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エッセイ581.かつらの話(2)ー侍タイムスリッパーのさかやきについて

どうしても解せないことがあり、ずっと悶々としていましたが、誰も教えてくれることができないので、思い切って世の謗りもはばからず、書かせていただきます。

それは、「侍タイムスリッパーの」主人公、高坂新左門(山口馬木也)さんだけは、さかやきをしっかり剃っているのではないかということです。

なにしろ、生え際が自然すぎます。
それだけではなく、後半5分の1ぐらいでしょうか、高坂新左衛門がとうとう、床屋で髪を切りますね。
ここはできれば、「ざんぎり頭」と呼びたいところです。

その、短髪になった新左衛門の頭が、昔の喜劇などで、大人の俳優が小学生をやるときにかぶっていたような鬘に見えます。
砂利っぱげがついていてもおかしくないような、上からのダウンスタイル、生え際も分け目も一切見られない、あれです。

なんの証拠にならないかもしれませんが、そのときに、耳の上から下がっている髪が、唐突に終わっていて、その下に、全体とは馴染まない感じの薄いもみあげが見えているのです。

わかりにくい書き方ですね。
仕方がない、絵に描きます。



もみあげの薄さ、というか、無さ・・その上にかぶさる鬘(疑惑ですが)、
それがどうしようもなく、鬘感を高めています。
さらに、毛先も、床屋で仕上げてもらったときでさえ、その毛先が、
安作りのジオラマの茅葺屋根のような艶感が一切ない、不揃いな毛先でござる。

それに対して、あくまで自然な、高坂のさかやき。

最初にタイムスリップして起きあがろうとする時、雨粒がさかやきをしたたり落ちる時も、非常に自然でした。

私のこの妄想をバックアップしたのが、うっす〜〜いのに、1200円もするパンフレット。普段私はパンフはなるべく買わないようにしているのですが、買ってじっくり読んでおりました。
そして気づいたのですが、数ある写真の中に、一枚も、髪を切った後の高坂の写真がないのです。


このページだけではなく、全てのページで。

私の想像なのですが、本当は高坂は最初から最後まで丁髷で貫く予定であったのを、監督の気が変わって、優子殿に高坂が、

「もう・・・いいんじゃないですか?」

と、ヘアカットを促されるシーンを入れた。
しかし、その時には山口馬木也さんはすでに、立派なさかやきを剃った頭になっていたので、ええい致し方ござらぬ、極力現代の頭のシーンは少なくして、そこは全鬘を被ることにしたのではないでしょうか。

これが少し不思議なのは、この映画の中のテレビ時代劇の中の娘も、前髪と鬢(びん)の生え際は地毛であるところの、最も自然に、見せられる半鬘であります。
素晴らしいのです。
それを撮った、こだわりの安田淳一監督が、ここに来て、高坂の短髪の見え方を、あまり気にしない、ということがありえたのか。

もしかして、本物の侍が無理に短髪にしたあとの居心地の悪さを、この鬘で表現したのでしょうか。

パンフレットには床山さんについての短い記事もありましたが、どこにも詳しく書いてありません。


昔、小池屋の「ポリンキー」のテレビCMで、

🎵 ポリンキー、ポリンキー、おいしさの秘密はね
ポリンキー、ポリンキー、三角形の秘密はね

教えてあげないよーー

というのがありましたが、私はぜひ誰かに教えて欲しいです。


髪を切ったあとの高坂なら、さかやきはなかったのなら、
このうちのどれでも良かったと思うのですが。

よく見ると、もみあげはもともとそんなに濃い人ではないですね。
うーんでも、あのボサボサの短髪が、地毛とは思えないので、やはり実際に月代は剃っていたように思います。

よく検索して、見つけたら、ご報告します。
もしかして私以外の日本中の人が答えを知っているのかもしれませんね。


では明日は、月代を剃らない人、というのと、元は剃っていたのだが剃らなくなった人、剃ることを許されなかった人について、書いてみたいと思います。



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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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