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「出航」
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見果てぬ先に風が吹く、
西から東、尖って乾いたそれが鳴るとき、
海と空の境界駆ける鳥に似た声、
どこから吹いて、どこへ流れる?
いまだに誰も、吹かれていない旅の歌、
僕は、君は、その行く先を睨んでた、
荒れた地ばかりが拡がり続け、
道らしい道もなく、辿るべきの足跡さえも見当たらない、
僕は思う、君に問う、
君は思う、僕に問う、
旅は続いて未知ばかりが増えるだろう、
犬が吠えたら進む合図だ、
風の声に耳を澄ませて、
天が涙するときは、両の手を高く掲げた、
稲妻が喚く夜にはその叫びを浴びてみようと、
朝焼けには目を細め、天の幾億、星を数える、
陽に灼かれても砂上を歩く、凍てつく氷原、
そこでさえも立ち止まりもせず、
新しい世界では、新しい名前を呼び合った、
新しい街に迷い、新たな想いを語り合う、
出会い重ねる人々の、鼓動を胸に刻み続けて、
孤立を恐れず孤独に強く、
そして孤高へ歩を進めよと、
抱いた想いの全てを自分の言葉にできるだろうか、
愛だろうか、例えば自由、それに優しさ、
あるいは希望や願いでも、
かたちにはならなくも、誰もが胸に宿らせる、
命の想い、希求と賛歌、果てしない旅の途中、
目を閉じて、微かに感じる光に手をかざす、
旅人はいま、その名を移民に変えて、
立ち止まるをやめるだろう、
空を見上げた、そこには風に乗る鳥が、
この世でもっとも美しい、
その瞬間は、僕が君が知るだろう、
ひとつとひとつの孤独に過ぎぬ魂として、
孤独は孤独と重なり合う、
旅の途上の人々は、いつかの約束ぶら下げて、
青みを走る頭上の鳥が南へと、差し出された細い手は、
陽の真下に広がった、数多の羽根と重なった、
photograph and words by billy.
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