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【前編】ガーシュインさんの楽曲の一部(337曲)の著作権が復活ということで、話の経緯やビッグバンドでよく演奏されそうな曲をまとめてみた

ビッグバンドファンです。皆さんもよく聞きますよね?ジョージ・ガーシュインさんの曲。そんなガーシュインさんがちょっとニュースになっていたので見に行ってみました

ジョージ・ガーシュイン(George Gershwin)が作曲した一部著作物の著作権の管理再開について

どうやらジョージ・ガーシュインさん制作名義の曲のうち、お兄さんのアイラ・ガーシュインさんも制作に関わっていた楽曲337曲については共同著作物であるということがアメリカの著作権管理団体ASCAPで認められたので、日本の著作権管理団体JASRACも同様の管理を実施しますという話のようです。有名な人なので影響デカイよね、ということでプレスリリースが出たみたいですね。nhkも拾ったというのが流石ガーシュインさんという感じがします。

そもそも死後70年で著作権は消滅

そもそもの話として、基本的に制作者がお亡くなりになられた後70年経過すると、著作権としての保護期間が終わり著作権が消滅、以降特にライセンス管理等を行っていない限りパブリックドメイン、つまり共有財産となり著作権料の支払が不要になります。

ただ特に人気の作家さんに関してはこの辺の話がかなり複雑になっていて、例えば「くまのプーさん」は原作小説に関してはパブリックドメインになっているものの、後年ディズニーによってアニメ化等されたものに関してはパブリックドメインになっていません。

またビアトリクス・ポターさん(1866-1943)の描いたピーターラビットも2004年5月に著作権保護期間が満了していることになっていますが、実際はフレデリック・ウォーン社による登録商標のほか様々な権利表示がなされていて、法的に適切な判断をして対応しないと、法的に不要な許諾を求めたり逆に使用料を払わなければいけないことになるようです。

そんなわけでジョージ・ガーシュインさんに関してはどうだったかということですが、実はジョージ・ガーシュインさんは1937年に38歳という若さでお亡くなりになられていて、そこから60年後の1998年5月には著作権の保護期間が終わり著作権が消滅、楽曲はパブリックドメイン(共有財産)として、コンサートでの演奏やCD発売など商業利用する際も著作権料の支払いが不要ということになっていました。

それが今回お兄さんとの共同制作が認められたものに関して、お兄さんのアイラ・ガーシュインさんがお亡くなりになられた1983年から保護期間を計算するということになり、ざっくり70年で計算すると2053年まで保護期間ということになったという話です。

やべぇ、来月ガーシュインさんの曲をやるんだけど、大丈夫?

管理は来年1月から開始ということで、今年中の公演に関しては特に問題無さそうです。この辺の疑問点にはJASRACさんもQ&Aを公開されています。

とはいえpdfというのもセンス悪いなぁと思い、以下ベタ貼りですがQ&Aの内容を転記しておきます。

Q1 主にどのような著作物が管理再開となりますか。
A オペラ「ポーギーとベス(PORGY AND BESS)」の構成曲でジャズ、ポップス、ロックなど幅広いジャンルで利用されている「サマータイム(SUMMERTIME)」や、「誰かが私を見つめている(SOMEONE TO WATCH OVER ME)」など、ジョージがアイラと共同で作曲したことを確認した 337 楽曲が管理再開となります。このうち、「サマータイム(SUMMERTIME)」など5つの楽曲については、歌詞についても管理再開
となります。詳しくは、管理再開楽曲一覧をご確認ください。

Q2 「ラプソディ・イン・ブルー(RHAPSODY IN BLUE)」や「パリのアメリカ人(AN AMERICAN IN PARIS)」は管理再開とならないのでしょうか。
A 「ラプソディ・イン・ブルー(RHAPSODY IN BLUE)」や「パリのアメリカ人(AN AMERICAN IN PARIS)」などの対象楽曲一覧にない器楽曲(インストゥルメンタル)は、アイラとの共同著作であるとの届け出や要請を受けておらず、管理再開の対象とはなりません。ただし、F・グローフェによる編曲版の「ラプソディ・イン・ブルー(RHAPSODY IN BLUE)」は引き続き管理対象です。また、映画・ミュージカルとしての「パリのアメリカ人(AN AMERICAN IN PARIS)」には管理再開対象の楽曲が含まれていますので、ご注意ください。

Q3 管理再開した著作物の保護期間はいつまでとなるのでしょうか。
A アイラの死後 70 年保護されます。アイラは 1983 年に死亡しましたので、保護期間は 2053 年 12 月 31 日までとなります(戦時加算が適用されない場合)。

Q4 ジョージとアイラが共同で創作したことが判明したことで、なぜ管理が再開になるのでしょうか。
A 共同著作物の著作権保護期間は、最終に死亡した著作者の死後 70 年を経過するまでの間となるためです。著作権法において共同著作物とは「二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの」(著作権法 2 条1 項 12 号)とされています。また、共同著作物における保護期間は、最終に死亡した著作者の死後 70 年間を経過するまでの間となります(同法 51 条 2 項)。今回、ジョージとアイラが歌詞・曲の両方において共同で創作したことを確認したため、作詞・作曲共に共同著作物として、最終に死亡したアイラの死亡年の翌年 1 月 1日を起算日として、著作者の死後 70 年を経過するまでの間保護されることとなります。アイラは 1983 年に死亡し現在も保護期間中にあることから、管理を再開することになりました。

Q5 管理再開となる楽曲は海外ではどのように管理されているのでしょうか。
A 主要国では、歌詞・曲ともに著作権は存続しているとして、管理されています。なお、著作権は各国の著作権法によってそれぞれ独立して保護されるものと解され(ベルヌ条約 5 条 1 項)、その保護の範囲も各国の法令の定めるところによるものとされています(同条約 5 条 2 項)。今回の管理再開は、日本の著作権法における共同著作物に当たるとの確認によるものですので、アメリカや欧州の取り扱いがその判断に影響を及ぼすものではありません。

Q6 宣誓供述書では誰がどのような内容の証言をしていたのでしょうか。
A ジョージとアイラの妹や知人、アイラの音楽秘書などの関係者 5 者が、ジョージとアイラの創作過程について証言しています。ジョージとアイラは、お互いに歌詞やメロディの提案を行い、時には書き直しを求めながら楽曲の創作に取り組んでいたことを証言しています。この宣誓供述書により、生涯を通じて常に共同して創作活動を行っていたことが明らかとなりました。

Q7 管理再開後、管理再開対象の著作物を利用する場合、使用料の支払いが必要となりますか。
A 2022 年 1 月以降、管理再開対象の著作物を利用される場合は、使用料のお支払いが必要となります。2021 年 12 月 31 日までの利用については、使用料のお支払いは不要です。

Q8 コンサートやCD・配信など管理再開前に対象の楽曲を利用していた場合、遡って使用料の支払いが必要となりますか。
A ASCAP との合意により、管理再開前(2021 年 12 月 31 日以前)の日本国内での利用については、遡って使用料のお支払いは不要です。2022 年 1 月 1 日以降の利用から使用料のお支払いが必要になります。

また影響範囲等を分かりやすく解説している記事も見つけたのでリンク張っておきます。

337曲のうち、特にビッグバンドでやりそうな曲を見てみる

さて、話の概要は把握出来たところで、ここからはビッグバンドタイムです。まずは対象曲一覧が出ていたのでこれを見てみます。

またpdfかよ~~~~~~~~~~~~、センス無いなぁ。とはいえ、noteは表の差し込み機能が無いからなぁ・・・しゃあない、pdfからエクセルに吐き出したものをgoogleスプレッドシートにベタ貼りして公開。

そこからビッグバンドの譜面屋さんでガーシュインで検索して出てきたタイトルを突き合わせてみる。ビッグバンドの譜面を扱っているところは幾つかあるがJASRACだし日本対応ということでmusicstore.jpさんで検索してみた。

検索条件
商品名/アーティスト名:George Gershwin
カテゴリー:ビッグバンド

で、引っ掛かったのが以下の15曲。作品コードはJASRAC側の管理コード、楽曲名はmusicstore.jpでの掲載曲名でそれぞれ譜面ページにリンクしておきました。

作品コード | 楽曲名
0S028077 | S Wonderful
0F023509 | A Foggy Day
0B055902 | But Not for Me
0E007500 | Embraceable You
0F006205 | Fascinathing Rhythm
0I007903 | I Got Rhythm
0O005608 | Love Is Here to Stay
0L046109 | Love Walked In
0O005608 | Oh, Lady Be Good
0S063506 | Someone To Watch Over Me
0S073901 | Soon
0S096200 | Strike Up the Band
0S031922 | Summertime
0T027503 | There’s a Boat Dat’s Leavin’ Soon for New York
0T029701 | They Can't Take That Away From Me

こうやって見るとさすが大作曲家沢山出てきますねぇ。多分海外の譜面サイトまでひっかけたらもう少し出てくるんじゃないかと思いますが。というわけで、あとはYouTubeの動画を検索しつつ1曲ずついい機会なので聞いていきたいと思いますが、ちょっと長くなったので後編で聞いていくことにします。


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