【2022年下半期キックオフレポート前編】サステナビリティのある組織・環境づくりへ
ビットキーnote編集部です。2022年下半期の幕開けとなる7月1日に、下半期のキックオフが全社員に向けて開催されました。
今年も半期が過ぎたタイミングであることに加えて、この日は、新しく参画するメンバーたちの入社日でもあります。それゆえに、CEO江尻から創業時から約4年間の道のりについて、丁寧な説明がなされました。
また、最大のポイントとなったトピックスは「次なる組織・環境づくり」に関する方針と、その背景についてです。「サステナビリティ」という新たなキーワードを交えながら、改めて組織の成長に対する失敗や反省、課題について語られました。
本記事では、そのキックオフの様子から一部抜粋し、前編と後編にてお届けします。
事業と組織 成長の軌跡
事業の成長と拡大を優先してきた3年間
江尻:ビットキーのこれまでの事業の成長と拡大について、今日が入社初日となる新しいメンバーもこの場にいるので、改めて振り返らせていただきますね。
私たちは創業から今日に至るまで、事業の成長と拡大をとてつもないスピードで進めてきました。Workspace&Experience事業、Home事業、ビットキーの価値観、目指したい世界観。これらを、様々なお客様やパートナー企業様に認めていただいた結果としての今があると思っています。
実際にビットキー製品やサービスをお使いいただいているユーザー数は増加しており、数年先の受注も獲得できているなど、事業は順調に進んでいる状況です。年初のキックオフでは、今期がその「うなぎのぼり(*1)」に備えるための初年度だということを、皆さんとの目線合わせとしてお伝えさせていただきました。
そして、その半期を終えた今、全社一丸となって進んできた成果が徐々に現れていると実感しています。東京拠点に比べると、大阪、福岡、宮崎の各拠点へは日頃から十分に伝えきれていないと思うので、この場であえて言いたいのですが、遠隔からのお客様サポート、プロダクトの開発・運用・保守など、日々あらゆる点で事業を支えてくれて、ありがとう。本当に感謝しています。
これほどの期待値を世の中から集められている「4年目のスタートアップ」は稀有な存在なのではないかと思いますし、これを達成してこれたのは、まさに今、聞いてくれてる皆さんとともに力強く歩んできた結果だと感じています。
順調な成長とは裏腹に生じてしまった2つの「つまずき」
江尻:これまで、事業の成長と拡大に力を注いできた分、最近ではメディアからの取材で『組織や人の観点ではどのように成長をしてきたのですか?』と、問われる場面も増えてきました。
ここで、皆さんと追体験的に、創業から今日に至るまでの「組織の成長」について振り返らせていただきたいと思います。ビットキーは、2018年に創業者である私(江尻)、福澤、寳槻の3名と、9名のメンバーを合わせた計12名で立ち上げたのがそもそもの始まりです。
そこから、さらに私たちは求心力となる仲間を積極的に集めました。実はこの仲間集めを通して、最も早いタイミングで立ち上げたのが、お客様からのお問い合わせ対応などを中心に担う宮崎拠点なんです。あれは2019年の春なので、もう3年強が経ちますね。個人的にすごく感慨深い出来事のひとつです。また、現在は通称「かるこみゅ」として、文化醸成を専門に担うチーム「Culture & Communication」を発足させたのもこの頃です。
その後、創業から約1年のタイミングで、初のプロダクトとなるbitlockシリーズをリリースし、無我夢中で突き進んでいきました。事業の成長に呼応するように、社員数も創業からわずか1年で100名を突破していきました。このタイミングに行った具体的な施策は、人事制度と評価制度の確立です。具体的には、MissionとValueの設計。そして、人事評価制度も、基礎となる土台部分はこの時に構築しています。
さらに創業から2年の時点で、150人に到達する勢いで新しいメンバーたちが加わってくれました。この「150人」は、ダンバー数(*2)でいう『人間が安定的な社会関係を維持できるとされる人数の認知的な上限』と言われています。この考えを元に、150人越えの備えとしてミドルマネジメントの登用をこの時に取り入れました。また、それまでは機能別で組織を形成していたものを事業別にし、採用に関しても現場マネージャーたちへ権限を移譲していく形をとり始めました。
ここまでは全て創業当初から想定していましたし、メンバーたちにも「いずれ実施する」と公言していた部分でもありました。創業からわずか2年半のスタートアップにも関わらず、資金調達や事業成長とともに、人材獲得、組織づくりも順調に進んでいましたし、社内外からもそのような認知や評価をいただいていたかと思います。
しかし、一見、順調であるが故に生じてしまった採用や組織運営における「つまずき」や「課題」をフォローしきれず、結果として「失敗」につながってしまった部分も多くあると、今となっては感じています。自省になりますが、私自身、皆さんに対する表現としてメッセージをきちんと届けられていなかったことや、権限移譲する際の丁寧さに欠けていたことも要因だと認識しています。
江尻:繰り返しになりますが、創業からの2年間はまさしく順調な立ち上げでした。年間100人ペースでの採用が2年連続で行えていたことで、社員数も200人目前となっていました。
また、プレスリリースなどでの発信やタクシー広告などを通じて、社会的認知も徐々に獲得し始めた頃でもあります。そういった実感が湧き始めると同時に、ビットキーは「まもなく上場する雰囲気を帯びた、イケイケなスタートアップ」もしくはそれに近しい「成熟した会社」として注目を浴びるようになっていきました。このようなパブリックイメージも影響してか、「成熟した会社」として期待し、入社していただいたメンバーも多くいたと思います。
そのため、働き方やカルチャーにおける価値観のミスマッチが起きてしまったことは事実です。この採用上の「つまずき」における根本的な原因は、採用時におけるインプットや双方の期待値のすり合わせの甘さなどといった、私たち会社側の実力不足が大きかったと考えています。
次に強く感じたのは、組織運営上の「つまずき」です。事業における急速な組織拡大が背景にあるとはいえ、マネジメント人材の育成や体制の強化にまでフォローが及ばなかったことがあります。それにより、せっかく素晴らしい方々が入社してくださったにも関わらず、その方々が立ち上がり、力を発揮する前までに時間をかけさせてしまったり、場合によっては、早期の退職に繋がってしまったこと。この状態が一定期間続いてしまったことにより、予想以上にメンバーの定着率が悪化していってしまいました。
しかしながら、会社としてやるべきことは山ほどあり、そこがまたジレンマでもあります。人材採用と定着は常に重要事項でありながら、課題を抱え続けている状況でした。
江尻:そこで、実は昨年の後半から、より「質」にこだわった採用へとシフトしています。採用候補者の方が本来持っている「素質」にこだわることはもちろんのことですが、互いにミスマッチを引き起こすことのないよう、採用でのプロセスにおける「質」、つまり価値観とスキルの両軸でのフィットについてより踏み込んだ形で理解し、意思決定を行うような仕組みにしています。
さらに、評価制度における強化・アップデートも行いました。これまでの評価軸に加えて、新しい軸による評価も掛け合わせることで、高度な専門性を持つ人材に対する評価が可能となりました。
これにより、より専門性の高い人材の獲得などにつながっているという実績もすでに生まれています。また、ミドルマネジメントを担うメンバーが育ってくれたことも含めて、マネジメント人材の割合が高まり、より多様な人材・組織をマネジメントできる下地ができつつある、という成果も見えてきています。
組織運営は次なるフェーズへ。キーワードは「サステナビリティ」
江尻:こういった組織運営の課題に一つひとつ取り組んだ結果、安定的な組織運営ができる素地が整ってきていると思っています。
さらに、ここからもう一歩進むことができれば、より良い組織としての安定性と、それによる持続可能性が生まれる状況になっていくはずです。
当然ながら、一足飛びで、かつ容易にできることではありません。しかし、次のフェーズに向けた準備を着実に進めていきたいと思っています。
これまでは事業を「立ち上げ、生き残る」ことが最優先でした。しかし、これからは「継続、発展」させていくフェーズです。会社としては、安定的に製品やサービスを供給できること、それが5年、10年、その先の未来でも継続的に使っていただけることに価値があるというフェーズへといよいよ突入してきています。
これを過不足なく、永続的に価値を提供し続けるためには、まず前提として「サステナビリティ」が大事だと思っています。つまり今後、我々が会社として、メンバー皆さんに対するサステナビリティを重視し、次なる重要な課題として取り組んでいくことをここに宣言したいと思っています。
この「サステナビリティ」が、今後肝となるキーワードと思っていただきたいです。これによって、チーム全体としての主体性や自律性を高めていくこと。そして、個人の専門性やスキル、生産性を向上させていくこと。その全てを、皆さんとともに実現していく3年間にしたいと思っています。
記事は 後編 へ続きます