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「路上の奏者とアコーディオン」

路上の奏者は雨のが上がるの待っていた、
虹の音色のアコーディオンはケースのなかでまだ寝てる、
奏者は既に老境を迎え、連れ添った鍵盤楽器の破れかけの蛇腹の声を聞いていた、

葬送行く者、なぜだか白く着飾っては祝福かのよう騒いでた、
天上へと昇るものなら既に彼らを見下ろし透き通ってゆくところ、
神の使いになる気はなくて、春の風に生まれ変わろうって考えていた、

風は過ぎ、たたんだ雨傘、
踏みつけて冷たくて、思わず蹴飛ばす水たまりには知らない間に鮮やかなる青、
見上げた、すると西の端から雲は切れ、
いつかみたいな青い空、光のほうへと集まってゆく鳥たち、
そうだった、いつの間にか雨は終わっていたんだった、

路上の奏者は天上天下を行き来し始めたアコーディオンを撫で愛でて、
軌跡と奇跡、生くと逝くの旋律を、
私も近く行くからと、数百歳の鍵盤楽器をケースに寝かせ、
雨の終わった晴れ地の南、海へと繋がる坂の川へと、
小さな舟へ乗せ送る、船頭には一筋照らすキャンドルの、
炎が揺れて御先までを照らしてた、
眠りについたアコーディオンは啼くことなく静かに天へと流れてく、

photograph and words by billy.

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ビリー
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