#30 第2次筆記試験 合格発表
試験が終わってから2ヶ月、教科書も試験問題も一切見ない生活を続け、だらだらとドラマやYouTubeにハマる堕落した生活に戻っていた。
2023年正月、久しぶりに実家に家族が集まった。
父も母も、子供や孫たちに会えるのはやはり嬉しいようだ。いつもよりもテンションが高い。食事を終え、みんなでまったりしていた時、
「書き初めせぇーへん?」
と言い出したのは私だ。
私は毎年その年の抱負を決めているのだが、なんとなくそれを習字で書きたかったし、みんなの抱負も聞きたかった。
それで、母が習字道具を持ってきて、1人ずつ抱負を書き出すことになった。しかも、練習なしの一発勝負。
久しぶりに持つ筆の感触。
書くことは決めていたけれど、半紙の上のバランスを考えるとなかなか難しい。いざ、心を決めて書き始めると、やはり思ったようにはいかない。でもそれがなんだか楽しかった。
みんなでワイワイと言いながら抱負を書いた。
母は「家族一丸」父は「元気」、兄は「夢」義姉は「顔晴る年」、姪は「有言実行」甥は「1年でレギュラーになる」、そして私は
「新しい事する」
と書いた。
今年の抱負を「Try Someting New」と決めていたので、日本語にしてみた。
もし、合格していたら新しい人生が始まるし、そうでなかったとしても、どんなに些細なことでも、新しい挑戦をして行こうと考えていたからだ。
それぞれ自分の書き初めを持って写真を撮り、お開きとなった。
写真に映るみんなの笑顔と抱負を見ていると、なんだか今年は良い年になりそうだなぁ。と思った。
そして、正月が明けた2023年1月12日(木)午前10時。
中小企業診断士資格第2次筆記試験の合格発表。協会のホームページを恐る恐る開く。心の中は、「どーせ無理」「でもでも!!」の繰り返しだった。
受験票に書かれている受験番号を、開示されている番号の中から探す。
「01…、011…、0115…!!!!!」
あった!!番号があった!!!
え?まじで?え??え??と、1人パソコンの前でプチパニックになって、画面と受験票を並べた写真を撮って友達にLINEした。
「こ、、これ、受かってるよね!? もしかして(泣)」
泣き顔スタンプと共に「合格だよ〜」という返事がすぐに返ってきた。
本当に受かってるとわかった途端、涙が溢れた。
嘘でしょ、、
手が震えて、みんなに連絡したいのに、文字が思うように打てない…
それくらい、自分にとってこの試験結果は奇跡だった。
少し落ち着いたところで、両親や友達、お世話になった先生、一緒に勉強していた仲間に連絡を入れた。みんな喜んでくれたけど、2次試験を受けていた仲間で合格していたのは私だけだった。それを聞いて、本当に奇跡はあるんだ。と思った。みんな、私なんかよりずっと立派な経歴だったから。
後に、中小企業診断士となって活動を始め、先輩にこの話をした時、
「診断士になる人ってなるべくしてなるんやと思う。向いてない人は何年かかっても受からない。」と言ってくれた事が、自分にはこの世界が向いているのかもしれない。ってちょっと嬉しかった話だ。
その後届いた、2次筆記試験の結果によると点数は以下の通りだった。
事例1:66点
事例2:68点
事例3:60点
事例4:47点
合 計:241点
合格ラインは各科目40点以上かつ合計240点なので、スレっスレだった…
絶望していた事例4は、体感10点だったのに47点配点されていたことには驚いたけれど、それ以外はすべて合格点(60点)以上を取れていたことも嬉しかった。
ちなみに、この年の2次試験受験者数は8,712人。合格者数は1,625人。合格率は18.7%だったらしい。その中に入れたことは本当に嬉しかったし、先生からは、ストレート合格者は4%より少ないんじゃないか?と言われて、ちょっと有頂天になった。
さて、ここでウカウカしていてはいけない。この後に口述試験という面接試験がある。ほとんどの場合落ちることが無いらしいけれど、これで落とされると、一からやり直しだ。口述試験では、筆記試験に関する問いが出されるという。
2ヶ月ぶりに、試験問題を見返した。
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