【あとがき】昨日、見つけた光について。
#thislight
#あとがき にかえて。
#おとなりさん2 を終えて。
#創作大賞感想
さて、いかがでしたでしょう、「おとなりさんseason2 海の見える食堂から」。
昨年秋、
という、さまざまな乾杯の風景を2000字ほどのショートショートに、全10編と特別編を2編、このビリーnoteに掲載したところ、たくさんのありがたい感想をいただき、そのなかには、「2期も読みたい」という、嬉しいご意見もいただいていました。
ちょうど、noteが「創作大賞2023」の応募要項を発表したころ(だったような気がするだけかも)。
そのころ、note外に書いていた中編小説を終えて(ほんとはひと休みするはずでした笑)、他に着想があるものといえば、おそらく、どれも10万字以上を想定している長編。応募既定では20000字以上14万字以内とあるけれど(だったかな)、ひと月で10万は書ける気がしないし、そもそも、ぼんやりと着想があるだけで、詳細については何も決まっていない。
その昨年の「おとなりさん」もエントリーしているけれど、どうせやるんなら、やっぱり、書き下ろしも欲しいしな、とも思って。
「おとなりさんにするか」
そう思ったけれど、まったく何も思いつかなかった。
前の「おとなりさん」は、君と僕、あなたと私、そんな、名前のない人々が一人称で、乾杯までの一場面を描いたもの。
一人称、なんて。
それもいただいたコメントで教えてもらったんです。「これが一人称? 二人称はこれ? 三人称はこんなふう?」みたいに。なんとなく使っていた。でも、うまく書き分けられていると教えてもらった。僕は、意味を知らない言葉だって、なんとなく、使っていたりするような人間なんです(笑)。
知った顔なんかしたくないので、無知、無学を告白しておきます。僕はまるで読書に不向きな人間ですし、これから、読書家になることも、おそらくないと思われます。
「長文書いてるのに?」って言われるかな。それはそれ。
毎日、野球見てても、野球選手になれるわけじゃないで、使う能力のベクトルが違うのだと思います。
タイトルはそのままにして、内容は違うものにしよう。
そもそも、「おとなりさん」は、noteの「ほろ酔い文学」の募集に合わせて書いたもの。乾杯して、生きるよろこびを分かち合う話がいい。居酒屋の話にして、そのお店を中心に、その町で生きる人々の「おとなりさん」なら、なんとかなるかもしれない。
今回は、舞台を決めよう。セリフのある人物には、ちゃんと名前を付与しよう。僕と君だけではない世界にしよう。
居酒屋にしておけば、創作大賞の「お仕事小説部門」にエントリーできる、ということもあって。ばっちり恋愛ものではないし、他に該当しそうなカテゴリーもない。
主人公の女の子が、ある種の職業意識に芽生えるまでの物語がいいかもしれない。希望に満ちた未来について、書きたい。
書きたいのは希望やよろこび。
ビリーnoteの新しい代表作は、肩を並べる誰かがいるよろこびを描く、「おとなりさん」がいい気がしたんです。
実は、沢渡豊と沢渡たまきという父娘は、未発表の長編小説「新説・流星ツアー」に登場する人たちなんです。「青春小説なんだから女子高生いて欲しいな」と、サブヒロインの枠に16歳の女の子を登場させていました。
それが、沢渡たまきと、父、豊でした。
ついでに。
第9話に登場した、腹話術師のハルさん、娘のいなほちゃんも、やはり未発表の中編小説「さよなら夏の日」の主人公たち。
この「おとなりさん2」にあるように、主人公のたまきは、母の再婚を機に、父の豊がいる四国へやってきます。
そこまでは、その「新説・流星ツアー」で書いていたんですね。たまきは、旅のさなか、その新説の主人公、平光すみれと出会い、友情を育みながら、いろいろな人たちと太平洋へやってくるわけです。
平光すみれは26歳でした。今回、たまきを可愛がってくれたのは、30歳のあかりさん。お姉さんに好かれる、たまきはとても良い子なんだと思う。
今回の、この、おとなりさんは、その一年後の夏。父娘で営まれる花鳥風月が舞台でした。もちろん、大好きな高知県香南市の夜須が舞台。なにもないようで、これ以上、なにもいらない。なにも足さず、なにも引かないでいい。
そんな思いは、あるいは、移住者の浅はかな憧憬かもしれない。
でも、僕は、香南市という街に対して、特別な愛情があるんです。
「香南市から来ました」
「香南に住んでいます」
と、すぐに言えるくらいに。どこを歩いていても、運転していても、「香南市は本当に素晴らしい町だな」と思うくらい。
生まれ育ってはいないから、地元とは言えない。けれど、すでに、この町は僕の愛する町。いつか、僕の地元です、と、声にしたい。
最初から、ここを舞台にしようと思っていました。
今回の全10本は、全体でおよそ50000字か、それを超えたかな、くらいなので、短編、ひょっとしたら、ギリギリ中編に食い込むくらいのサイズでしょうか。
応募に期限があったので、中盤以降は駆け足気味になりました。もっと書きたいエピソードや、噛み砕いて書くべきイベントもあったのですが、キリよく10回で終わらせたかった。時間的な余裕をもって終わりたかった。
またいつか、別の機会にその部分を書き足せばいい。あと10本書けば、10万字になる。そうすれば、ひとつひとつは短いけれど、しっかり長編小説に刷新できる。そう思って。
たまきの卒業や、里帰りだって、きっと素敵な物語になる。
僕はどうもスロースターターらしく、この物語も、第7話くらいになるまで、あんまりしっくり来ないまま書いていたんです。とはいえ、その第7話を書き終わるころには、8と9は前後編で夏イベント、それからラスト、みたいに、残りわずかしかなかったんですけどね(笑)。
やっぱり、うん。
じっくりと時間をかけて、大ボリュームの長編を書きたいな、と、思う。
今回、約一ヶ月で50000ほど。二ヶ月で10万書けるとは思わないけれど、半年あれば、また、10万を超える長編をやれる気がする。夏はやりたくないけれど。
少しは休みたいけれど、長く休みたくはない。感覚が鈍るのが怖い。
なにせ、小説を書こうと決めてから、一年ほどしか経っていない、若輩者ですので(←トシは別)。イメージがかたまったら、すぐに新しく書き始めたい。
どれにしよう?
どのイメージに手をつけよう?
いまは、そんな気持ちです。コメディ、悲恋、愛憎劇。どれがいいかな。あたたかい家族ものが続いたから、次は、きーんと冷たい気配のものがいいかな。夏だし。僕は夏が大の苦手なんです。真冬に生まれたせいか、夏がくるたび、涼しくした部屋で季節が変わるのを待っているような気がする(笑)。
今日はこれくらいにしておいて。
さて、ビールにしよう。昨日からファスティングしていたんです。今朝はお粥だけ。きっと、染み渡るくらい、美味しいビールになる。
それでは、また。ビリーでした。
photograph and words by billy.
今夏の「おとなりさん season2」はこちらから。