「偉大なる旅路」
真夏の光を集め始めた眩い青が黄昏れて、
立ち止まる帆船たちは木の葉のように揺られてた、
船上からは永遠までも視界にしようと終わり近づく旅人たちが手を差し伸べて、
微かな風に揺らされた、そのとき海は育ち始めた若い緑の草原にもなる、
走る風の響く草原、そこから流れて砂浜へ、
やがては揺蕩う凪の海、
目覚めた月は白く白く透きとおる、お星様たち瞬きしてた、
濃い濃い青い藍の彼方に人差し指で船を描いて、
光は繋ぎ合わさるものだと彼女が言った、
そこかしこにあるすべての光を手の平集め、
これはきっと未来を照らす光かもって彼女が言った、
旅の終わりの旅人たちは握り締めてた宝石を、
天気を眺めて見比べていた、
草原には光をまとう雨が溢れて、
彼女が抱いた花束を、歌う小鳥が一輪ずつを誘って空へと連れてゆこうとしてる、
旅を終えた旅人たちが空を見上げて最期の旅へと出かける瞬間、
彼女は抱いてた花束を、空に描いた船に預けた、
私たちは草原から眺める海へと還りゆくだけ、
十字の斜めに十字を紡いだすべての運命、
何を手渡し何を奪い去るとして、
葬送へとゆくふたりの左手、右手には、
広げたか細い頼りもない、それなのに、
空を見ている子供は迷うことなく星を追ってた、
船には旅に立つものたちが穏やかなる静けさで、
手にした荷を手から放った、振り返ることもなく、
解放された一粒ずつが刹那に光を跳ね上げて、
ふわり浮かんだそれらは鳥になって遥か高くへ、
光は繋ぎ合わさるものだと彼女が言った、
そこかしこにあるすべての光を手の平集め、
これはきっと未来を照らす光だよって彼女は言った、
artwork and words by billy.
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