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「冬の口笛」
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穴の開いた淡い藍の古いバスタブ、縁から氷柱を尖らせていた、
数秒おきにぽつりと落つる、
透き通ったばかりの水は、天から注ぐ光を連れてふわりと舞う、
キツネの親子が口を開けて待っていた、
まつげを白く凍らせて、乾いた体が成ったばかりの透ける水を待っている、
片目に黒い眼帯の、火吹き男が泣いていた、
零した其れでキャンドル、ライター、マッチまで、
点火の術のすべてを濡らして消していた、
溶けた氷が小さな湖つくってた、
荷台にあらゆる原色積み上げた、サーカス団は明日へ急ぐ、
忘れていた季節のことに気づいて慌てる渡り鳥の群れみたいに、
きれいな水を夢にまで見た道化師は、鮮やか過ぎて透明さえ失くしてしまった其のことを、
泣き疲れて眠ろうとする助手席の、火吹き男に話したがった、
頬には滴の跡が残って、それがいつかの水辺へ流る、
調子外れの童話を唄う、赤い鼻はそんな気がした、
荒野に原野に海辺に空に、
街や森や南の珈琲農園に、
巴里に倫敦、東京、市俄古、
越南、香港、上海、仏蘭西、
渡り鳥が導くように、きれいな水が流れるように、
季節がまた訪れる、新たな季節が巡りくる、
渡り鳥は旅路を歩む、きれいな水が流れるように、
季節はまた変わりゆく、祝福さえ連れ新たな季節がやってくる、
photograph and words by billy.
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