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【読書】サラリーマンは300万円で会社を買いなさい

日本の中小企業の後継者問題はここ10年くらい言われて続けているようです。私も聞いたことがあります。

いつかは何とかしなきゃいけない問題ですし、そのためか昨今はM&Aコンサル会社が増えています。

そんな中、サラリーマンがM&Aで中小企業の後継社長になるという本を見つけました。

私も実はいつかは独立したいと考えています。そして軌道に乗ったら後継者がいない会社をM&Aしていきたいと考えています。

さて内容を振り返ってみましょう。


老後の生活費問題を解決する方法は資本家になること

年金だけじゃ暮らせないという現実があります。今の高齢者世代ですらそうなのですから、今の現役世代が引退する頃には、益々年金だけでは暮らせなくなります。

そこで国もiDeCoやNISA、再雇用、副業などの制度を整え、自力で何とかしてもらおうとしています。

ここでリアルな話をしてしまうと、資本主義では経済力は上から順に資本家、経営者、労働者の順なのです。

しかし一般的に考えると、資本家は金持ちの家出身、経営者は創業家か独立して軌道に乗せるか、出世競争に勝つかしかないように思います。

ところが本書は後継者不足の中小企業を買えば、サラリーマンでも社長になれることを解説しています。また会社を買うことで100%株主になり、業績を上げれば、資本家としても配当やキャピタルゲインで稼げます。

実は創業家の人たちは沢山の株を持っています。会社からの給料よりも株の配当が大きいのです。経営者としての収入より、資本家としての収入の方が大きいケースもあります。

本書の対象者

本書を読んでいて気付いたのですが、本書ではサラリーマン全員を対象にしているように見えて、実は違います。大企業の管理職を対象にしています。

中小企業のサラリーマンや、大企業でも管理職になれなかった人は対象外かもしれません。実際のところは著者と編集者のみぞ知るでしょうけど。

本書では大企業の管理職が中小企業を買う理由として、仕組みが出来上がっているけど非効率な会社を改善することで、業績を上げられることが挙げられています。

よって大企業の仕組みを導入して改善することが重要になるわけです。

またマネジメント経験が重要になります。社長として管理職や従業員を指揮する必要があるからです。

一方で中小企業の規模感なら、大企業の部くらいの規模間だったりします。それも大企業の管理職が本書の内容に適している理由でしょうね。

0からの起業や飲食起業の厳しさが挙げられている

社長になるというと、独立がもっとも思いつきやすい選択肢でしょう。

しかし0から会社を立ち上げて、製品やサービスを開発し、販路を開拓するのは簡単ではありません。人手が必要になれば教育や評価の制度、業務プロセスの定型化・標準化も必要になります。

特に製品やサービスの開発と顧客獲得が0からの起業で難しいところです。

製品やサービスの開発に関しては、ピボットを頻繁に繰り返すことも普通です。顧客獲得は何より難しく悩ましいことでしょう。

また飲食業は経営学のあらゆる要素が詰まっていて難しいと解説されています。立地や集客、商品開発、材料の調達、原価管理、業務プロセス、人材育成、店舗レイアウトなど、実に様々な要素があります。

それゆえ料理が好きとか、料理が得意というだけでは上手く行かないのです。

0からの起業が難しいからこそ既存の会社を買う

0からの起業の難易度はとても高いからこそ、既存の会社を買う方がいいと本書は提案しています。

既存の会社なら既に製品やサービスがあり、顧客もいて、業務プロセスも暗黙的かもしれませんが存在しています。経験を積んだ人材もいます。

そしてサラリーマンの多くは、小さいベンチャーでの経験がある人を除いて、既に製品やサービス、顧客、業務プロセスなどがある状況で仕事をしています。

既存の会社を買って社長になれば、0から立ち上げるという多くのサラリーマンにとって未経験のことをスキップできるのです。そしてサラリーマンにとって経験の長い、既存の仕組みを改善していく仕事ができるのです。

大企業の仕組みを中小企業に導入して業績を改善する

本書が大企業の管理職を対象としている理由は、大企業の仕組みを中小企業に導入すれば、業績を改善する余地が大きいからです。

中小企業はIT投資もあまり進んでいませんし、属人的な業務も多いです。昔からの慣習で続けていて、改善されていない業務もあるのでしょう。

それゆえ大企業では普通に行われているIT投資や業務プロセスの整備などをやれば、業務効率が上がって業績も良くなるそうです。

そういえば私のプロボノ先がIT補助金ビジネスをやっているのですが、なんと中小企業ではExcelを使うだけでDXと言えてしまうこともあるそうです。それくらいIT化が進んでいないそうです。

本書でもIT化せずに紙で仕事をしているケースがあるという話が出てきます。

中小企業でIT化が進んでいない大きな理由は導入費用でしょう。

かつてはシステム開発はスクラッチ開発というコードを0から書く開発が中心でした。企業毎に業務や組織が違うため、オーダーメイドでシステムを開発していたのです。これでは開発費が高くなります。

しかしクラウド時代になってSaaSの製品が増えました。近年は中小企業向けの製品も出てきています。高い初期導入費もなく、クラウドで月額制で利用できます。

クラウドだから会社のネットワーク設備を変える必要もありませんし、スマホやタブレットでもインターネットにつながりさえすれば使えます。

中小企業のIT化はしやすくなっています。しかし中小企業にはIT人材がいません。一方で大企業に勤めていれば、ITシステムを利用することは日常茶飯事です。こういうところにもチャンスがありそうですね。

終わりに

上記の他にも、サラリーマンが会社を買うための資金調達の方法や、資金0で利益を自社と分け合うという方法も紹介されています。中小企業と言っても買うには数百万円から数千万円しますから。

とはいえ後継者がいなければ会社をたたむしかありません。今や子どもが親の後を継ぐ時代でもありませんし。

中小企業の後継者問題は日本の社会問題です。しかも廃業する会社の半分は黒字です。これは私も何とかしたいです。でもそこまでは遠いなぁ。他にもやりたいことは沢山あるし。

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Bigいぬねこ|残業しないマネジメントを実践する自由人
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