かわらないもの
バス停から続く一本道。
学生の頃、バスに乗るために毎日自転車で通ってた道。行きはバタバタ、帰りはぐったりとしながら自転車を漕いだものです。
私の住んでた町は田舎で、街灯もあまりないような所。おまけに車もあまり通らないので、夜になると真っ暗…本当に真っ暗。暗闇の中で、外飼いの犬だけが私の存在に気づき吠えてくる。
真っ暗な田舎道。
近くに歩いていけるようなスーパーもないし、大きなデパートももちろんない。
かと言って、綺麗な川が流れてたり・カブトムシのような昆虫がいるわけでもない。
ただただ不便な田舎。
子育てもひと段落した今、
たまに帰る実家。
昼下がりに、あのバス停から家まで続く一本道をテクテク歩いていると、畑でチュンチュンと鳴くスズメの声や、畑で採れた野菜をお裾分けしに来たおばあちゃんとその野菜のお返しの茶菓子を渡すおばあちゃんの話し声にホッする。
今は空っぽの古びた犬小屋に寂しさを感じながら、あの頃はただただ不便に感じていた事を思い出します。
でも、歳を重ねた今、見慣れた風景や変わらぬ匂いに音。大人になってから気づけたこの町の良さ。
更に歳を重ねた時に、
またいつか不便さを感じる時がくると思うけど、今はこの生まれ育った町が大好きなんだと、一本道の先に見える実家を見て思ったのでした。
#この街がすき #一本道 #田舎 #かわらないもの
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