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温暖化のリアル~2024年度日本生物教育会第78回東京大会報告

今までで一番暑い夏 全国生物教師の大会で温暖化を考えた 

 8月6日、7日の2日間、日本生物教育会第78回東京大会に参加してきました。今までで一番暑い夏でしょうね。この暑い夏に、大会の中でぜひとも聞いてもらいたい講演があったので、その内容を報告します。
 日本生物教育会は、生物の先生の全国規模の研究会です。中心は高校の教師です。今年は探究に関することが研究主題でした。会場は高田馬場にある東京富士大学です。大会は、研究発表、(中高生も含めた)ポスター発表、研究協議、シンポジウム、実験講習、現地研修と多岐にわたります。最大5日間の日程で、全国から数百人が集まります。私は2日間だけ参加しました。
 2日目に行われた記念講演は地球温暖化に関することでした。実にタイムリーな内容です。講演者はこの分野の第一人者江守正多氏で、大変分かりやすいお話でした。

日本生物教育会第78回東京大会会場 東京富士大学

最新の研究からも気候変動はますます深刻に

 記念講演の題は「生物学と気候変動~ICPP最新レポートから分かること」、演者は、東京大学未来ビジョン研究センター教授の江守正多氏です。江守氏は、長く国立環境研究所で地球温暖化などの気候変動を研究された方で、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次、第6次評価報告書の主執筆者です。

IPCCとは、「Intergovernmental Panel on Climate Change」の略で、日本語では「気候変動に関する政府間パネル」と呼ばれます。1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立された政府間組織で、2022年3月時点における参加国と地域は195となっています。
 IPCCが果たしている重要な役割は、各国政府の気候変動に関する政策に対し、科学的な基礎をあたえることです。といっても、IPCC自らが研究をおこなっているわけではなく、世界中の科学者が協力して、科学誌などに掲載された論文などの文献に基づいた定期的な報告書を作成し、公表しています。

気候変動対策を科学的に!「IPCC」ってどんな組織? 資源エネルギー庁https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ipcc.html

 最新のIPCCの報告から温暖化の現状から対策にわたって、データにもとづいて大変わかりやすいお話でした。講演内容に近いものが、ご本人のホームページで公開されています。これはYouTubeでも見ることができます。いくつもありますが、「地球温暖化のリアル圧縮版①②③」から入るのがいいと思います。リンクを張っておきました。

「石器時代が終わったのは、石が無くなったからではない」~化石燃料からの卒業を

 地球温暖化に対して何をすればよいのでしょうか。江守氏から、私たちへのメッセージをまとめてみました。

 地球温暖化に対して地球規模の対策が必要で、世界の仕組み見直して、化石燃料からの卒業、つまり石炭、石油、天然ガスに頼らない生活ができるようにすることです。私たちもどんな場面で化石燃料を使っているのか考え、行動を変えていく必要があります。
 「石器時代が終わったのは、石が無くなったからではない」
                元サウジアラビア石油相のことば
 石器時代が終わったのは次の時代が来たからです。化石燃料を全部使いつくして終わるのではなく、化石燃料よりももっといいエネルギーをみんなが使えるようになったときに終わります、温暖化をストップするには、「化石燃料はたくさんあるけれど、もう誰も使いたいと思わない」という状態になることです。このような状態を目指すことです。太陽や風力など自然再生エネルギーはだんだん安くなっていますが、偉い人にまかせているといつ化石燃料から卒業できるかわかりません。パリ協定の1.5℃を目指すのであれば、みなさん一人一人がこの問題に興味をもって卒業を後押しする、加速する行動に参加してほしい。

夏休み明けの授業で、生徒たちにも伝えたい

 今日は何℃になるといった話や熱中症などの注意喚起をする報道がテレビであります。しかし、地球温暖化の原因や対策に関する報道を聞くことがないので、モヤモヤした気分になっていました。今回の記念講演を聞いて、私も何か行動に移してみたいと思いました。まずは、夏休み明けの授業で、生徒たちにこの内容を伝えていきたい考えています。


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