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エッセイ153.怖がりの女
上の写真は、「ミッドナイト・マス」(Netflixより)です。
私は怖いお話や怖い映画が大好きです。
それを語るのも好きで、この前は回転寿司を食べながら家族に、あのホラーの名作「猿の手」と、芥川龍之介の恐ろしい短編「黒衣聖母」を一生懸命話して聞かせました。(あまり怖がってもらえませんでした)
小説の方ではスティーブン・キングが大好きで、「IT」(IT長者のITではなくて、イット、それ、そいつ、です)などは、結婚式にNZに向かう成田空港で文庫本全冊を買って読み始めてしまって止まらず、式当日の朝ギリギリまで、ウェディングドレス姿でこれに読みふけっている写真が残っています。だってあと数ページで終わる所だったんです。
今までで怖かった日本映画はやっぱり、「リング」かな。これは、原作の方が、「経験すると死んでしまうほど恐ろしいもの」が、映画と違ってぬるくて、映画の方が全然怖いです。髪がもっと長かった時は、よく自宅でモノマネをしていました。
観てみたいのは「女優霊」の映画ですが、これはレビューに、「『リング』は見ているときに怖い一過性の恐怖だが、『女優霊』の怖さは一生もの」とあったために、それだけで怖くて手が出ません。
死ぬまでには見てみたいと思います。無理かな。
コミックではなんと言っても、古くは古賀新一先生、楳図かずお先生はもちろんちゃんと押さえてあります。楳図先生の短編「願い」、長編シリーズ「漂流教室」などは、それが置いてあると言うだけで、その部屋に入れなくなるぐらい、こわがりました。ちなみに、新婚時代に住んでいた場所は、ちょっとドライブすると楳図先生のあの有名な赤白ハウスが見えるロケーションでした。
怖くて読めないコミックは「座敷女」がありますが、どんなに怖がっているかというと、ブックレビューを読んだだけで怖いです。
このようにすごく怖がりなのに、怖い漫画・アニメ・映画・小説がとても好きと言うのは因果なものです。
「リング」は、夫が出張中にビデオを借りて見てしまいましたが、怖いので赤ん坊の長女を抱いて見ていました。貞子がテレビから出てくるころは、赤ん坊を不ソファに残して走って逃げ、カーテンの後ろに入って隙間から立って見ていました。
姉は子供の頃、私が「おばけ」という言葉を聞いただけでもキーキー言って怖がるので面白がり、寝る前に「おばすみ〜」と言って、私を泣くほど怖がらせました。私はしまいに、姉が「お・・・」と言っただけで、飛んで逃げたぐらいです。
最近すごく感銘を受けたのは、「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」と、キャストがほとんど重なる「ザ・ホーンティグ・オブ・ブライマナー」の2シリーズで、本当に飛び上がるほど怖かった。
私はホラー擦れしているので、「このあとすぐ怖くなる」とわかりますから(それは誰でもわかるのか)、すぐに目を塞いで、指の間から薄目して見ていました。そうやって見ていると、よく理解できないことも多いため、それぞれを2回ずつ見たのでした。なんだか効率が悪いです。
同じ監督による、「ミッドナイト・マス」は、カトリック教会と神父、小さな島の敬虔なキリスト教信者がお話の中心です。キリスト教にまつわる文物や考え方がどんどん出てきます。夫がカトリックで、帰省すると一緒に教会に行ってカトリック文化を存分に味わう私にとって、とても面白いドラマです。しかし、同じ監督ですから、怖いことはすごく怖い。
昔、「ビックリハウス的な怖さ」という表現をよくしました。今のみなさんは、テーマパークなどには「ビックリハウス」はなさそうですから、その語感はわからないかもしれませんが、「油断させておいて、どりゃ! といきなり見せてくる怖さ」という意味だと思います。
この、「ミッドナイト・マス」にもそのビックリハウス的要素がいっぱいで、気をつけていてもやられます。
どりゃ!
きゃっ!
となるわけです。
観客心理を知り尽くしているらしい監督は、私が「もう済んだ」と思って薄目を開けた瞬間に、めっちゃ怖いシーンを出してくるので、本当に油断がなりません。
昨日はこの「ミッドナイト・マス」を次女と夫と三人で見ていて、私はソファーに手足を思い切り縮め、クッションを抱き抱えて、両手をほぼいつも、顔の近くにかざして、怖いところに備えながらて見ていました。
すると、次女が途中から、なんでもないところで、
すごく邪悪な顔をして私を振り返って、睨んでくるのです。
えっ、なに、どういうこと?
えっ、今から怖いの?
と慌てて訊いても、
さぁねぇ〜・・・😈
と言って、やらしい顔をやめません。
「ちょっ、まじ怖いからやめて、こっち見ないで!」
と言っても、何分かに一回振り返って、こっちを変な目で見るのをやめません。
ストーリーもどんどん佳境に入って怖くなるところへ、
変な顔をしてたびたびこっちを見られたら怖くてたまりません。
ついに限界が来て、
「あのさ! ほんともうやめてよ!
落ち着いて見られないじゃないの。
やめないなら、お母さんもう見ない、2階に行くよっ!
と本気を出して怒りました。
そうしたら、夫が私を見て言うんです。
君、何言ってるの。カノコ(ブログ用次女の仮名)はここにはいないよ。
さっき2階に行ったじゃない・・・・
って。
もちろん私は、
ぎゃあぁぁぁ!!
と悲鳴をあげました。
そしてもちろん、騙されたのにすぐ気づいて、もっと怒りました。
「やめてよそういうの!! もう離婚だよっ!」
真剣に怒っているのに対し、夫と次女はまた腹を抱えて笑うのでした。
あとから、
そういうことをしようと、示し合わせていたの?
と尋ねましたら、そういうこではなくて、
あまりに怖がっているので、思いつきで言ったそうです。
そんな夫の苦手なのはG。
私がどこにいても、Gが出てくれば、呼びつけます。
よしわかった、次にGが出て、いくら大声で
助けて! すぐに来て!
と呼ばれても、助けに行ってやらないことに決定しました。
「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」
「ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー」
そして、またまた出演者が重なる、同監督による
「ミッドナイト・マス」以上三作品はNetflixで見られますので
ぜひ私と一緒に、人生の持ち時間を浪費してください。
ホーンティング・オブ・ヒルハウス
名作「ファンタズマゴリア」をやったことのある方なら、
ハマること間違いなしです。
ホーンティング・オブ・ブライマナー
「シックス・センス」や「アザーズ」がお好きな方は迷わず見るべし。
書いていて、あまりの怖さにもう一回見たくなりました・・・・・
おまけ:不朽の名作 ファンタズマゴリア
終わるのに三ヶ月ぐらいかかりました。
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