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水泳部の練習について思うこと

自分が理論を最重視する人間だからか知らないが、最近水泳の練習をしていて色々思ったことがあるので筆を取った、いや、キーボードを呼び出した。クソ長いので要約すると、『もっと頭を使って練習した方がいいんでないの?』ということなのだが、しばしお付き合いいただきたい。

もとはと言えば自分がメニュー表を現場に持っていくのを忘れたのが悪いのだが、他メンバー合意のもとで、せっかくなら普段やらないこと(他人のフォームを皆でみて色々意見交換しあう)をやろうと考えた。しかし、自分の意図が上手く伝わらなかったか、あるいは自分の考えと皆の考えにズレがあったかでこれが不評に終わった。その腹いせ、とは少し違うが、自分の練習に対する根本的な考え方を明らかにしようと思う。

速く泳ぎたいなら、とりあえず理論上最も速くなるフォームを考える必要がある。それで90点の泳ぎはできるようになる。残りの10点は、組み上げた理論と自分の特徴を巧くすり合わせて伸ばしていくものだと考える。初級中級者は、まず理論を組み立てるために頭を使う必要がある。例えば、より抵抗を減らしつつ水を捉えるにはどうするか? 腕はピッチを増やすか、ストライドを延ばすか? キックの強さや頻度は? ローリングを抑えるために何ができるか? 考えるべきことは山ほどある。練習では何も考えずただやみくもに泳ぐ2000mよりも、自分で頭を使い、フィードバックも貰って泳ぐ200mの方がはるかに価値があると確信している。

普段練習をしていても、ただサイクルを回すことだけに意識が向いている人がいるのではないかと感じる。一番起こってほしくないのは、疲れが残ったまま無理やりサイクルに間に合わせようとしてフォームを崩し、それが癖づいてしまうことだ。それならサイクルを長く取って、最後までフォームを崩さず泳ぐことを意識した方がいい。

もちろんサイクルを意識した練習を悪と断罪するわけではない。サイクルをきちんと回すのは体力作りになる。ただ、それはフォームが完璧に組み上がってそれを体に染み込ませる段階での話で、組み上げが終わっていない人が練習から無理にスピードを追求してもアプローチの順番が逆であり、体力と時間の無駄ではないかと思う。フォームを固めてから、そのフォームで速く泳ぐこと、速く泳いでもフォームが崩れないことにフォーカスするべきだ。つまり、自分のフォームさえ見つかれば、むしろ積極的に速さを追求した泳ぎ込みが必要だと考える。

メニューを組んでいる人は大概泳ぎのプロだから、すでにフォームを体に染み込ませる段階にいるか、あるいは更なる肉体強化の途上にいる。すでに理論を習得した人が必要とするメニューと、まだ理論をこねくり回す段階にいる初級中級者が必要とするメニューは根本的に違うものであるはずだ。

メニューの話題に関連して、全てのメニューに何かしらの目的があるか、その目的意識を皆が共有できているかも重要だと考える。例えばキックは脚力、プルは腕力と分かりやすい。もちろん他のメニューにも意味がある。スカーリングであれば水を掌で掴む感覚、フィストであれば前腕部で水を掻く意識とか、大抵は何かしらの目的がある。ただ、自分はこれらを先輩から教えてもらった記憶があまりない。意味もわからずメニューをこなすより、意識を持って取り組んだ方がモチベーションも上がるし、適切な鍛え方に意識が向くので成長への利用効率が上がるのではないだろうか。

無論「楽しく泳げればそれで充分です」みたいなエンジョイ勢にここまで述べてきたような理論武装を強要するつもりは毛頭無いが、少しでも速く泳ぎたいという野心がある人は、まずきちんと理論を組み立て、それに沿って目的意識を持った練習をすべきではないか、というのが自分の見解である。後輩の立場でこんなこと言い出せないだろうし、そもそも中高で水泳をやっていなかった人は「水泳の練習ってそういうものなのか」と思いそうなので(というより実際そういうものだが)、先輩である立場の者がそういう意識を少しは持っていた方がいいのではないかと思った次第だ。とはいえ、こんな変なことを考えてる年長者は自分だけではないかとなんとなく思っているが、自分ではこの考えに真剣に向き合っているつもりなので、少しでも理解してくれる人がいることを期待している。もしもいないようなら、諦めて(悪しき)伝統に従うことにする。

おわり

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