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「空は今日も冷たい色を続けるだろう」

空は今日も冷たい色を続けてた、
氷を降らせる直前の、雲の切れ間に細い光が一筋落ちる、
直下には、落ちた一葉にも見える、旅の木舟が漂うように流れてた、
天を仰ぐ小さきひとりの薄い瞼を貫いて、肩甲骨から抜けてゆく、
虚勢のための嘘八百を数えた歌を口笛に、それからそれから、
吐き出したる青い紫、風に連れられ灰の天へと溶け込んだ、

南を目指しているらしい、海鳥たちの乱れ乱れる白い羽根、
喘いでいるのか酔っているのか、或いは単に迷うことすら遊戯であるか、
地にしか足の置き場を持たぬ、孤独たちは逃げ場なんぞもつかめずに、
嗤い声をあげている、泣いた後の術を知らない私たち、
この地に生きる意思を持つ、儚き者に空は冷たい色を見せつける、

僕を殺しに来たのだと、俯く子供の横顔に、
痩せた氷が重なった、その薄い肌はどこかで見ていたはずだった、
それはたぶん、幼い頃の君だろう、
君はいまの僕を見ない、僕はその子を見ていられずに、
距離は縮まず、その間を冬が流れた、

嗚呼、空は今日も淋しい色で、
沁み入るほどに青いだけ、せめて直視は避けようと、
寄り添う木に倒れ込む、キズだらけの根でそれは立ってた、
空にまで伸ばした枝に、赤みの強い葉は落ちそうだった、




photograph and words by billy.

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ビリー
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