「百年孤独」
黄昏れる国、アコーディオン、
灰色がかった港の近く、破れた蛇腹を吹き抜ける、
砂の混じった海の風、
降り始めた雨も避けずに、駆け出す人を淋しげに、
忘れられない旋律を、鳴らすつもりで鳴らせない、
あまりに遠く離れて過ぎた、故郷に似た景色ばかりを、
旅して廻るだけの日々、けれど帰るわけでもない、
百年孤独、アコーディオンが揺れる思いに沿って鳴る、
千年孤独、消えゆく街のアコーディオン、
木々が風にさらされた、笑ってるような気がしたけれど、
それはたぶん幻だろう、季節は凪いでゆくだけだろう、
終わりゆく街、アコーディオン、
空いたままの塩に漬かったオリーヴと、
零れたまま放置されてるアルコール、ラベルが油に溶けていた、
ツバメは四季を抱き寄せながら、
南の海の匂いを嗅いで、夏の景色をまぶたに描く、
嗚呼、言葉で泣かないアコーディオン、
夜から朝になる間、ダークブルーの煙るころ、
嗚呼、百年孤独に生きてゆく、
影は闇に飲まれて消えた、
足跡だけが続いてる、
artwork and words by billy.
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