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「四季の残響」

春の前の夜、絹が如く細い無音の雨が落ち、
冬の終わりの晴れ間には、小鳥歓ぶ声が咲く、
波打際では柔らかなる陽を吸い込もうと訪れた人々が、
乱反射にて弾ける光に歓声あげた、
凪ぎゆく風に微笑む飛沫、いまや季節は生まれ変わりのときになる、

光が射してくるのを待っていた、
穴の開いた手袋から赤い指、割れて滲んだ唇で、
それでも彼女は笑ってた、まるで世界の終わりみたいって、

まだ震えてる胸の奥から使い古しの台詞を数枚拾い集めて、
思いつきの調べに載せて春の歌を口ずさむ、
さらうように生き残りの北風が、彼女の声を散らばせて、
それでも君はなんでもないやと言って南を向いて目を閉じた、

美しい言葉を連ねることができたなら、どこか遠くへ行けるだろうか、
届かないと言いたいのだろう、見上げれば青は遠く鮮やか過ぎる、
それでも僕らは色鮮やかなる季節に身を委ね、子供のころの約束を想う、
いつか其処へ行かなくちゃって、かじかむ小指をからませて、

それから僕らは美しい言葉を探す、
どこに行こうか、どこにだって行けるはずだと、
未来で待つ互いの笑顔をまぶたに描く、零れ落ちた言葉たち、
砂粒に乗り移っては波にさらわれ遠く遠く光のほうへ、
天が僕らを許してくれるその日まで、つまみあげた砂粒に、
願い、祈りを託した言葉をいくつも載せて、

この手に届く世界の終わりで、
昨日の夜に飲み込んだ砂粒500系は、
目覚めてすぐに波打ち際に吐き出した、
それていいのさ、
誰かが今日も薄っぺらなる愛の在処を歌っているぜ、



photograph and words by billy.

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