#26 試験3日前のできごと
2022年10月。中小企業診断士資格1次試験に、思いがけず合格した私は、何の対策もしていなかった2次試験にむけて、残された3ヶ月を毎日何時間も問題を解き、解説を読み、悩み、苦しみ、、、という過酷な時間を過ごしていた。どうせこんなに頑張ったところで、受かるわけがない。そう思いながらも、頭の片隅には、奇跡的に受からないかなぁ。という希望も持っていた。
落ちたら来年までチャンスがないし、それも落ちたら1次試験からやり直しだ。この苦しみがいつまで続くのだろう、、という怖さも持ちつつ、とにかく試験当日に向けて、がむしゃらに勉強していた。
そんな、試験3日前のできごと。
2次試験は文字数が制限されている記述式なので、過去問の解答用紙を配布しているサイトを見つけ、A4コピー用紙にプリントして利用していた。
朝、いつものように問題を解きながら、コピーした解答用紙に文字を書き込んでいると、目の前にぼやけた消しゴムかすのような、ごみのようなものが見えていることに気づいた。あれ?と、紙の上を手で払っても、取れない。
あれ?おかしいな
そう思って、顔を白い壁紙に向けると、視界の右半分がよごれていて、視線を動かすとそのよごれも動いた。
目にゴミでも入ったのかと思い、目薬をさしてみても治らない…
目がおかしい
そう思った私は、近所の眼科へ向かった。その眼科は日帰り手術などもできる、設備の整った眼科で、行ってみると老若男女たくさんの患者で待合室はいっぱいだった。
待っていると、看護師さんに呼ばれ、視力や眼圧などの検査が行われた。あの目に風を当てる検査は、何度やっても慣れない。いつもビクッとしてしまう。
そしてまた、待合室に戻されて待っていると、「瞳孔を開く目薬をさしますが車などではないですか?」といって、目薬を両目にさされた。「これから5〜6時間は視界がぼんやりしますからね」と説明された。
時間つぶしに、自分で作った2次対策資料を持ってきていたので、それを見て勉強していたのだけれど、説明された通りどんどんと視界が明るくまぶしくなり、文字がみえづらくなってきた。
なんだか夢の中にいるみたいだ…
試験3日前にこんなところで時間を潰している場合ではないけれど、そんなことをのんきに思いながら待っていると、診察に呼ばれた。
網膜を検査すると言われ、顕微鏡のような機械の前に座らされ、目に強い光を当てられた。目玉を言われる方向にぐるりとまわし、写真を撮られた。
診察結果は、「飛蚊症」
薄々、そうかもしれないと思っていたけれど、まさか試験3日前に発症するとは思ってもいなかった。
先生の話によると、
網膜剥離でも同じような症状があるので、網膜の検査をしましたが、そちらは大丈夫なようなので、これは加齢などが原因でおこる症状ですね。
ということだった。
えっと、、治るんですか?
希望でしたら、レーザー治療などもできますが、このままで過ごされる方も多いです。放っておいて自然に治ることはありません。もし、どうしても気になるようでしたら、レーザー治療も考えれば良いと思いますよ。
と…
はぁ、、、。
そして、特に目薬などの治療薬もない。このまま付き合っていく。というだけのものだった。ドライアイぎみだったので、ドライアイ用の目薬だけ処方されて帰ってきた。
まだ視界はぼんやりしていて、文字が読めない。
今日はもういいや。
急に、投げやりになった。気づけばもう47歳だし、加齢によるいろんな症状が出るのは仕方のないこと。だけど、なんで今??あと3日待ってくれたらいいのに…
誰にも当たることのできないモヤモヤに、悲しくなった。
そんな試験3日前のできごと。
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