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エッセイ361.黙って見ましょうか

昔、いろいろ上様に物申したことで有名な、大久保彦左衛門という人がいたそうです。

でも、その逸話は創作だったそうで。

「俗に「天下のご意見番」として名高い忠教(大久保彦左衛門)であるが、旗本以下の輿が禁止された際に「大だらい」に乗って登城し、将軍・家光にことあるごとに諫言したなどの逸話は後世の講談や講釈の中での創作である。これは徳川専制の世に当時の体制に不満を持っていた武功派の武士たちに支持され、いわばヒーローとして祭り上げられた結果ともいえる。」(Wikipediaより)

だそうです。

で、私は自分のことを、「天下の文句言いだなぁ」、と思うことが多々あります。
大久保爺と同類ね。

もし、私のnote投稿を、少し続けて読んでくださっている方がいれば、
「本当だね!」
とおっしゃることでしょう。

性格が細かいとか、お前面倒臭いとか、そんなのどうでもいいとか、
言われても文句は言えません。

でもさすがに、あまり嫌われたくないため、
自分のこの性格は、少数の人にしか見せないように気をつけています。

その一人が、遠くアメリカから、私の百倍は日本のテレビを見ていて、
いろいろ教えてくれるMさんです。

Mさんに駆け寄っていく自分の様子は、「ウメモモ」のモモちゃんのようです。

私:MさんMさん、「ラストマン」の第一話で、
団地の隣の部屋から入れてもらって、
ベランダ伝いに犯人宅に入ったじゃん、大泉洋が。

Mさん:あ、あったね。

私:入る時、靴脱いだかね?

Mさん:私も気になった!

私:気になったよね。あとで戻って確認してくるわ。

Mさん:是非そうして!

隣の人の家に、土足で入るのはどうかと思うけど、
かといって、バディーが捕まっている緊急事態に、
家に入るときにわざわざ、
「失礼します」
とか言いながら、靴を脱ぐであろうか。

でも、高い階にあるベランダの手すりにぶら下がり、足をかけ、
雲梯うんていのように必死に体をスイングさせ、
大変な思いで隣家ベランダへ行くときは、靴下も脱ぎたいぐらいであろう。
靴なんてあったら、大変であろうて。

なんて考えてしまうと、気が散ってドラマに集中できません。
馬鹿です。

私:MさんMさん、ホテルの高級な部屋で、そういうお金を払っているから、
なんかこう、部屋付きの女中さんみたいな人 いるでしょ。

Mさん:いるねぇ。

私:「バトラーの誰々さんです」って紹介されていたけど、
バトラーって、イギリスの男の執事じゃない?

Mさん:男だねぇ。

私:アンソニー・ホプキンスが「日の名残り」でやったやつ。

Mさん:知らんけど。

私:知らんくてもいいけどさ、日本では、女の人もバトラーというの?

Mさん:知らない。

私:知らないか。でね、あの人、お茶とか出しながら、刑事の話を聞いていて、
なんか、意見とか言うよね?

Mさん:言うね。

私:うるさいんだけど。

Mさん:うるさいね。普通言わないよね。とんでもないよね。

私:うん。ありえない。
でね、私思うに、この人は事務所が売り出し中で、
で、この番組制作の方へかけあって、
役を作ってもらって、露出をたくさんにしてもらっていると思う。
だって、この人が「少しならベランダでお魚が焼けますよ」とかって、
ストーリーと関係ないよね。

Mさん:ないねぇ。

私:あと、主人公が、この人に、作りかけの肉じゃがについて、
『あと一時間半ぐらい弱火で煮込んでお醤油を足してください』
って頼んでから犯人逮捕に向かったじゃん。

M:あ、そうだね。

私:あれ、煮込みすぎじゃない? 一時間半てのは。

Mさん:あ、私もそう思った。野菜が溶けちゃうよね。

私:溶けちゃうよね。特にジャガイモがね?

Mさん:ジャガイモは確実に溶けるねぇ。

私:でっしょ〜?

はぁぁぁ・・・どうでもいい。
どうでもいいんだけど、引っかかってしまいます。

でも、この会話が楽しみで、Mさんと同じドラマを見ている私です。

私はこのドラマが大好きなのですが、気になるホテルシーンが出てくると、
胸が重たくなり、逃げていくこともあります。
トイレとか、珈琲を淹れにとか。

だって、テレビにいちいちイチャモンつけている自分て、

「息子の奥さんの掃除のし残しを、目を爛々と輝かせてチェックする義母」

みたいではありませんか。

この「バトラー嬢」が、どんなに、刑事たちが思い付かないようなことを思いついてくれても、私そこを見なくても、それがどんなに重要であっても、
そこはあとで自分で、脳内で編集して、だいたいわかります。

誰も引っかからないようなところに引っかかって、

「うっき〜!」🙉🙉🙉

となっているより、いっそ見ない方が私は楽なのです。

私にとっては、余計なことを考えずに没頭できるドラマが良いドラマ。

今頃いろいろ、ビデオ・オン・デマンドで見返していますが、
そう言う意味で心から集中できたのは、

カルテット
ブラッシュアップライフ
俺の家の話

あたりですかね。

あと、演技が、故ナンシー関画伯がいみじくも言った、
「ぬいぐるみ演技」でないドラマが私には見やすいです。

ちなみにMさんは、最近、物を食べるシーンで、「ンハァ〜」的な、
声に出さない声と共に口に入れる人が多いのが、すごく気になるそうです。
私は言われるまで気になりませんでしたが、今は大いに気になっています。

黙って見ていなさいと言われても仕方ありませんね。


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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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