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男性の美容医療受診が急増してる件について

酒井形成外科の酒井倫明(さかいみちあき)です。

ご無沙汰の投稿になってしまいました。学会続きや緊急事態宣言の解除に伴う人流の増加でなかなか慌ただしい毎日を過ごしております。

さて、本日のテーマーは「男性の美容医療」についてです。

私が最初に投稿した記事でも美容医療はもはや男女問わず当たり前の世界であると記述させていただきました。

コロナ禍のイレギュラー事情がありましたが、全体的に美容医療の受診者は増加傾向にあります。

そして、増加率は女性よりも男性の方が多いというのが私の見解です。感覚値の域は超えていませんが、自身のクリニックに加え、周囲の仲間の話を聞いてる限り、この見解は間違いないと思っています。

可能な限り、エビデンスベースで話を進めていきますが、今回は私の感想を多数交えて記述することをお許し下さい。

それでは男性の美容医療がなぜ、急増をしたのかに対しての見解を述べさせて頂きます。

男性が利用する美容医療そのものの変化

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かつて、男性が利用する美容医療とは女性が利用する美容医療よりもアンダーグラウンドなものでした。

「包茎」「植毛」などのワードを聞くと、ある程度そのイメージが湧くと思います。非常にコンプレックスに直結しやすい悩みが男性の場合は突出していました。このため、メンズの美容医療=ネガティブなもの、という意識が誰しも潜在的に植え付けられていたのです。

もちろん女性の美容医療も昔はネガティブにとらえられている部分がありましたが、それはあくまで目が小さい鼻が低い、といった男女共通の悩みが主体でした。また、女性器に関する悩みも男性に比べると圧倒的に少なかったのも事実です。

この男性特有の悩みが、「男性はオープンに美容クリニックを訪問できない」価値観を作っていたと推測します。

しかし、時代は移り変わり、資生堂やPOLAといった大手化粧品会社はメンズ製品の研究開発にも力をいれ、男性もスキンケアに力をいれる時代となりました。そこで一気に美容クリニックへの敷居は下がりました。男が美容クリニックにいくことは恥ずかしい悩みで行っているわけでは無い、と大手を振れるわけです。

この他にも男性用のネイルサロン・脱毛サロンが増え、それらは若年層だけでなく中高年にも人気を博しています。ビジネス雑誌を見ても、外見を整えることが商談においても有用であることを大々的にPRしています。

すなわち、一部の男子だけが高い美容意識を持っているわけではなく、10〜40代を中心に自身の外見を磨くことに男性の価値観は比重を置き出したことを意味しています。

加えて、カメラ機能が向上したスマホの普及、SNSの隆盛により、自身の姿を「シェア」する機会が飛躍的に増えました。こいった背景も外見を磨く男性が増加した重大な一因になるのでしょう。


男性ではなく、女性を含む世間の価値観も変わった

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男性以外の価値観も大きな変化を見せています。

男女平等・ダイバーシティを皮切りに、この日本でも多様性を求められてきています。近年、ジェンダーフリーやジェンダーレスという考え方も世間に広く浸透してきました。

男らしさ・女らしさという、従来の価値観(特に日本では根深かったもの)に囚われない風土が醸成され、世間一般が変化する価値観に合意したことはとても大きな要因です。今後も価値観の多様化は進み美容に前向きな男性は増えていくことは容易に予想されるでしょう。

これらの変化を受けて、女性が男性に対するニーズも変わっていきました。

男らしい男性よりも、女性らしい男性を求めるという声が大きくなったのです。体毛は薄く、お肌はツルツル、髪の毛はサラサラが人気のようです。勿論程度の差はあれど、昨今のファッション誌を見れば一目瞭然でしょう。

西城秀樹さんのギャランドゥが騒がれていた時代など、今の若い方たちには理解できない価値観なのでしょうか囧
調べてみたら、あの曲が発表されたのは1983年ですから、38年も前ですね。時代が変化するには十分すぎる時間のようです。


グローバルの変化

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面白い記事を見つけました。中国では男性の方が圧倒的に美容医療に注ぎ込む費用単価が高いというものです。

もちろん全体の総数は女性には及ばないのでしょうが、1人あたりが注ぎ込む金額という意味では男性の方が破壊力があるということです。

これは日本でも同様のことが言えると私は思います。

男性患者は美容医療の効果を一度実感すればものすごくハマる方が多いです。脱毛にせよ、シミとり、シワとりにせよ、自分自身をアップデートしていく快感に対してののめり込みはある意味で女性以上です。


また、性別における美容医療のデータに関しては、2020 Plastic Surgery Statistics | Cosmetic Surgery in Male(米国形成外科学会)をご参照いただくのが一番と思います。

ただし、こちらはコロナ禍における影響を大きく受けているので前年比等の数字はあまり参考になりません。ただし、男性においても様々な美容医療の施術が施されていることはご認識いただけるでしょう。


本日のまとめ

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本日は男性の美容医療が急増している件について、私なりの見解を述べさせて頂きました。

大層に聞こえるかもしれませんが、「美醜」に関しては社会学・人類文化学と密接な関係があるように私は感じます。

LGBTなど多様性が求められている時代。それまでの抵抗意識があったものが一気に解放され、近年の美容医療のニーズの高まり、特に男性が急増していることは至極当然の流れと考えれます。

私自身、20年以上前に医療脱毛を経験しました。当時の私は脱毛に全く興味が無かったのですが、経営者として自分が体験しないわけにはいかないので、仕方なしにチャレンジしたのです。

終わってみれば、考えは逆転。

「これは良い!肌触りも良くなったし、衛生的にも良さそうだ。そしてまるで自分の体が進化したようにも感じる。」

と、極めてプラス思考になった自分がいました。

一方で
「しかし、いくら良くても世間の価値観が変化しなければ男性への普及には少し時間がかかるだろうな...」
とも思っていました。良いサービス・品物があっても、そこには時代の価値観という大きな壁が阻むからです。

しかし、その壁はようやく取り壊され、男性も堂々と美容医療を受診できる時代が到来しました。新しい文化が創生されつつあります。

一過性のトレンドに惑わされずに、本当に自分に必要なトリートメントを選択し、このダイバーシティの時代を華麗に泳ぎ渡っていきましょう。


「身も心も美しい人生で」

引き続きよろしくお願いいたします。


酒井倫明(さかいみちあき)


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