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「いらない子供」#6
ひょっとしたら、いつか。自殺したい誰かに会うかもしれない。いまなら言える。「どうせ、いつかは死ぬ。いま死ななくてもいいだろ」って。ご飯くらい、俺が食わせてやる。お腹いっぱい食わせてやる。お腹いっぱいになれば、次の空腹まで死ぬ気になんかならない。
しっかり食べて、逃げればいい。誰よりも早く。君に立ち塞がる、わけのわからないものから逃げればいい。
それだけじゃないか。いますぐ逃げて、そこで生き延びればいい。誰も彼もが敵になるなんてことはない。きっと、助けてくれる人はいる。人間ってそんなもの。困っている人の助けになれればいいって、思うからこそ、僕たちは生きている。
ほら、聴け。スピッツ。俺たちには、こんな美しく、優しい音楽があるんだぞ。
知ってるか。ミッシェルガンエレファントって。ブランキージェットシティってYouTubeにもあるだろう。最近は羊文学もよく聴いてる。BiSH好き? 坂道系は名曲多い。アイアン・ジャイアントって映画知ってる? なあ、もっとすごい音楽や映画を知ってるだろう? 俺にもそれを教えてくれ。それから美味い酒を飲もう。笑って生きよう。
僕はもう、いらない子供じゃない。必要とされる大人になるんだ。僕はもう、子供じゃないぞ。おまえらの好きにはさせない。やられたらやり返すぞ。奪われたら奪い返すぞ。俺は絶対に復讐するぞ。誰よりも笑って生きてやるぞ。
僕が笑っていることを、僕が楽しむことを、誰よりも嫌った老人のことなんて、「おまえなんか知らない」と笑ってやるんだ。
地獄? そんなのきっとたいしたことない。それより厳しい、この世界を生きているんだ。生きてやるんだ。
ロックと生きている人間は、強いんだぞ。これからだって、ニヤっと笑ってやる。そんなふうに生きるしかない。
そうしてやるさ。
気がつけば、すぐそこには太平洋の青が広がる。いままで見たことのある、どんな海よりも激しく、あたたかく、雄々しい海は、きっとなにを叫んでも一瞬でかき消してくれるだろう。
なんとかなるさ、と、僕はつぶやく。その声の遥かな南から、いつものように飛沫が弾ける。永遠なんてどこにもないと思っていたのに、この繰り返しは永遠なんだとようやく気づいた。
photograph and words by billy.
(とりあえず)おわり
……思春期以降、青年期にも、本当にいろいろあって。それを書くには、告白しないとならないこと、思い出したくもないことが多いので、また、機会があれば、ということにしておきます。
心配までしてくださった方へ。ありがとうございます。僕は元気に太平洋で笑って生きています。たくさんのnoterの方も、いつもありがとうございます。
あ、別に終わりませんので。よろしければ、これからもお付き合いくださいませ。
2022.10.08 ビリー
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