見出し画像

ZAZ

4年前の来日公演にがっかりで、以来聴くことがなかったが、思い立ってまたYouTubeを覗いたり、CDを聴くようになって、やっぱり好きだなあ、と思う。

なぜがっかりだったか。

隣の席の男性が開演前から何と、ビールを飲み始めた。どうせ飲むなら堂々と飲めばいいのに、一口飲んではガサガサと紙袋に戻す仕草が気になって仕方がない。もう最悪の予感!

一曲目から、いきなり周囲が総立ちになった。私は座って聴きたい。けれど立たないと穴倉に沈んでいるようで何も見えない。

隣の酔っ払いがゆらゆらと踊る気配が不愉快な上に酒の臭いを撒き散らす。何たる狼藉!私は全く酔えない!金返せ!

さらなる極めつけ。ZAZはお決まりの唱和を促したり、お喋りで盛り上げようとしているが、何か今ひとつ本人が楽しんでない、乗ってない、ムリしてる。私の気分の反映であったかも知れないが、前回の公演との微妙な差を感じていた。

遡ることさらに2年。同じオーチャードホールでの初めての来日公演は、幸運にも三列目の真ん中だった。小柄な体が弾けるようなパフォーマンス。チャーミングな衣装で、歌うことが本当に楽しそう。観客は思いのほか年代が高めで、抑制の効いた大人の楽しみ方。曲の全てに聴き入って堪能した。公演前、かなり曲を聴き込んでいたので、フランス語の歌詞もよくわかった。

お喋り好きで、曲の合間に盛んに客席に話しかけてくるのだけれど、意味が分からず、ほとんどの客は反応できないところ、すぐ後ろの男性がフランス語でノリ良くやり取りしてくれたのでホッとした。内容は分からずとも、とてもいい雰囲気だった。

画像1

ZAZを知ったのは、さらに遡ること数年。今から10年ほど前だった。

BSで、元ちとせと藤井フミヤがMCをしていた番組、"Amazing  Voices" をたまたま見ていて、フランスの街角でギターとベースの若者と3人でストリートパフォーマンスで歌う姿と声に釘づけになった。

画像3

まだ日本で知られていない世界の歌手を発掘、紹介する番組の趣旨だったと思うので、まだメジャーデビューするはるか前の映像だったのだろう。名前をどこかにメモしておいた。

数年後、ふと思い出して検索すると、YouTubeに出てくる出てくる!世界ツアーをする超売れっ子になっていた。

この頃アップされていたものは、ほとんど見ていると思う。好きな歌で、お洒落な映像のものは、繰り返し見て飽きなかった。フランス語の響きが心地良かった。初歩を習おうと、外語大公開講座のパンフレットを取り寄せたのもこの頃だ。

そうこうするうちに、新聞の片隅に、来日公演の小さな広告を見つけた。!!!

画像3

というわけで、ZAZを知ってからほぼ10年。ハマり込んだり、離れたりだったが、久しぶりに懐かしい曲、ここ4年余りの新曲も聴くようになった。

帰ってきたZAZ、というより戻ってきた私、か。何であれ、心を注ぐものがある幸せ。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?