スティーヴン・ホーキング「ビッグ・クエスチョン<人類の難問>に答えよう」
スティーヴン・ホーキングについてどれだけ知っているだろうか。
私が持っていた彼の印象は難病を抱えた天文学の天才ということぐらい。恥ずかしながら今まで「知ろう」としていなかったのだ。
今回、図書館で高校生向けの図書としておかれていた本書を手に取った。(周りに見られていないか少し恥ずかしかった)
本書の中では10個のビッグ・クエスチョンに対しての彼の見解が書かれている。
これらのうちのいくつかは、子供のころに考えたことはあるかもしれないが、大人になるにつれて「なんとなく」の理解で通り過ぎてしまったものたちばかりだ。
生涯を通してこれらのクエスチョンに挑み続けた彼の思考を追うことで「知ろうとする」「考える」という子供のころに持っていた気持ちを呼び起こしてくれる。
以下はビッグクエスチョンに対しての彼の見解の私なりの理解を記すが、これを読んだだけで理解することは到底できないだろう。
興味を持った方はぜひ本書を読んでいただきたい。
1 神は存在するのか? & 2 宇宙はどのように始まったのか?
宇宙はビッグバンから始まった。
ビッグバンの瞬間は無限に密度の高いブラックホールのような状態であり、それ以前は時間がなかった。
時間がなかったということは神が世界を創造する時間もなかった、つまり神は存在しない。
3 宇宙には人間のほかにも知的生命が存在するのか?
知性が誕生する可能性はかなり低いのかもしれない。
知性は生まれたとしても高確率で進化の途中で小惑星や彗星の衝突で滅びてしまうのかもれない。
知性は自らを絶滅させてしまう可能性が高いのかもしれない。
だが私は遠くどこかに存在していると信じている。その方が面白い。
4 未来を予言することは出来るのか?
ラプラスの科学的決定論によれば宇宙に存在するすべての粒子について、ある瞬間の位置と速度を知れば未来を予言することができる。
だが不確定性原理により事実上それは不可能である。
5 ブラックホールの内部には何があるのか?
内部の様子は外からは分からない。ブラックホールは今も、自称地平の外側での全体としての質量、電化、角運動量だけで特徴づけられているに過ぎない。
6 タイムトラベルは可能なのか?
一般相対性理論が正しく、エネルギ密度が正の値ならタイムトラベルは不可能。過去に行くために時空をゆがめるには負の質量と負のエネルギーを持つ物質が必要だ。
7 人間は地球で生きていくべきなのか? & 8 宇宙に植民地を建設するべきなのか?
DNA改変を人間自身に行い宇宙へと出ていくことになるだろう。防ぎようのない脅威としては小惑星の衝突。近い未来の脅威としては気候変動。
9 人工知能は人間より賢くなるのか?
賢くなる可能性は十分にある。人間はそれをコントロールするために知恵をつけなければならない。
10 より良い未来のために何ができるのか?
科学に興味を持ち、知ることだ。