
PTAへの愛全開!『佐々木、イン、マイマイン』の内山拓也監督が『リコリス・ピザ』の魅力を語りつくす!トークイベントレポート🍕
ベルリン国際映画祭で金熊賞、世界三大映画祭であるカンヌ、ヴェネチア、ベルリンすべてで監督賞受賞と伝説を作り、常に世界中の映画ファンが新作を心待ちにしている天才監督ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)。その最新作『リコリス・ピザ』はアカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされ大きな話題を呼び、いよいよ7月1日(金)日本公開いたします!
この度公開に先駆け一般試写会を実施し、PTAから大きな影響を受けたという『佐々木、イン、マイマイン』の内山拓也監督を迎え、MCのSYOさんと共に、世界中で賞賛された『リコリス・ピザ』の魅力について語っていただきました!
楽しく撮ったんだろうなあ
天才監督ポール・トーマス・アンダーソン監督最新作『リコリス・ピザ』の試写会上映後、興奮冷めやらぬ中MCのSYOさんのお声がけにより自身もPTAの大ファンだという、『佐々木、イン、マイマイン』の内山拓也監督が登壇!大きな拍手の中、まずは本作の感想を聞かれると「最高じゃね?という感じが詰まっている映画です。この時代に70年代のボーイ・ミーツ・ガールの物語が見られるんだなあ、楽しく撮ったんだろうなあということがしっかり映画から伝わってきた」と、幸せな気持ちになったと話した。

PTAの監督作品の中で『ザ・マスター』(2012)が好きだと語る内山監督は、 PTA作品に多く出演するフィリップ・シーモア・ホフマンが俳優の中で「1番好き」だそうで、2014年に亡くなった時は号泣したと明かす。「彼の息子のクーパー・ホフマンが見られるというだけで、楽しみだった」という内山監督は、本作でショーン・ペンがバイクの後部座席にアラナを乗せて疾走するシーンを、『ザ・マスター』の主人公、ホアキン(・フェニックス)とフィリップの同シーンの「セルフオマージュ」と解釈。後ろに乗っていたアラナがバイクから落ちたことに気づかないショーン・ペンをフィリップに重ね、クーパー・ホフマン(フィリップの息子)がショーン・ペンに見向きもせずに、アラナの元へ走っていく様子に「父を超えていけ!というメッセージを受け取った」と持論を展開する。
初めてという気がしない
また、SYOさんより「この映画は、僕たちが生まれていない時代(1970年代)なのに、なぜ懐かしさを感じるのか」と問われると、「もちろん、生きたことも行ったこともない世界なんだけど、『パンチドランク・ラブ』(2002)や『マグノリア』(1999)も同じ場所を舞台にしていて、僕は映画で見ているので初めてという気がしないんですよね」と、これまでに触れてきた映画によって、土地勘や時代を共有することができると語る。日本でのミニシアターブーム隆盛時期を思い出し「あの時もこんな映画が流れていたんじゃないかな。岩井俊二さんの作品が世の中に放たれ始めた頃」とその時代をリアルタイムに知らない悔しさとうらやましさをにじませつつ、「(本作には)みんなが知っている懐かしさというのがあるのではないかなあと思う」とまとめた。

疾走感!
「映画は偶然が紡がれている」と語る内山監督は『リコリス・ピザ』のオープニング、二人が出会うシーンについて「そんな始まりあるかよ!と思った」と驚きを隠さない。「これからあり得ない奇跡が紡がれていくのだけど、その奇跡がまとまっていて、劇映画として現実からちょっと飛躍する期待感に胸を躍らせた」という。「ゲイリーが駆け出していくシーンではデヴィット・ボウイの曲がかかって、若者の疾走感がびしびし伝わってくる。とにかく音楽が気持ち良いところをついてくる」と興奮気味に語り、「映画が終わったら駆け出したくなりました!」というSYOさんに同意していた。

PTAから受けた影響 自身の作品『佐々木、イン、マイマイン』
PTAに影響を強く受けているという内山監督は、演者について「例えばホフマンだったり、ダニエル(・デイ=ルイス)のマインドのようなものは、自分の血の中に入っているように思う」と語る。映像についても「PTAはとにかく横移動、高速パン、移動ショットとロングショットの使い方がうまい」と大絶賛。自身の作品『佐々木、イン、マイマイン』でも、「実は、(藤原)季節くんに原っぱでジャンプをしてもらって走り抜けるシーンを撮ったんですが、これは『ザ・マスター』でホアキンが荒野を全速力で走るシーンのオマージュなんです」とPTAの影響があったことを明かす。「カメラマンの四宮(秀俊『ドライブ・マイ・カー』他)さんに、この説明をしたら、一言で『ああ、わかったわかった。見なくても分かる』と納得してくれて(笑)。四宮さんも好きなんだな」と嬉しそうに振り返った。そのシーンは本編ではカットしたが、予告編で復活したそう。

最後に…
「閉塞的な時代ではありますけど、PTAはボーイ・ミーツ・ガールの多幸感溢れた幸せな映画を撮ってくれたと思う。全体的に幸せオーラが感じられる作品だと思います。今、こういう作品を映画館で見られるというのはとても意義がありますよね。70mmのフィルムを存続しようとしている監督でもあるので、そういった意味でも是非スクリーンで見てほしいです!」と、監督への愛全開のコメントで締めくくり、イベントは大盛況のうちに終了しました。
【誰もが「あの頃の気持ち」を思い出す……ポール・トーマス・アンダーソン監督最新作!】
ベルリン国際映画祭で金熊賞、世界三大映画祭であるカンヌ、ヴェネチア、ベルリンすべてで監督賞受賞と伝説を作り、常に世界中の映画ファンが新作を心待ちにしている天才監督ポール・トーマス・アンダーソン。その最新作が本作『リコリス・ピザ』だ。オリジナル脚本の完成度の高さ、細かな脇役に至るまで行き届いた演出が高く評価されている。舞台は1970年代のハリウッド近郊、サンフェルナンド・バレー。実在の俳優やプロデューサー、実際の出来事を背景にアラナ(アラナ・ハイム)とゲイリー(クーパー・ホフマン)が偶然に出会い、すれ違い、歩み寄っていく恋模様を描き出す。 主演は三姉妹バンド、ハイムの三女であるアラナ・ハイムとポール・トーマス・アンダーソン監督の盟友フィリップ・シーモア・ホフマンの息子である クーパー・ホフマン。ともに本作で鮮烈な映画デビューを飾り、主演女優賞やブレイクスルー賞を総なめに。作品としても、全米の映画賞を席巻中! 共演にショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディとレジェンドが集結しているのも見逃せない。また、ふたりの感情に寄り添う音楽を手掛けたのはレディオヘッドのジョニー・グリーンウッド。ポール・トーマス・アンダーソン監督とは本作で5作品目のタッグとなる。 散りばめられた当時の音楽やファッション、そして恋の痛みと嬉しさに溢れる主人公たちの姿に、誰もが“あの頃の気持ち”と映画の楽しさを思い出さずにいられない!

7月1日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開!
https://www.licorice-pizza.jp/
公式SNS: Twitter / Instagram /Facebook