機能形体学~自律神経系~
自律神経系は以前の記事にも記載した通り、交感神経と副交感神経に分けられます。そして、脳や脊髄から出た自律神経は一般的に2つのニューロンで構成されています。
ニューロンというのは、簡単に説明すると神経単位のことで、神経細胞体・樹状突起・軸索で構成されています。ここが一番大事なのですが、ニューロンは刺激を受容・伝達する機能を持ちます。
ここだけはしっかり覚えてください。
さて、本題に戻りますが、自律神経節でニューロンが切り替わり、中枢側を節前線維、効果器(内臓など)側を節後線維と言います。簡単に説明すると、節前線維と節後線維で構成されている事が理解できれば大丈夫です。そしてここから、自律神経節の交感神経と副交感神経の節前線維と節後線維の構成について解説していきます。
交感神経の神経節は、効果器から離れたところにあり、副交感神経の神経節は、効果器の近く、または効果器の中にあります。ここからが大事なのですが、交感神経は1本の節前線維が多くの節後線維を支配しています。だいたい1対20~30ぐらいです。そして副交感神経は1本の節前線維が神経節で1本の節後線維と接続しています。
引用先:ihttps://amichi-biz.com/jiritsusinkei-doko/
具体的な図を用意しましたので、各自で確認して、イメージと文字の説明をリンクさせてください。
次は、自律神経系の①情報伝達と②受容体について説明していきます。
①情報伝達
神経細胞に発生した興奮は、神経終末までは電気的に伝えられます。こんなの初耳ですよね。さらっと流してください。ただ、節前線維と節後線維、節後線維と効果器への伝達は神経伝達物質により行われます。
ここが今回の大事な所です。
ノルアドレナリン(NAd)を遊離する神経をアドレナリン(Ad)作動性神経、アセチルコリン(ACh)を遊離する神経をコリン作動性神経といいます。よく、カタカナだけでなく、ローマ字の省略形で出てくるので、リンクさせてくださいね。
引用先:https://kusuri-jouhou.com/pharmacology/peripheral-nerve.html
この図は、本当に大事なので、絶対にこの図をかけるようにしてください。各繊維の長さや、どの作動性神経なのかをしっかり整理しましょう。
さらに補足すると、汗腺を支配する一部の交感神経節後線維は、アセチルコリン(Ach)を放出するためコリン作動性神経です。また、副腎髄質は交感神経節前線維により直接支配されています。
②受容体
受容体は先ほどの図の右端に位置している所のことです。M受容体はムスカリン受容体、Nn受容体はニコチン受容体といいます。α1、β1受容体というのはアドレナリンα受容体、アドレナリンβ受容体のことです。
ここから詳しく系統分けしていきます。
コリン作動性神経の受容体としてムスカリン性アセチルコリン受容体、ニコチン性アセチルコリン受容体が存在します。そして、アドレナリン作動性神経の受容体としてアドレナリンα(α1、α2)受容体、アドレナリンβ(β1、β2、β3)受容体が存在します。ここはαとβだけ把握していれば大丈夫です。細かい数字までは現時点では覚えなくても問題ないと思います。
~補足~
α1、α2、β1、β2、β3 の数字の意味について不思議に思いますよね。じつはそれぞれにきちんと役割があるのです。少し薬理学的な話になるので完全に理解できなくても構いません。
まずはアドレナリンα受容体から見ていきましょう。
1.アドレナリンα1受容体
アドレナリンα1受容体を刺激するといえば血管収縮がおきて血圧が上がります。逆に刺激を阻害すると血管拡張がおき、血圧が下がります。
2.アドレナリンα2受容体
アドレナリンα2受容体を刺激すると、中枢性に交感神経活動を抑制し、ノルアドレナリンの分泌を抑える働きがあります。つまり、刺激すると血管降下作用を示します。
ざっと、アドレナリンα受容体は血圧に関係すると思ってもらえれば大丈夫です。
3.アドレナリンβ1受容体
アドレナリンβ1受容体は心臓に主に存在して、アドレナリンβ1受容体を刺激すると、心筋収縮力、心拍数、心拍出量が上昇します。まあアドレナリンβ1受容体を刺激すると心臓がどくどくするようになると思ってもらえれば大丈夫です。
4.アドレナリンβ2受容体
アドレナリンβ2受容体は主に気管支などに分布しており、刺激すると気管支平滑筋が拡張されます。つまり、気管支喘息などに使われます。なので、アドレナリンβ2受容体は気管支に関連すると考えてもらえれば結構です。
5.アドレナリンβ3受容体
これは少しマイナーなので現時点で押さえる必要性は少ないのでスルーで大丈夫です。アドレナリンβ3受容体の役割として有名なものは、脂肪分解作用です。なので、アドレナリンβ3受容体は、基礎代謝に関与しているのではないかと考えられています。
つぎは自律神経の二重支配について解説していきます。
多くの器官は交感神経、副交感神経の二重神経を受け、両神経の効果は互いに拮抗的である。これを、拮抗的二重支配といいます。交感神経と副交感神経について、名前ぐらいは知っているのではないでしょうか。
交感神経は攻撃、恐怖、興奮時などに優位となり、副交感神経は安静、睡眠時などに優位になります。そして、自律神経はどっちかがオン、オフになるというわけではなく、絶えずある程度興奮状態を維持していて、支配器官に一定の刺激を与えています。これを緊張的支配といいます。
ざっくりですけど、戦闘状態のときは交感神経優位になります。
例えば、獲物をしっかり見るために瞳孔が広がったり、早く体に酸素を供給できるように心拍数を増強し、血管に拡張したり、戦闘中にお腹を壊さないように、消化器の活動を抑えたり、排尿を抑えたりしています。反対にリラックス状態のときは副交感神経優位になります。リラックスしている時は心拍数を上げる必要がないので、下げたり、消化器運動を活発にしたりするわけです。交感神経の逆の働きをすると分かれば問題ありません。
では今回はここまでにしましょう!お疲れ様でした!
次回もよろしくお願いします!