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頭を下げて聴くだけではない、クレームを受るときに知っておくと便利なちょっとしたこと。 


私の部署でも
クレームを受けることがあります。

先日も
直接窓口までクレームにいらっしゃった
お客様に対応しました。

そのときに
当たり前のことができなかったことから得た
当たり前の気づきを文字にしてみました。

ですので
「そんなの当たり前じゃん」
「クレーム処理の基本ができてないじゃん」
と笑ってくださいね。

クレームの概要は

・約束が変更になったことを伝えられず
 寒い中を、長い時間待たされた。
・こちら側の担当者間の連絡不足によって
 起こったミスである。
・直接の担当者に反省の色が見られない。

などでした。

上司である私が担当することとなりました。

が、お客様が穏やかに話されたので
うっかり「相談モード」で
聞いてしまいました。

「あの場所は、とても寒かったんですけど
ずっと待たされたんですよ」
…あの日は、とても寒かったですね。

「連絡があってもいいと思いません?」
…そうだったのですね
 連絡がなかったのですね。

「〇〇さんに伝え
謝罪はいただきましたが
反省の色が見えないんですよね。
まるで他人事のようでした」
…それは、お怒りになられますよね。

いくつか言葉をやりとりして
「はっ」と思い
慌てて、対応を変えました。

…はい。
…はい。
…申し訳ありませんでした。
…ご迷惑をおかけいたしました。

まず、きちんとクレームを受け取ることから
始めるべきであったのですが

日頃、相談を受けているように
いきなり相手の思いを
引き出しにかかってしまった
という感じでしょうか。

私の受け応えは、相手に
「この人も、他人事として受け取っている!」
と受け取られ
その思いが二人の間に違和感とし
て生まれた結果

私が「はっ」とした、わけです。

頷き方、「はい」の回数、返す言葉‥
クレーム対応としての
話の聞き方などの技術は
いろいろなところで示されています。

しかし、そこではなく
聴く側の「在り方」について
反省しました。


小学生が教えてくれたこと

以前
小学生の女の子と面談した時のことを
思い出しました。

彼女は、お母さんは嫌いだと話してくれました。
お母さんは、話の途中で、自分の考えを言ってくるからだと話してくれました。

お父さんの方が、まだ好きなのだそうです。
お父さんは、何も言ってくれないけど、最後まで話を聞いてくれるから、と教えてくれました。

何も言ってくれないけど、最後まで話を聞いてくれるから…

1on1でも
コーチングでも
まずは相手に誠実に向き合い
「相手の思いを最後まで丁寧に聴く」

本であったり
ブログであったり
話の聞き方
クレーム対応
様々なところで一番初めに
語られることです。

小学生の女の子に教えられました。

ロジャースが教えてくれたこと

では
最後まで話を聴くときには
どのような在り方
どのような心もち
で聴いたらよいのか?

有名な臨床心理学者のカール・ロジャースは
セラピストとして相手の話を聴くとき
相手の人格が変化していくためには
こんな条件がそろうといいですよという
6つの条件を示しています。

1 2人は心理的に繋がっている
2 相手は「不一致」
③ 自分は一致
④ 相手に対して「無条件な関心」
⑤ 相手の世界で「共感的に理解」しようとしている
6 相手に④・⑤が、なんらか伝わっている

カール・ロジャース 治療的人格変化のための必要充分条件より(意訳)

このうち③④⑤は
「セラピストの3条件」
「傾聴の3条件」
「中核3条件」
などと呼ばれています。

この3つの条件に当てはめてみると
とてもいいです。

私の失敗を
③④⑤をもとに、振り返ってみます。


④ 相手に対して「無条件な関心」

善し悪しの評価をせず
先入観をもたず
否定をせず
肯定的に相手の話を聴く。
存在を認める。

自分と相手は異なること
相手には
相手の価値観による見え方
捉え方があることを受け入れてしまえば
難しくはありません。

相手が、我慢しながらも
声を荒げずに丁寧に話していただければ
クレームであっても
私たちも丁寧に聴くことができます。

今回ここは、クリア!


③ 自分は一致している

話を聴いている自分は
相手と一緒に「今ここに居る」
ということ。
そして
自分自身でいる
ありのままの自分でいるということ。

しかし
今回私は
お客様と私の間に
クレーム対象の職員(彼)を
入れていました。

つまり
これは「彼の話」と受け取ったことで
私は相手から離れ
一歩外から話を聴いていたことになります。


⑤ 相手の世界で
「共感的に理解しよう」としている

ロジャースは
「まるで相手であるかのように」
聴きましょうと言っています。

相手は
今どんな気持ちなんだろう?

その時は
どんな気持ちになったんだろう?

そのような気持ちを抱いたことには
どんな背景があるのだろう?

その気持ちや想い
背景を感じたいな、知りたいな
と思って聴きたい
とロジャースは言っているわけです。

私はお客様の言葉は受け取りました。

しかし
言葉で止まってしまい
言葉のその先にあるお客様の想いを
感じられていなかった
知ろうとして聴くことが
できていなかったわけです。


『ここさけ』が教えてくれたこと

では、具体的には
どんな姿であったらいいのでしょう

「心が叫びたがっているんだ。」
(アニメ映画)
ご覧になられたことありますか。

映画の後半
思いを寄せていた坂上拓実と
仁藤菜月との関係を知ってしまった
成瀬順(ヒロイン)は
傷つき、学校から姿を消します。
順を追いかけて来た拓実を
順が罵倒するシーンがあります。


画像引用:公式Twitter アニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』https://twitter.com/kokosakeproject


短いシーンです。

巧実から
「傷ついてもいいから
お前の本当の気持ちを聞きたい」
と声をかけられ
順は巧実への不満をぶつけます。

巧実は
初めは戸惑いながらも
自分への不満の一つ一つを
「うん」「うん」
と受け止めます。

しかも
一言ずつ、より誠実に、より真剣に
変わっていく巧実の姿に

「『聴く』ってこういうことなんだ」

という感じを受けます。

自分の事を酷く言われると
それを受け取ることって難しいですよね。

自分の事を酷く言われれば
怒りも湧きます。

怒りをそらそうとすれば
うなずきやあいづちは表面を滑ります。

あいづちのタイミング
言葉のトーンから
誠実に、対等に、相手と自分に向き合う
ときの姿を
拓実は教えてくれます。

アニメーションの世界かもしれませんが
巧実の姿は
「在り方」として
とても分かりやすいと思います。

百聞は一見に如かず。
こんな映画の見方もあるかもしれません。


知っておくと便利なちょっとしたこと まとめ

在り方は、自然と相手に伝わるものですね。
在り方一つで
相手の怒りが噴火するか
おさまるか。

クレームを受けるその時は
余裕はないかもしれません。

でも
クレームを受ける時に
知っているだけで
違う結果が得られるはずです。


『知っておくと便利なちょっとしたこと』

①「当たりな前提」
  最後まで話を聴けている

②「その時の心の在り方」
  傾聴の3原則(中核3原則)
  ・相手の存在をそのまま認めている
  ・相手と一緒に、今ここに居る
  ・相手であるかのように聴いている

③「その時の姿のイメージ」
  映画「ここさけ」坂上巧の姿
  対等に誠実に相手と自分に向合う

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