下がったとこがゴールやで 2024/1/20
起きてバタバタと準備しながら朝兼お昼ごはんを食べる。冷蔵庫にあったものをダダダと並べて、インスタント味噌汁にせめてもと切りためていたねぎを散らした。
午後から十三のスタジオで撮影だ。クライアントのコーポレートサイトのリニューアルにあたり、プロフィールやイメージ写真の撮影をする。広報っぽいポジションにいるとよくある現場ディレクションの仕事。
はじめてのスタジオなのでどんなもんかと恐々訪れたが良いところだった。クライアントもカメラマンもこういう家に住みたい、オフィスを改装しようかなと口々に言う。深い色味のウッドを貴重に、アイアン使いの家具がおしゃれな雰囲気だ。インダストリアル系っていうんだろうか。
つつがなく撮影を終え、解放。
わたしは、十三に降りたつのがはじめてだ。
と言うとわたしをよく知る人が驚くほど十三は呑兵衛の街で、駅を降りた瞬間から酒場だらけ。昼前後の時間帯だが眺める立ち飲み屋に人々が集まっている。おっちゃんだらけ。おっちゃんに次ぐおっちゃん。こりゃあ期待しかないと、撮影前からソワソワしていた。もちろん繰り出すに決まっている。
行きたい場所だらけだがここは定番の「しょんべん横丁」を攻めることに。お下品な名前だが、そういう名称なので仕方ない。
まずは歩いて全体を把握しようとするも、しとしとと小雨が降ってきてしまった。目の前には事前に良いと聞いていたおすすめの酒場が。もう勢いで訪ねてしまおう。十三屋のたち飲み形態営業「十三屋 大光」へ入店。
幸いお客さんが少ないタイミングで入りやすかった。小綺麗で安心感もある。ありがたい。瓶ビールとおでんを2つ注文する。すぐカウンター越しに瓶とコップを渡され飲む。まずはじめの一杯がいつも最高においしい。撮影ディレクションの仕事は短時間に集中してよく動くので、今日はありがたみもましまし。
備えつけのテレビでは家事ヤロウの再放送が流れていて嬉しい。大すきな番組だ。目の前のカウンター越しに見えるのは鉄板、グリル台、おでん鍋のきれいな木蓋。いい風景だー。
ほどなくして店主の方より、テレビ変えていいですか?との声かけ。わたしがあまりにキチンと観ているのでことわりを入れてくれたのだ。あ、どぞどぞ、と言い手のひらも見せる。するとカウンターの端にいたおっちゃんが、
すみませんねーお嬢ちゃん、お馬さんがねー
レース、これからなんですね〜
せやねん、最後のあるわがきですわー
ふふふと笑い、それぞれのビールに戻る。
レース目当てなのか続々とお客さんが入店し、一気に店内が賑やかになった。追加したマカロニサラダをつまみながらわたしもレースを見てみることにした。お客さん同士は「庶民にいたんだけど混んでてん」などと話していて、当たり前にこの辺りをハシゴしている感じ。
レースはよく分からなかったが、解説者のノートパソコンが可愛かった。
雨はあがったしレースも見れたのでお会計をしてぶらつく。改めて横丁を見て歩くと、大阪駅前ビルで見る光景がそのまま外に飛び出たような通りだ。呑兵衛にとっては名門銘柄でおなじみの店ばかり。せっかくなので知らない店名のお店に入ろう。2軒目じゃ!!
カウンターが長くて立ち飲みやすそうな沖縄料理屋さん。メニューを見るとオリオンビールの瓶があるよう。珍しい。「瓶あるんすね!!」と興奮すると「瓶あるね~~ん」という店員さんの我が意を得たり顔が印象的だった。
ジーマミー豆腐の厚揚げも頼む。とろとろともちもちのバランスがとっても良い、濃い目の甘辛タレが良い絡みをしてめちゃくちゃ好みだ。沖縄料理屋で見かけても頼んだことはなかったが、今後レギュラー入りだな。
外が暮れていくにつれてどんどん人が入ってくる。ここでもお客さんは「さっきまであっちの角にいて……」「今はながさにいるよ」など、一帯の飲み屋が庭な発言だ。地元の方々なのだろうか。
ここも早めに切り上げる。興が乗ってきたのでもう1軒行ったれー!
暗くなって印象の変わったしょんべん横丁、昼間は開いていなかった店が暖簾を出していてさらに選択肢が広がっている。うわー、もうこれ以上楽しませないでくれーー。
1分も歩かないうちに見つけた店、良さそうだなと直感的に思う。きれいな入りやすいいで立ちで、モダンさとグルメっぽさがInstagramとかに載ってそうな感じだ。扉を開けて入店希望の意思を伝えると、あと5分で開店なので待ってね、と言われる。先走ってしまった。すまぬ。
店外で待っていると続々と同じ立場の人ができていく。人気店なのか、十三という町では当然なのか?
のれんが出て中に案内してもらい、赤星とブルスケッタを頼んでのんびり過ごす。店主は忙しそうに初手注文をさばいている。どのお客さんも思い切りよく料理を数品ずつ頼んでいるのだが、厨房を眺めて納得、10席あるかないかだが店主がワンオペかつどの料理もかなりしっかり調理してくれるタイプで、一気に頼んだ方が双方にとって良さそうだ。カウンターに続々と並んでいくつまみはどれもものすごく美味しそうだ。
わたしが頼んだブルスケッタも、ものすごく美味しそうなものだった。(と、いうのも具にけっこう辛いキムチが使ってあって辛いものが苦手なわたしはちゃんと味わうことを楽しめなかった。辛い物が苦手な人は辛いものを食べると刺激しか感じられず味が分からないのだ)
ここで満腹&立ち飲み3軒で疲れたので帰宅することに。最後の注文ミスはちょっと残念だったが次は別のものを頼んでみたい。再訪を心に誓う。
ハシゴした3軒はかなり短い距離の間に点在する店だ。なにせ飲み屋が立ち並んでいるので数歩歩くと入店したい/すべき店があらわれ、長距離移動が難しい。選択肢は大衆•スガレ系からモダンおいしい系まで無限に広がり、どんなタイプの呑助にも対応する街の酒力の高さがものすごい場所だった。恐ろしい場所だ……十三……。
今日のやっちまったな
写真フォルダを見返すと、こんなものが。
もし投げ銭的にサポートいただけたら泣いて喜びます!いただいたサポートは次回ZINEの制作費にあてさせていただきますm(__)m