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3. 箱根駅伝のランナーは走る広告塔?アツ底シューズとユニフォームの「あれ」について


(当記事は音声でも楽しむことができます)



ChatGPTによる要約


ポッドキャストでは、厚底シューズの日本における影響を深く掘り下げています。その人気は、2017年のボストンマラソンに遡り、大迫傑選手がナイキの厚底シューズを履いて3位に入賞したことから始まりました。この出来事は、長距離ランナーのシューズ選びに大きな変革をもたらし、従来のアシックスやミズノからナイキへと移行が見られました。2021年までには、箱根駅伝のランナーの95%がナイキの厚底シューズを履いており、市場で圧倒的な存在感を示していました。しかし、最近の傾向では、アシックスやアディダスなど他のブランドが市場シェアを取り戻しています。ポッドキャストでは、大学とスポーツブランドの戦略的な提携にも焦点を当て、特にアシックスが異なる走り方に合わせた厚底シューズをリリースして市場に対応していることを強調しています。また、シューズの種類によって変わる怪我のパターンや、シューズメーカー間の激しい競争も取り上げており、このダイナミックな市場での革新とマーケティングの重要性を強調しています。


挨拶


「"Audio Japan" 〜あなたと一緒に日本を学ぶ〜」
この番組は,日本の文化やトレンド,マニアックな情報などを掘り下げて楽しく学ぶ番組です。Audio Japan を通じて,日本のことがより好きになり,日常生活での雑談や商談,外国人とのコミュニケーションが滑らかになることを目指しています。
英語で聞きたい方は,「Audio Japan 〜Learning Japan with You〜」よりお聴きください。
Spotify,YouTube,Apple Podcast などで配信を行っています。

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パーソナリティーを務めます,教育デザイナー,新井大貴です。よろしくお願いします。

これを聴いているあなたは,厚底論争って知ってますか?絶対に聴いたことないですよね。厚底で論争するってどういうこと?身長を盛るために論争するの?と思ったかもしれません。

実は,長距離界隈では,約5年ほど前から駅伝やマラソンで踵が普通の靴よりもかなり分厚い厚底シューズが当たり前になっています。

そこで今回も話す内容は,箱根駅伝に関することです。「箱根駅伝だけでどれだけ話すんだ」と思うかもしれないのですが,箱根駅伝は良い出汁(だし)です。伊達に100年続いていませんし,その出汁を存分に使わないといけないと思いますね。

前半は冒頭でお話しした厚底シューズに関して,後半では各大学のユニフォームに掲載している「あれ」について話を展開していきます。


厚底シューズ


では始めていきますね。

厚底シューズが日本に知れ渡ったのは2017年4月のボストンマラソンにまで遡ります。
当時,初めてマラソンを走った大迫傑選手がボストンマラソンで3位に入りました。ちなみにですが,大迫選手は東京オリンピックで6位入賞の偉業を成し遂げていて,陸上界隈では高校・大学時代から独自路線を進んでいる印象を抱いています。実際,関東の大学に進学する人は箱根駅伝を1つの目標として4年間過ごすわけですが,当時の大迫選手は5000mや10000mといったトラック種目で世界を目指すために早稲田大学で日々過ごしていました。
余談ですが,大迫さんの奥さんは私と同じ福井県出身です。笑

話を戻すと,ボストンマラソンで入賞した日本人選手は,瀬古利彦さん以来実に30年ぶりでして,そのときに大迫選手がはいていたのがナイキの厚底シューズでした。当時そのシューズを見たときに,「あれ,大迫選手NIKEはいてるやん」と思いました。というのもそれまでの大迫選手は,mizunoをはいていたので今でも印象に残っています。

翌年の2018年,東洋大学が積極的に厚底シューズをはいて駅伝でも結果を出し,徐々に大学長距離界や実業団選手などが,当時シェアを占めていたasicsやmizunoからNIKEの厚底シューズに乗り換える形に。

実際,2017年の箱根駅伝におけるNIKEのシェア率は17.1%のみでしたが,厚底シューズが出て以来年々シェア率を伸ばし,そして気づけば2021年の箱根駅伝ではのランナーの95%がNIKEの厚底シューズをはいてレースに臨んでいました。箱根駅伝は例年21チーム出場しており各大学10名走るので,200名以上履いていたってことですね。いやぁ〜本当にすごい。

もし私がNIKE以外のシューズメーカー担当者であれば,全身に冷や汗たらたら流れているでしょうね。シューズメーカーにとって最大のPRの場である箱根駅伝で自社のシューズを紹介できないとなると,中学生から高校生,あるいは市民ランナーの方々にも知ってもらえないからですね。数十億円の広告費を捨てているようなもんです。

一方,そこから3年後の今年の箱根駅伝に関しては,NIKEがまさかの過半数割れとなり,アシックスやアディダスが回復。それぞれ見ると,NIKEが98人で42.6%,アシックスが57人で24.8%,アディダスが42人で18.3%。これら3社で約85%を占めています。

4位以降はPUMAが20人で8.7%,5位がミズノで3人,onが3人,HOKAが2人,ニューバランス,アンダーアーマー,ブルックスが1人でした。

NIKEが過半数割れを起こしていたのは意外だったなという一方で,asicsがだいぶ回復したなという印象です。

asicsはNIKEの厚底シューズを受け,2021年3月に厚底シューズをリリースしました。具体的には,ストライド型のランナーに対応した「METASPEED Sky(メタスピードスカイ)」、ピッチ型のランナーに対応した「METASPEED Edge(メタスピードエッジ)」の2種類を展開しています。

NIKEはつま先から接地するフォアフット走方向けに作られたのに対し,asicsはかかとから接地するミッドフット走法向けに作られています。日本人は骨格の関係上,かかとに重心が乗りやすいため,走り方を変えるのが難しい人にとっては,asicsの方がしっかり反発をもらえそうですね。

また,厚底シューズが普及したことで,怪我をする部位も変わったそうです。それまで主流であった薄底シューズはシンスプリントやアキレス腱,あるいは膝を痛める人が多かったのに対し,厚底シューズだと股関節や臀部を痛めたり疲労骨折したりしています。

シューズ1つで走り方や筋肉を鍛える部位などに影響するんですよね。

どのメーカーも厚底シューズをリリースしているため,素人ながら機能だけで比較すれば,そこまで変わらないかもと思いました。
ランニングシューズのパイの取り合いが数年単位でガラッと変わるので,これから各社がどのような戦略を立ててPRやマーケティングに移っていくか考えたとき,後半部分で扱うユニフォームや大学との提携にあるのでは?なんですよね。


協賛×大学のユニフォーム


続いて,厚底シューズが大体的に紹介されている一方で,各大学のユニフォームをよく見てみると,スポーツメーカーのロゴとスポンサーのロゴが付いています。

まず,前者から話をしていきます。
今年の箱根駅伝出場校のロゴを見てみると,ミズノ:6校(法大、創価大、日体大、日大、神奈川大、国士大)アシックス:4校(早大、帝京大、中央学大、山梨学大)ナイキ:5校(駒大、中大、東洋大、明大、東海大)アディダス:4校(青学大、國學院大、大東大、東農大)プーマ:2校(城西大、立大)ニューバランス:1校(順大)オン:1校(駿河台大)です。

ユニフォームに掲載しているメーカーは,ランナーにシューズやウェアの提供を行っているのですが,近年はスポーツメーカーもランナー育成に協力している印象があります。

例えば,PUMAは立教大学と城西大学の2校とパートナー契約を結び,米国の「PUMA ELITE RUNNING Team」に招待して、貴重な経験を積ませています。他にも,NIKEは東洋大を米国本社に招待して、地元のロードレースを経験させるなど、海外レースや海外合宿を斡旋(あっせん)。アディダスも國學院大や青学大の選手を同社が主催する超ハイレベルのレースに派遣し、世界トップクラスの選手と走る機会を提供しています。

れは個人的な予想ですが,現時点でミズノと契約している大学の中で3校くらいは,数年後にどこかの外資系メーカーに変わっている気がします。
選手や監督からしても予算が潤沢だったり海外へ斡旋してくれる大学の方が成長機会を持てますしね。

もう1つ,スポンサーのロゴについてです。
各大学のユニフォームをよく見てみると,右胸あたりにスポンサーロゴが付いている大学があります。

元々,ユニフォームにスポンサーのロゴを入れるのはルール上禁止されていたのですが,世界陸連による広告規定改訂に伴って、日本陸連でも新ルールを採用した。「40平方センチ、高さ5センチ以内」のロゴをシャツとパンツに1カ所ずつ同じスポンサー名を入れることが認められました。

これは青山学院大学の原監督が解禁しました。信じられないかもしれないですが,広告費に換算すると数十億円くらいの効果があります。
いろんな企業からオファーがあった中で,青学は「妙高市」と民間企業ではなく行政を選択しています。

その理由としては,原監督が就任した2004年から合宿地として毎年訪れているからです。高市は新潟県の南西部にあり、「東京からアクセスがよく、冬は温泉宿があって、スキーをやるのにはうってつけの場所。盛り上げる一助になれたら」と原監督は話しています。

他にも東洋大学は伊藤園の「健康ミネラルむぎ茶」のロゴが入ったり,明大はサトウ食品の「サトウのごはん」が右胸に掲載されたりしています。

かでも今回の箱根駅伝で面白かったのは,「きぬた歯科」です。八王子市にある歯科医院で街中にある広告の数はなんと250。なかには,看板を聖地巡礼するほどのマニアもいるそうです。

その広告に写っているのは院長のきぬたさんです。きぬた院長はテレビのバラエティ番組やラジオなどのメディアにも引っ張りだこの「時の人」でもあるみたいです。私は全くテレビやバラエティ番組を見ない人なので初めて知りました。

6区の区間賞が法政大学の選手だったので,ンタビューが放映されていたのですが,そのときに事件がありました。日テレの人が,きぬた歯科のロゴの前にマスコットを持ってと指示したため,「ぬた歯科」と「き」が見えない状態になっていました。

しかし,そのおかげもあり,視聴者は「なんだこのよく分かんないロゴは?」と思い始め,興味を引く結果となったそうです。

なみに,きぬたさんのことを調べていたら,オリジナルのマーケティング情報を発信している「マーケジン」にて取り上げられていました。無料箇所を引用しますね。



この看板の主こそ、きぬた歯科の院長・きぬた泰和さんである。一般的な歯科医院の年商が5,000万円と言われる中、多店舗展開をせず西八王子駅前の1店舗のみで年商16億円を超える異端の歯科医院だ。歯科医院の原価率が50%程度だと考えると、いかほどの利益をたたき出しているかは想像に難くない。ちなみに、きぬた歯科の年間広告費は約2.5億円(2023年時点)だという。


当記事は有料記事なのでこれ以上は言えないのですが,読んでいてすごく参考になる部分がありました。

今回,厚底シューズ,メーカーロゴ,そしてスポンサーロゴについて話を展開していきました。私が思ったのは,箱根駅伝を走るランナーは「走る広告塔なのでは?」と。結果を出せば企業や大学,視聴者から賞賛され,調子が悪いと場合によっては叩かれる。学生スポーツの範疇をどうコントロールするかが大事かなと思いました。

終わりに

「Audio Japan 〜あなたと一緒に日本を学ぶ〜」エンディングの時間となりました。
本当はもう1つ,箱根駅伝に関する話があったんですよ。それは,箱根駅伝のメディア露出数と大学入学志願者数についてです。

ただ,流石にしつこいだろうと思ったので,これに関しては論文を概要欄に掲載しておきます。気になった方はチェックしてみてください。

●論文

https://www.u-tokai.ac.jp/uploads/sites/18/2021/04/ed8eece2a68fd7ba536bed45ac1ece7b.pdf


それに改めて,私は箱根駅伝を始め駅伝が好きなんだと再認識しました。数日前に行われていた全国都道府県女子対抗駅伝もざっと見てましたし,来週開催される全国都道府県男子対抗駅伝は最初から最後まで見る予定です。

箱根駅伝の特集に関しては,2024年12月ごろにまたやりたいと思います。楽しみにしていてくださいね。

冒頭でもお伝えしましたが「Audio Japan〜あなたと一緒に日本を学ぶ〜」を英語版で聞きたい方は,「Audio Japan 〜Learning Japan with You〜」よりお聴きください。
Spotify,YouTube,Apple Podcast などで配信を行っています。

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最後まで聴いていただきありがとうございました。お相手は,パーソナリティーの教育デザイナー,新井大貴でした。

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新井 大貴
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