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デビュー作『お引越し』が世界で再評価の嵐!田畑智子がその喜びと相米慎二監督との思い出を語る💐公開記念舞台挨拶レポート
この度、『お引越し』『夏の庭 The Friends』4Kリマスター版の公開を記念して、公開初日の12 月27 日(金)に舞台挨拶を開催!
『お引越し』で俳優デビューを飾った田畑智子さんが登壇しました。
田畑さんが「宝物のような作品」と語る本作が30年越しに再び日の目を浴びることや故・相米慎二監督との思い出についてなど、貴重な裏話も交えながらお話いただきました。
「相米慎二監督と仕事ができたことは財産」
田畑さんの俳優デビュー作となった『お引越し』が4Kリマスター化され、30
年越しに再び日の目を浴びることについて、田畑さんは「今私がこの舞台に立っていること自体、当時の私は想像もしていなかったこと。この作品への出演は私の人生を変えた出来事でしたが、30 年が経ってまだこの俳優という仕事を続けさせていただいていることに、改めて相米監督や当時のスタッフ、共演者の方々に感謝したいです」と感慨深げに噛み締めた。
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日本映画界を代表する名優や監督らが揃って想いを熱く語るなど、今なお
圧倒的な存在感を放ち続けている相米監督。
そんな伝説的な監督の撮影現場について
「当時小学6 年生だったので許していただきたいんですが…相米監督のことがこわくて現場ではあまり近寄らなかったです(笑)。何回もテイクをやるし、何回やってもOK をくれないし、どうしたらいいかわからなくていつも泣いていました。でもこの俳優の仕事を30 年やっていると、いろんな方に“相米監督と仕事できたことは財産だよ”と言っていただけて、彼がどれだけ偉大な存在だったのか、身に沁みて感じてきています。もう会えないけれど、今会ったら私のことをなんて言ってくれるかなって思いながら仕事をしていますし、いつも心のどこかに相米監督がいる感じ。あんなにこわかった相米監督が愛する相米監督に変わっていましたね」
と相米監督への想いを語った。
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本作は2023年のヴェネチア国際映画祭クラシック部門で最優秀復元映画賞(黒獅子賞)を受賞。
欧米やアジア各国で上映され、それをきっかけに今世界で相米慎二監督の再評価の波が訪れている。
黒獅子賞のトロフィーを目にした田畑さんは
「この俳優の仕事を続けていて、『お引越し』ほど多くの映画賞をいただいた作品がまだないので、相米監督に“お前、もっと頑張れ”って今言われてるんじゃないかという気がしています。本作を超えるぐらい大変な撮影現場に出会って、たくさん賞を受賞できるように一生懸命頑張りたいです」と意気
込みを語った。
また、実際にニューヨークの映画館で観客とともに映画を鑑賞したという田畑さんは、海外の観客からの反応について
「この映画にこんなに笑うシーンあったっけ?というくらい観客がよく笑っていました。特に笑いが起きていたのは私が一生懸命練習したムーンウォーク(笑)。特訓の成果が出て良かったです」と満足げに語った。
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そして驚き(?)のエピソードも披露。
「今耳が詰まってるんです」という田畑さん。
その訳について、「たまに現場であるんですが、相米監督に関わることをやっていると耳が詰まったり、背中を押されるような感覚になることが本当にあるんです!だから今もいるなって思ってます(笑)」と語り会場の笑いを誘った。
最後に「32年越しにこうして大きなスクリーンで自分のデビュー作が公開されるのはなんとも幸せな機会。相米監督の数ある作品の中からこの『お引越し』が再び上映されることになって、相米監督の名に恥じぬように私自身、もっと頑張らなきゃと感じています。いろんな方にこの映画を観て、愛していただきたいなと思っています」と締めくくり、舞台挨拶は幕を閉じた。
『お引越し 4Kリマスター版』、そして『夏の庭 The Friends 4Kリマスター版』は、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館にて絶賛上映中!ほか、全国順次公開です。年末年始は相米慎二監督作品をぜひ劇場でご鑑賞ください✨
【STORY】
『お引越し』
両親が別居。 はじめは家が2つできたと喜んだレンコも、次第に自身を取り巻く変化の大きさに気づかされていく――
京都に住む、明るく元気な小学6年生、レンコ。
父ケンイチが家を出て、母ナズナとの二人暮らしが始まった。
ナズナは新生活のための規則を作るが、変わっていこうとするナズナの気持ちがわからない。
レンコは、離婚届を隠したり、自宅で籠城作戦を決行したり、果てにはかつて家族で訪れた琵琶湖への小旅行を勝手に手配する…。
1993年/124分/日本
監督:相米慎二 脚本:奥寺佐渡子、小此木聡 原作:ひこ・田中「お引越し」
製作:伊地智啓、安田匡裕 撮影:栗田豊通
出演:中井貴一、桜田淳子、田畑智子、笑福亭鶴瓶
『夏の庭 The Friends』
「死」への興味から、奇妙な老人と関わりを持った小6トリオのひと夏の成長記。
木山、河辺、山下の小6トリオは、祖母の葬式に出席した山下の話を聞き、「死」に興味を持ちはじめる。
近所に住む一人暮らしのおじいさんがもうすぐ死にそうだ、と聞きつけた3人は、家を張り込むことに。
はじめは少年たちを追い返そうとしたおじいさんも、次第に彼らを受け入れ始める。
そんなとき、ひとりぼっちのおじいさんのために、3人はある計画を思いつく…。
1994年/113分/日本
監督:相米慎二 脚本:田中陽造 原作:湯本香樹実 撮影:篠田昇
出演:三國連太郎、坂田直樹、王泰貴、牧野憲一、戸田菜穂、笑福亭鶴瓶