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#3「心の旅」私の心に飼っている一頭のシロクマ
「進む」シロクマ
1 ずんずん進む
しろくまさんは、暑い夏も寒い冬も、前を向いて進む。
声に出して、足を踏み鳴らしながら、まるで行進のように。
「ずん!!ずん!!ずん!!ずん!!」
そのリズムは、まるで心臓の鼓動のようだ。
2 布団の中から見た
ある寒い朝、僕は布団の中で動けずにいた。
外は寒く、気持ちも重く、前に進む気力が湧かない。
そんな僕の目の前で、しろくまさんは足踏みを始める。
「ずん!!ずん!!ずん!!ずん!!」
被った布団からそーっと覗いてみると、
まるで僕が布団から出るまで待っているかのように、
表情は、とびきりの笑顔だ。
「ずん!!ずん!!ずん!!ずん!!」
「さあ行くぞ!!君もついて来るんだ。」
しろくまさんは、僕に言う。
3 肉球を捧げよ
「まだ悩んでいるのかな?」
「もう退路は断ったはずでしょう?」
シロクマの声が、心の奥に響く。
僕はあの日、誓ったじゃないか。
離婚した日に、人生をやり直すと。
変わった姿を見せて、もう一度、あの子の前に立つんでしょう?
だから、進もう!!
「肉球を捧げよ!!」
しろくまさんは、僕の手を引く。
「ずん!!ずん!!ずん!!ずん!!」
4 未来へ向かって
しろくまさんは、前を向いて進む。
僕の背中を押しながら、まるで合図のように。
「明るい未来か、暗い未来かなんて、まだわからない。」
「でも、もしかしたら、何か変わるかもしれない。」
僕は、ふと気付く。
期待するのが怖くて、諦めることで自分を守ろうとしていた。
でも、しろくまさんは違う。
5 新しい景色を見に行こう
「さあ行くぞ。」
しろくまさんは僕に言う。
全ての景色を、思い出の景色と重ね合わせる必要なんてないんだ。
「さあ行くぞ。新しい景色を見に行こう!!」
しろくまさんは再び手を引く。
僕もその手を握り返す。
「ずん!!ずん!!ずん!!ずん!!」
そのリズムとともに、一歩を踏み出した。
明るい未来と新しい景色を探す旅へ
かかげた肉球と春の空。
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