被災しました
被災をしました。
何年も広げ続けた川幅を乗り越えてくる日がこんなに早く来るとは思っていませんでした。
雨そのものが激しく降るというよりも川から水が増しいくように見えました。田植えを終えたばかりの田んぼや川側の電柱は呑み込まれ、電柱が倒れる瞬間を初めて見ました。道路に溢れた水は滝のように流れていて、気づいたら辺り一面は濁った海のようでした。
家屋の浸水はしていません。何を被災と言っていいかわかりませんが今は土地が傷ついたことを被災と呼ぶことにします。無事ではありますが、無関係ではなかったと思うので。
夜にその時間を迎えずに済んだこと、停電はしたもののその日のうちに復旧したこと、断水はしたけれど集落の蓄えた水で大体の生活用水は賄えたこと、近所の温泉はやっていてくれたこと、2年ぐらい音信不通だった友人から便りが来たことがよかったと思います。
今年に入ってからチェーンソーも買ってユンボの運転も習って山の勉強をしているのですが、大きな土砂災害の起きている土地はほとんど共通している山の状況があり、どう生きるかが何を生かし何を奪うのかの繋がりを見つけやすくなったように思います。それも含めて、この土地に住めて良かったと思います。都市で見て見ぬふりをしながら苦々しく安全神話の細い糸を掴むよりは、ずっと。
今年は家族の生死に関わる病にも立ち会っているので、生死の境、日常の境を見つめる時間のようで、心からの幸福を感じられる時間とも言えると思います。