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「神々の遊戯場」

絶望まで死んでしまった街にいる、
煤まみれで灰黒まだらに染まってしまって、影に見紛う猫が街路を横切った、
年端も行かぬが外れの農家に残った羊を盗めないかと耳打ちしてる、

引き千切れたネックレスが紛いの真珠をばら撒いていた、
アスファルトのひびに落ちた一粒が、数日ぶりの陽光を跳ね光線を打つ、
煙と霧が混ざって白から灰へグラデーションする空と地が、
何処かで焦げたにおいがしたら、薬漬けが火を放ったんだと逃げる準備を整えろ、

オルガン、教会、スパークプラグ、
トランペットと散弾銃と羊飼いが握る鈴、
シルクのスカーフ、ゾンビに似せた首振り人形、神の手、神の目、神は舌打ち、

この街以外のどこかに行けば、どうにかなるんじゃないかって、
ありったけを詰めたトランク、目を隠すハンチングで明日へ逃げた、
屋根から屋根を渡ってた、こそ泥独りが羨ましげにそれを見てる、

絶望までが死んじまったらいっそのところ気楽なんじゃないかと思う、
だけど、そいつは間違いらしい、絶望にはまだ微かな望が含まれてるんだと、

怪我をしたとき血が流れ、痛みによって生きているって感じるだろう、
それに似たこと、虚無になるまで命は続く、

絶望だけが生きてる街で呼吸をしてる、
羊を食うのは俺だけなんだと、ライフル数発響かせ舌打ちした農夫、
乾いた氷の風に消されたハーモニカ、明日になったらそれを忘れてまた絶望に鳴るんだろう、




photograph and words by billy.

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