「アリアドネの糸」
水が光の反射の軌跡を歌う、
覗き込んだ僕らの顔が、映し出されて揺れる鏡面、
熱持つ砂の粒ひとつ、何処かに紛れたアリアドネの糸を探した、
見つからないと知っていてなお、どこかで変われぬ僕たちは、
笑顔がいつも揺れているのは横顔ばかりを見続けたせい、
初めて見下ろす正面は、眠りについているだけみたい、
組み合わされた細い手に、水辺に咲いた花一輪を差し込んだ、
微笑んでいた、苦しむことも悲しむことももうないと、
静寂すぎる君に告げる、解放されて手繰る糸はどこに続いた?
想い出せても戻れはしない、並んで走った季節を忘れてしまうことができれば、
少しくらい、少しくらい、
一足早く永遠なんてものを手にしてしまった君へと思う、
砂になって消えてゆく、水辺の光に揺れた日のこと、
あの瞬間にアリアドネの糸があるって、
告げようにも君は無言、僕は言葉を失って、
ただただ其処に立ち尽くす、やがては僕にも訪れる、
永遠を手繰り寄せてしまった君の、アリアドネの糸を思う、
photograph and words by billy.
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