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グルメレビュー:魅惑の和栗のモンブラン

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世の中にはたくさんのケーキがある。その中で、ベストスリーを選ぶとしたらなにか。私はモンブラン、ショートケーキ、ベイクドチーズケーキのタルトを選ぶ。
そのモンブランがスーパーで198円(税抜)で鎮座していた。


安い。しかし、「和栗のモンブラン」という名で、国産の栗を使用しているようだ。
「198円(税抜)で国産の栗?」
私はいぶかしんだ。しかし、198円、税込みでも約210円とあれば、万が一期待を裏切っても笑って許せそうな気がする。手軽な価格で、当たればラッキーである。


私は原材料表示を確認した。栗加工品(国産栗)。和栗を謳うだけあってちゃんと国産の栗を使用している。いいぞ、と、期待が高まった。

ところで私はモンブラン保守派である。
栗のクリームと生クリームそしてプレーンのスポンジ。これこそ王道であり、至高である。ココアや抹茶味はnot for me。私はチョコが苦手なので、チョコとの組み合わせも除外。この「和栗のモンブラン」はアーモンド風味のスポンジである。風味程度ならよし。要は栗が主役でなければならないのだ。
私はスーパーのカゴに入れてセルフレジへと向かった。


さて、家で改めてパッケージを手に取り、開封の儀を。
まずは容器をじっくり拝見。モンブランの山を保つための、透明の丸いドームの蓋ががかわいい。この蓋が10倍のサイズであったなら、ナウシカごっこができただろう。そして入れ物は濃いブラウンの浅いプリン容器といったところ。値段を見なければ、外見だけは倍の価格でも通用する気がする。

蓋を開けると、生クリームの土台の上に、茶色にほんの少し紫が入った和栗のクリームがソフトクリーム状に鎮座する。その上にパウダーシュガーが振りかけられ、さらにキャラメリゼされたアーモンドダイスが散らされていた。

カフェで食べるケーキにミントの葉があしらわれているように、アーモンドダイスという1つのアイテムでなんだかグレードアップして見えた。容器だけでなく、外見も値段より良いものに見える。

しかし、198円(税抜)。
多大な期待は禁物である。イチゴ味とイチゴ風味が違うように、「モンブラン風味」かもしれない……偽装などよくある事である。かわいいはつくれる。美味しそうも作れるのである。味のしない食品サンプルですら食欲をそそるではないか。

私は落ち着こうと試みた。
しかし裏腹に、私はスーパーで買った時よりも胸が高鳴り、期待値が上がっているのを感じた。少し緊張を感じながら、まず一口目。和栗クリーム、パウダーシュガー、キャラメリゼされたアーモンドをいつもよりゆっくりスプーンですくう。すると思いのほか、ねっとりした感触と重さが感じられた。「栗、たくさん入っています」という感じがする、重量感あるクリーム。生クリームのような軽さは皆無。通常のモンブランであれば栗甘露煮を生クリームに混ぜるが、こちらは「栗、クリーム状にしちゃいました」というくらい、栗感である。原材料を見ると、和栗クリームは栗だけでなくこしあん、白あんも入っている、というか分量はそちらの方が多いのだが。しかし、「これは和栗である」と思えればそれも気にならない。

口に含んだだけで洋酒が効いてるのがわかる。私は洋菓子には強めに洋酒を入れてほしいので、正直、もうこの瞬間から高評価である。
次に、和栗クリームの表面のパウダーシュガーの控えめな甘さが舌の上にひろがる。甘さを感じたと思ったらジワリと消えた。そして、噛むとアーモンドダイスのカラメルの香ばしさが出て、どっしりとした和栗クリームと混ざる。待ってましたの栗である。クリームにつぶ感があり、「芋栗カボチャを食べるときの感じ」が、「私、和栗、食べてる!!」と、栗を食べている感をしっかりと認識できる。期待していなかった栗であるが、こちらはクリームに割られた栗ではなく、栗が主役の栗クリームで、「栗感」を存分に味わえる。そして、ほどよい甘みの生クリーム。濃厚な栗クリームとの対比で口直しになる。こんなにどっしりした栗クリームでは、通常のスポンジではなんだか軽すぎるのではないか……そんな疑問がよぎる。

そこでアーモンド風味のスポンジである。
スプーンですくおうとすると、こちらもどっしり感。タルトと言っては言い過ぎだが、スポンジというには重すぎる。なんなんだこれは……と、私は混乱した。そのため、スポンジ単体で食べてみることにした。
なるほど。フィナンシェをスポンジ状にしたような味と感触である。
実際のスポンジは「アーモンド風味」ではない。風味というには自己主張がある。このアーモンドペースト入りスポンジは、これだけでもナッツ好きには受け入れられるのではないか、と思う出色の出来である。個人的にはこのスポンジだけでも販売してほしいくらいである。
私はこの驚くべき「和栗のモンブラン」に、思わず会社のサイトを検索して調べてしまった。
愛知県の株式会社ロピア。チルドスイーツのロピア、と謳っている。

「おいしさのひみつ」ページをひらくと、「ひとつひとつクリームを手で絞り、ひとつひとつフルーツをトッピング。ロピアでは出来るかぎりの作業を、人の手でひとつひとつ丁寧に行っています。」
なるほどである。
私はひとつ、疑問が解消した。キャラメリゼされたアーモンドダイスである。私は昔、趣味でお菓子作り教室に通っていた。キャラメリゼは湿気でパリパリ感がなくなる。これは機械で散らすことができるのだろうか?と思っていたのだ。
きっと手作業に違いない。くっついたダイスをバラしながら散らしているに違いない。
私は198円(税抜)の手間のかかり様に、再度驚嘆した。

この「和栗のモンブラン」は、モンブラン食べたい欲を気がるに満たしたい方や、「これはこれ」として楽しんでいただく余裕がある方にぜひおすすめしたい。


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