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エッセイ352.またまた玄関が開きません

去年両親を見送りましたが、その後いろいろな用事で実家に行っていて、部屋に閉じ込められたり、家から閉め出されたり、今までに三回ありました。

お時間があったら、その様子はこの中に3ブログ入っていますので、どうぞ。
嫌というほど堪能していただけると思います。


今回は四度目となりましたが、昨日のことです。
思うに、私はいろいろな経緯があって(自分が生まれてから親が死ぬまで、去年までですが)、親とはとてもアレな仲。で、今や実家では遠慮なく、二人の悪口なんかも言います。言い返せないと思って、ひどい奴です。
しかし、なので、これだけ続くと親の祟りかなと思いたくなるのですが、まあ、悪口はやめた方がいいです。
いくら没後にいろいろボロボロ出てきて、本当言って、
怒り心頭に発していたとしても、ですね。
人を呪わば穴二つ、なんてことも昔から申しますしね。


さて・・・。
昨日実家に行った目的は、障子の張り替え、キッチンフード用自動消火装置(ヤマトプロテック製)の動作テスト、小さな庭の手入れ、相続に関わる細かい打ち合わせ、その他です。
そういうのは非常に面倒くさいので、つい後回し、ついまとめて一回で済ませようと、用事を溜めるのですが、溜めたら溜めたで、倍、面倒臭いものでした。

最寄駅の売店で、梅ヶ丘・美登里寿司の美味しい上寿司を奮発し、着いてすぐ姉と食べ、障子紙を即、はがし始めました。今回の張り替えは4枚ですが、障子紙を張る前に、十分にさんを乾かさなければなりません。加えて、この日の夜は20時から仕事がある。レッスンは自宅でないと落ち着いてできません。
で、逆算すると、18時には実家を出たいところです。
そうなると、時間はありそうで、ないのでした。

一枚目の障子の紙をすっかり綺麗に取り去り、外に出そうとしていたら、姉が玄関を開けてくれようとしました。
と、きゅきゅきゅー・・という変な音がして、引き戸が開きません。

姉が、足も使って無理に押して開けようとし始めましたので、

お姉ちゃんちょっと待った!  
この前ここが閉まらなくなったのも、
そうやって強いて力を加えたからだった気がする!
無理に押さないと開かないのは、どこかがメカ的におかしいので、
だから、押すのはやめて!
じゃないと多分、こじらす!

と叫びました。

私は靴を持って居間に入り、掃き出し窓から外へ出て、つくづくと玄関を見ました。
それは重いスチールとガラスの2枚の引き戸でして、ちょっとやそっとではレールから外れそうにありません。

しかし私は、昔の子。
アルミサッシではない窓や戸の経験がありますが、ガタガタ揺すぶっているうちに枠から戸や窓が、がたっと外れる、という経験はしています。
あれは怖い。
2階の窓だったりすると、怖いし危ない。

強いてはいけない強いては・・・。

少し押し、少し引いてみても、状況は変わりません。
そろそろと苦労して閉め切ってから横から前後の戸の接する面を見てみました。
その状態だとまず、鍵を入れても途中で止まってしまいます。

2枚の戸がずれている?!
また?
勘弁して〜😩😮‍💨

またそろそろと、ちょっとだけ開けて二枚の戸をずらして鍵を回してみると、
今度は手前の扉から、爪のようなものがスムーズに出たり入ったりする。

よし、高額の代金を払って全取り換えをした錠部分は、無事である。

重い手前のドアを両手で両側から持ち、上に持ち上げてみると、ほんの少し持ちあがる。
しかしまた、横から前後の戸の合わせ目を見ると、上端は隙間が広すぎるし、下端はお互いがくっつきすぎている。

うーむこれは、いわゆる「建て付けが悪い」てやつですな。

これ以上扉をガタガタしていても仕方ないので、掃き出し窓から姉に声をかけました。

お姉ちゃん、これどうも、鍵の問題じゃないと思う。
たまたまなんだけど、今日来る途中にあの、
レトロな工場の建物がレノべされていたんで、
なんだろうと思って見たら、なんか東洋・・サッシ? 東工なんとか・・とか新しい看板がかかってたのよ。
もしかして、サッシの会社だったら、あるいは直してくれるか、
ないかなぁ・・・
でも、かもしれないので、ちょっと行ってくるわ。

歩いて3分のところなので行ってみました。
残念、そこは、工業用シャッターの会社で、一般家庭の建て付けの悪い引き戸は直してくれなそうです。

しかし、私が子供の頃からあって、徐々に古びてきていたけれど、素敵だから取り壊さないでほしいなあと思っていた建物は、立派にリノベされて事務所になっておりました。

用があるからいいんだも〜ん

ということにして、工場の中も覗き、建物の周りも一回りしてきました。
挙動不審ですね。

GoogleMapsの写真では、あの良さは十分出ていませんが。
こちらです。



すでに時間は午後3時。
私は3時間で、実家を出たい。
しかしこのままで帰ってしまうわけにはいきません。
どこに頼めばいいのか。
・・エアコン詐欺に引っかかって以来、ネットで修理屋さんを呼ぶのに抵抗があります。

そうだ、この前直してもらった会社にしたらいいではありませんか。

腕組みをして思い出そうとします。

変わった名前だったなぁ。
なんだっけ。
鍵・・鍵や?  違うな。
鍵右衛門?
鍵助?
そんな感じ・・・
鍵・・鍵・・・

姉が、スマホを見ながら、
「鍵太郎?」

そうでした、鍵太郎でした。

さっそく鍵太郎さんに電話をし、

「去年の12月16日に、玄関の引き戸の錠の全取り換えをしてくれましたか?」

と、訊いてみました。
受けてくれた人が外にいたため、そこまではわからないとのことでしたが、そのご意見は:

前回、ずれた部分を削って合わせたのでしたら、それしかないとの判断でそうしたかもしれません。
錠は問題なく動くということなので、引き戸の側の問題かもしれません。

とおっしゃいます。

「来ていただいて、実際に触って、問題解決しても、しなくても、
出張料その他全部込みで、ざっくりいくらですか?」

と訊きました。
長くなるのではしょりますが、こう訊くぐらいに用心深くなったのは、エアコン詐欺での苦い経験のたまもの。

鍵太郎さんは、「直しても、直せなくても、5万いかないです」

とのことでしたので、お願いしました。

待つうちに障子の張り替えは済み、部屋は明るくなり、外は暗くなりました。

6時半に鍵太郎さんが到着し、簡単にあの重い引き戸を一人でレールから外し、調べてくださった結果、原因がわかりました。

引き戸を閉めて、枠にぶつかるところに、ショック・アブソーバーの小さなプラスチックの円盤が3つ嵌め込んでありました。その一つが取れ、とれた時からレールの中をあっちこっちしていたはずですが、それが今日、ガシッと戸車の下にはまりこんでいたのでした。

見せてくれて、
「戻します?」
と訊いてくれましたが、いやいやいやいや、戻さないでほしい、
むしろ、全部取ってほしいぐらい。
戻すのはやめてもらいました。
ついでに、家の中の鍵の不具合をあと2箇所直してもらい、本当に5万円に遠く及ばぬ請求額でした。

領収書を手渡してくれながら、

脅かすわけではないのですが、
本当に空き巣が多くなっていています。
この機会に家中の戸締り、鍵を点検してください。

とおっしゃいました。

「またよろしくお願いします」

「いえいえ、また、はない方がいいのですが、
こちらこそなにかあったら、また、呼んでください。
すぐ来ます」

と、心強いお言葉。
鍵太郎さんありがとう、大好きです。

家に帰るのが間に合わなくなり、実家でレッスンをし、
寒い中、母のジャケットを借りて、駅からの夜道を自転車走らせて帰りました。

もうこれが最後だといいなぁ・・・

これが、玄関の話の顛末です。

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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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