エッセイ242.おうちでロスト・イン・トランスレーション(18)急に丁寧になると
昔のドラマで、妻が夫を「あなた」と呼んでいたのは、リアルであったのでしょうか。
よく考えると、昔は多くの家庭で、
夫から妻への呼びかけ=おい・お前
妻から夫への呼びかけ=ねえ・あなた
だったような気がします。
あなた、おまえ、がそのうちに、新婚家庭に子供さんができれば、自然に各々の役割名を呼ぶようになる。
それは今でもきっとそうですよね。
これは外国の方からは「不思議です!」と思われるものの一つです。
妻から夫へ:ねえ、パパ、カズトの宿題見てやってくれる?
夫から妻へ:ねえママ、爪切り知らない?
そこに子供がいなくても、妻のパートナーが、パパ、お父さんであり、夫のパートナーが、ママ、お母さん。
生徒:「先生、それは変です!」
うーむ、慣れてください😅
二十代のご夫婦、三十代、四十代のご夫婦はどうされていますか?
あまりみなさんと、おつきあいがないので、私はもうわからなくなっています。
我が家では夫が、「役割名で相手を呼ぶ=パパ、ママ、お姉ちゃんなど」を最初から嫌がっていましたので、自然にお互いを名前で呼ぶ、
それははありとして、子供も親を名前で呼びます。
面白いことに、英語モードの時は、子供から名前で呼ばれますが、日本語モードのときは、私のほうだけは、名前と「おかん」と、半々の割合で呼ばれます。
さて、日本語で相手を「あなた」と呼ぶのは、丁寧ではあるものの、フォーマルすぎるためか、冷たいとか、距離を保とうとしている感じ、あるいは慇懃無礼な感じを与えることがあり(言い方や場によりますが)、怒っている時に丁寧な言葉遣いに変わる人もいるので、気をつけるべきことかもしれません。
日本語のレッスンでも、初心者の人にはまず、
「先生や上司にあなた、は使わないようにしましょう」
「あなた、は教科書にも滅多に出てきませんし、お友達からも聞きませんね。
名前か、その人の属性を表す呼び方が日本語では普通です。
お父さん、お母さん、部長、先輩、先生・・などですね。
不思議ですが、目下方向ではこれはないです。
妹⇨姉
「お姉ちゃん待って〜」はありますが、
姉から妹には、名前で呼ぶのが普通ですね」
怒ると、相手との距離がぐーんと開きますので、
いつもは優しくファーストネームで夫君を呼んでいる奥方が、
「あなた、ちょっとお話があります」
と、ですます調になると、雲行きが怪しい感じが、私はしてきます。
いまどきは、そんなことはないのかしら。
いつか、義母に聞いてみました。
「お義母さんはお義父さんと喧嘩すると、言葉が丁寧になる?
そうねぇ、丁寧になるわね、怒ると。
つめたーい感じになる。
あっ、あと、相手をフルネームで呼ぶわね。
「お義母さん、やってみて?」
いいわよ。
あなたは一体何を考えているんですか、
ブライアン・オリバー! 😡
「あっ、そんな感じですか。じゃ、ミドルネーム入れたら?」
え?
そうねぇ、
『今なんと言いましたか、ブライアン・トマス・オリバー! 』
と言う感じかな。
そうなったらブライアン、震え上がるわね、ほほほほ!」
だそうです。
私は英語モードで怒っている時、don't じゃなくて、do not, というように、なぜか正しくはっきりと話そうとしてしまいます。そして、嫌味というか、馬鹿丁寧に話しています。これはもう、自然にそうなるのであって、自分で気がついてやめることはできません。
Facebookの2015年のあなた:思い出
として上がってきた写真がまさにそれでした。
これは、生活時間帯がずれていた四人暮らしの時、
伝言板にしていたものです。
家族全員に向けて、
なにやらすごく怒っていたようです。
私より:私は火曜日に、娘1と娘2に、タッパと蓋をマッチングさせるように、
そして、この引き出しにお弁当箱を入れないようにと話しました。今度から、これをしないでください。あなたがた三人から、これに対し、返答が必要です。
夫より:それやったの僕です。
私より: よろしく
この「要返信」は、よく書いていましたが、あんまり返信はもらえませんでした。
怖くもなんともなかったのでしょうか。
せっかく冷たく怒っていても、あまり取り合ってもらえないのでした。
私の怒りが伝わるのは、怒りすぎて脳の回路が詰まり、書き言葉なのにしどろもどろになるときです。スペルも間違え、文法もめちゃくちゃとなり、らりっているような英語になります。
そういうときはすごくわかるそうなので、夫からはすぐに返信が来ますね! 😃