【神奈川のこと44】ボウリング場でカッコつかず(鎌倉市/湘南ボウル)
3月28日、隣町の湘南深沢にある鎌倉市唯一のボウリング場、「湘南ボウル」がその半世紀の歴史に幕を閉じた。よって、このことを書く。
あれは昭和61年(1986年)3月、鎌倉市立手広中学校の卒業間近だったと記憶している。
当時お付き合いしていた、れいちゃんと一緒に、湘南ボウルへ行った。
二人だけで行ったのか、それとも他に友達がいたのかは忘れた。
れいちゃんの自宅は湘南ボウルの徒歩圏内だったこともあり、子供の頃からよく通っていたようだ。そして、ボウリングがとても上手だった。
スコアは、150 対 80ぐらいのダブルスコア。もちろん、150はれいちゃんだ。
スッと背筋を伸ばして、右胸の前でボールを抱え、レーンを見つめるれいちゃん。サササと流れるように進みながらボールを放つと、きれいな軌道を描いてストライク!
美しかった。風に揺れていた。
一方、私はと言えば、猫背で、おどおど進みながら、硬直した左腕でドスッっとボールを落とす。シュート回転したボールが無残にもガターとなった。
目も当てられない。
ボウリング場でカッコつかずであった。
ボールとピンがぶつかり合う乾いた音が場内に響き渡る。その音の間隙を縫うようにサザンオールスターズのミス・ブランニュー・デイが流れていた。
まぶしいれいちゃんの立ち姿、あの湘南ボウルの日を想い出す時。
五十肩が疼く。