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循環 │詩小説
ここは暗くて静かな場所だった。
私はずっとそこにいた。
温かさと冷たさが交じり合うような、大地の中の眠り。それが永遠に続くものだと思っていた。
ある日、私の眠りは突然断ち切られた。
轟音と振動、そして光が私を引きずり出したのだ。
固いものにぶつけられ、熱にさらされ、私の中から余計なものがそぎ落とされていく。それは痛みとも快感ともつかない不思議な感覚だった。
やがて私は、新しい形を与えられた。
滑らかで美しい曲線と、ひんやりとした触感。
私はある用途のために生まれ変わったのだ。それが何を意味するのか、そのときはまだ理解していなかった。
人の手が私を掴むたび、私は新しい感覚を味わった。
温かさ、柔らかさ、時には熱や冷たさ。それが私の役目だと知った。
柔らかなものや固いものが私に触れるたび、私はその重みを感じ、それを支えることで満たされるような気持ちになった。
特に記憶に残るのは、小さな手に握られた瞬間だった。
幼い手が私を掴み、笑い声が響く中、温かな感触が私を包み込んだ。「これが私の役目だ」と、そのとき私は思った。
だが、長い時間が経つにつれて、私の輝きは薄れていった。
かつて美しかった私の表面は傷つき、曇り、磨かれることもなくなった。私はいつしか人の手を離れ、物置の奥で忘れられるようになった。
さらに時が過ぎ、私は捨てられた。
役割を失った私は、ただのものとして扱われ、雨風にさらされながら次第に朽ちていった。
「これが私の終わりなのだろうか?」そう思ったとき、大地が私を受け入れた。
土の中で、私はかつて自分が担っていた役目をぼんやりと思い出していた。
柔らかなスープをすくい、固い果実を押し割る力になる。人々の手の中で、食べる喜びを運ぶ存在だったのだ。
「私は、あの温かい日々の中で確かに輝いていた」
私は再び静かな場所に戻ってきた。
かつてのような温かさと冷たさの中で、私は徐々に形を失い、土の一部となっていく。
「ここが私の居場所だったのだ」私の中に穏やかな安らぎが広がった。
だが、私は知っている。
いつかまた誰かの手によって引きずり出され、別の形を与えられるかもしれない。そしてまた、新たな役目を担う日が来るかもしれない。
それでもいい。私はそのたびに、自分が何者であるかを問い続けるのだから。