母と私の間に距離が生まれた。 ~トラウマからの脱却~
「あれは母の人生だったんだ」
と自覚してから、母と私の間に空間というか距離が生まれた気がしている。
少し離れたところから眺める感じ。
母の感じているもの、母の持っている傷がまるで自分のもののように感じてしまっていた。
こんなことってあるのだろうか。
あるのだ。
密着して一致していた、母の人生と自分。
二重の人生を生きてきたのかもしれない。
身体的には、別々の独立した生活をしているし、たまにしか会わない。
実際には、もう別々に生きているのに。
それなのに無意識の部分で、私の中に母がいる。
母の人生がある。
それは驚きの事実だ。
人が怖いとか身の置き所がないという感覚は、母が感じてきた感覚であり、母の人生だったんだとふと思ったあの日から、私の中の母が分離した。
初めて外から母を見る感覚になった。
気づくのに50年もかかってしまった。
もう私は52歳。
まだ52歳。
親がそのような傷を持っていたことは事実だ。
母が幼い頃に両親を亡くしたことは、だれのせいでもない。
母はなにも悪くない。
私に影響があったことも事実。
変えられない事実だ。
母の色も私の中に染まっている。
母が「親の味」を味わわずに生きてきたことは、大きな愛着障害を抱えることになったのかもしれない。
その母に育てられた私。
ひとつ気づいたことは、
私は母と、そして父に育てられた。
そして私にはそれなりの出会い体験があった。
母の生い立ちとは、まったくの別物だ。
私には私の色がある。
悲しみも苦しみも、どん底の味も知っている。
喜びも愛おしさも知っている。
今、生きてる。
自分なりの生き方を知りたい。
模索の日々が始まった。
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