自分らしさを貫くリーダーシップ
もう20年以上前の話になるけれど、大学のために関西から東京へ出てきて、さまざまな価値観に触れる中で、
「魅力的な人間になるにはどうしたらいいか」という問いが自分の中に湧き上がってきた。
自分なりの答えを見つけるために「どんな人が魅力的なのか」ということを観察したり、考えたりした時期があった。
その頃私が出した答えは、「魅力的な人は、自分らしく生きている人」だった。自分の好きなことに熱中していたり、自信を持って自分の価値観を体現している人。
今日読んだハーバードビジネスレビューに、「自分らしさ」のリーダーシップという記事があった。
過去数十年間、多くのリーダーシップ研究がなされたが、リーダーとして成功する条件といえるような、共通の特徴、特性、スキル、スタイルが何一つ見出せないらしい。
スタンフォード大学経営大学院の顧問委員会に名を連ねる75人に、「リーダーが伸ばすべき最大の能力は何か」と尋ねてみたところ、答えはほぼ一致し、「自己認識力」であるとのこと。リーダーシップはその人の人生経験に大きく影響され、経験・環境の中でリーダーシップの目的を悟り、自分らしくあることがリーダーとしての能力を高めることを学んできた。
ここまで読むと、とても希望を与えてくれる内容だと思う。あらゆる人に可能性があるという話だからだ。
一方、正しく自己認識する作業は、地味で時間がかかるし、難しい。特に若いうちは社会における自分の正しい居場所を確かめるのに忙しく、なかなか自分の内面について深く考えることは難しい。
自分らしさ、の大元となる価値観を体現することは、順調満帆な時ならそう難しくないが、プレッシャーの大きい状況においては、容易ではない。自分の本当の価値観は、難しい状況の時にあって、初めてわかることもある。
ポジティブ心理学において、性格の強みとしてのリーダーシップについてこのような説明がある。
自分のことを熟知していることで、最高のリーダーシップを発揮できる、と。
最高のリーダーとは、「自分のことを熟知している人のこと。自分の性格の強みを理解していて、その強みを使って人の最大の長所を引き出す術を心得ていること。」とある。
就職してしばらくは、リーダーシップなんて研修で聞く以外耳にせず、もっと現実的な厳しい世界に放り込まれた感じがあったが、
ビジネスの世界においても、自分らしさを発揮するリーダーが積極的に認められる時代が来ていることに、明るい未来を感じた。