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「夜明け前のオルゴール」

夜明け前に見た夢は、群れなす鳥の放物線、
白い羽根に映る橙、深い青みに混ざりゆく、
裸の樹々に残された、色を失くした葉は吹かれ、
天井裏の小窓から、差し込む陽光、
その下、踊る埃たち、
醒めない思いも虚しく消えた、

こぼれ落ちた手の平の、砂はかつての甘い実の、
たぶん幻、忘れてしまえば痛みに麻酔、
鳴らないはずのオルゴール、星の見えない夜の歌、
鳴らないはずのオルゴール、話し疲れたウサギのおもちゃ、

夜明け前のオルゴールが鳴らしてた、
泣くのはやめだと顔あげた、

鳴らないはずのオルゴール、歌っているのはすぐそこ迫る祝祭の日、
おもちゃのウサギが眠りに落ちた、起こさないよう静かにしてる、
「今度は私が子守唄、起きないように歌ってるから」
汽笛を叫んで東へ向かう列車は見えず、

明くる日には新たな地にて誰かを乗せる、
夜明け前のオルゴール、子供のときからずっと一緒の、
歌がいまも胸に鳴る、遠い国の古い歌、
拙い旋律、オルゴールがいまも歌うは恋したばかりの雪の日のこと、

photograph and words by billy.

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ビリー
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