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ナメクジはナメクジ!?

ナメクジはナメクジ!?

 6月も後半、もう梅雨入りでしょうか。蒸し暑い日が続けば、次の日は雨。嫌な季節ですね。
  昆虫写真を撮る目的で行くいつもの公園で、たまたまナメクジを見つけました。この日めぼしい昆虫に出会えなかったという理由もありますが、ナメクジについて少し調べてみました。

林縁で見つけたナメクジ

 カタツムリは多くの種類がありますが、ナメクジは種類が少なく、ふだん見かけるナメクジはナメクジということです。手許にある『カタツムリハンドブック』によると、

日本に和名の付いたカタツムリは約800種生息している(p.30)
ナメクジ科は日本に未記載種を含め3種が知られている(p.65)

カタツムリハンドブック 文一総合出版

 ナメクジ科は殻が完全に失われているグループです。これ以外に体内に薄くて楕円形の板状の殻があるコウラナメクジ科があります。背中に甲羅状の部分があるので区別はむずかしくありません。
 ナメクジ科には、ナメクジ、ヤマナメクジと未記載種であるヤンバルヤマナメクジの3種。ヤマナメクジは山地に多い大型のナメクジです。ヤンバルヤマナメクジはその名の通り沖縄本島北部に生息しています。
 つまり、平地でみるナメクジはみんなナメクジということです。だから何?と思われる方もいると思いますが、カタツムリが約800種も生息しているのは、移動能力が乏しいことがあります。であればナメクジもと思ってしまいます。殻がないため、特徴がはっきりしないからでしょうか。


コッペパンのくらいの大きさのヤマナメクジ

 沖縄を除くとナメクジはナメクジとヤマナメクジの2種だけのようです。ヤマナメクジはどんなナメクジでしょうか。尾瀬での出来事。湿った木道の上をゆっくりと動くコッペパン。よく見るとちゃんと角が2本頭から出ています。最初に見たときはびっくりしました。

尾瀬の木道をゆっくり進むヤマナメクジ

 このナメクジ、とにかく大きく太い。女子生徒の靴と変わらないくらいの大きさのもいます。写真のようなタイプだけでなく、体に黒い縦線がはっきりしたタイプもあって、小雨の降る中、山道で出会うとあまり良い気持ちがしません。ただよく見ると、角(正確には大触角)の先には眼がちゃんとあり、可愛らしい顔をしています。
 カタツムリは種類が多く、ナメクジは種類が少ない。カタツムリは子どもに人気があるが、ナメクジは子どもに人気があるとは思えない。ナメクジの研究はどうなっているのでしょうか。

やっぱり、ナメクジの研究は少ない

 インターネットでナメクジについて検索すると、宇高寛子さんのサイトがよくヒットします。京都大学の研究者で「興味を持つ人が少ないから、ナメクジは今もわからないことだらけ」だそうです。コウラナメクジ科のナメクジも含めての話ですが、分布状況や生活史もわかっていないことが多く、外来種も見つかったりしていますが、分類もまだまだだそうです。環境適応の幅が広く、種分化が進んでいないことの理由の一つのようですが、もっと多くの研究する人が増えれば、ナメクジの世界が一変しそうです。
 ナメクジの飼育は難しくないので、生徒たちにテーマとして勧める価値はありそうです。ただ、彼ら彼女らをその気にさせるのは、ひと工夫、必要かも知れません。

 


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