東京の今を通過して
9月21~28日に東京に行っていました。
生まれた頃に住んでいた家に行って隣人に会ったり、仕事を与えてくれた人に会ったり年齢も職業もバラバラでどこまでも話し合った仲間たちとも会ってきました。
繋ぐものは繋ぎ、軽々しくなれるものにはなり、陣地を一歩踏み外すことをしていこうと常に思っていて、その思考をまた重なるのがいつも東京の旅だなと思います。
東京都美術館の田中一村展、森美術館のルイーズ・ブルジョワ展を見てきましたが、ただただ、数を重ねることの力、言いたいことのつきなさは命そのものだし、憧れとうっすらとした苦汁を飲むことをいい加減にやめたいと、こうやって書いていると思います。
誕生日を迎えたので何か自分に贈り物をと思っても、欲しいと思うものがそうもうなくて、物欲がないことの悲しさ、ハレを自分で作ることがそうできない困難を誕生日でも感じます。
そうは言っても運ぶのが大変だから普段は敬遠する美術館の図録を今回はそんなに迷わず購入しました。
田中一村展は展示も図録もおすすめです。
800円の送料を払えばネットでも買えます。
(そうです。送料をケチりました)
他にも三軒茶屋の「twilight」で養老孟子、宮崎駿の『アニ眼とムシ眼』を購入。
基本的に旅の最中は本を読めない、字面を追っても浸み込ませず弾き返したくなるのですが良い本屋だったので、記念と応援も兼ねて買いたくなり、一時間は選んでいた気がします。
持ち運ぶのが大変ではない文庫で、この旅の間浸透できる本を選びました。
それぞれの見方に共感はあるのと絵がいいので、ちゃんと読むことが出来はしましたが、今の若い人はこうだの話に光が射せないと今を生きている人間は追い込まれるばかりなので、そこははっきりうんざりしました。不安と問いを友にしなくてはと自分に思いました。
何も欲しくはないという気持ちはありつつも最近NOSE SHOPの存在を知り、香りの表現というのに興味があり店を覗きました。
この価格と存在を自分の今に鎮座させたいと思うかが、大体私の物を買う基準ですがそこに現品そのものが入り込む熱は持てなかったので、好奇心から香水ガチャを回してきました。
Maya Njie(マイヤ・エンジャイ)のNORDIC CEDAR(ノーディックシダー)が出ました。
最初嗅いでいた時はそんなに好きな香りではなかったのですが、
これは実際つけるとひとりぼっちの香りでした。
つけたては冷たくとっつきづらさがありますが、体温になじむと甘さがちらちらする。
孤独というよりはひとりの寂しさを味わいながら人恋しさを思う甘さがあり、
幼さが残るひとりぼっちという表現の方が適していると思います。
東京の街をこれをつけて歩く私は愉快でした。
他にも気になってしまったのでまた別日にもう一度改めてガチャをやりに行ったら
THE HOUSE OF OUD(ザハウスオブウード)のTHE TIMEが出ました。
独創的なボトルと高価な値段で有名ですね。
紅茶系の香りで人気が高いのですが、
つけたてはサンタール・エ・ボーテのホワイトティーによく似ていて、それだったらホワイトティーの方が安価でいいじゃないかぐらいに思っていたのですが馴染んでくると苦みと渋みが出てきて、憂愁が出てくる。
辛酸を味わい尽くしたあとに、優しく品よく振舞う人のようでした。
ニッチフレグランスの魅力は恐らくこの辺のストーリーとそれを思い浮かべながら付き合う感じなんでしょうね。
また機会があったら試してみようかなと思います。