともあるためです。計画作りが一方通行のプロセスでないことを理解しておきましょう。