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「さよならソビエト」
12月の痩せて尖る裸の枝のように突き刺さる、
口笛鳴らして渡り鳥たち溶けてゆくのは遠く東に、
人差し指立て虚空に歪な円を描く、
僕はきっと乗ってたよ、
それが砂の舟だと知ってても、
どこまでだって青い視界の隅には何故か、
滴が伝って泣いているんだと気づく、
10まで浮かせてそれぞれに、
滅んで消えた国の名前をつけてゆく、
消えてしまった氷の国の名前で呼ばれている俺は、
虚空の円と同じように消えてくだろう、
別にそれでかまわないからさよならソビエト、
消えてくれても別に良かった、
二度と現れないよう消えてくれていいって言おうか、
君が消えて亡くなった、
その日のことは憶えているからさよならソビエト、
ツバメたちが壊れたアコーディオンみたいに泣いた、
それから思うは12月の痩せた青い空のこと、
ベロアのパジャマで散歩している15歳はブラを着けずに集まる視線を楽しんでもいた、
なにもかもどうでもいいから消えればいいと叫んでいる犬、
それから猫みたいな女の子、
昔に消えた古い国の名前なんて誰も憶えていなかった、
なにもかもがやがてを待たずに消えてゆくんだ、
消えてしまってくれても良かった、
二度はなくて構わないからさよならソビエト、
失くなってしまっても、その魂までは消えやしないよ、
だからか時間はいつだって、
砂時計がごとく流れる、
波がさらって貝殻残す波打際飛ぶ海鳥みたいにどこか遠く流れてくんだ、
いまはほら、口笛吹いたら冬の風と混じり合って溶けてった、
それから消えた国のことを地図に見て、歌えば僕は、
夕闇迫る雑踏に、紛れて消えちまったんだ、
君は、僕は、
濃い闇、紫、人混み紛れて消えてしまうことを知る、
photograph and words by billy.
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