自作小説第2弾
早くも第2弾作ってみました…
この作品も温かい目で見ていただきたいです
前作を見た方がより楽しめますがこの作品だけでも十分わかりやすい内容にはしているつもりです。
誤字・脱字、相応しくない表現等多々ありますが、ご了承ください
ひなたの最強ガンマン4人娘+3! 〜太陽に宿りし7人の女〜
これは、伝説の血を引いた6人の女たちによって1つの悪夢の連鎖が断ち切られた数年後のことである。
彼女たちは賞金稼ぎからは一旦足を洗い、色んな街を旅するようになった。
「この街も良かったなぁ〜」
「ステキな街でしたね」
「あとでもう1回訪れたいですね」
「絶対に行きましょうね」
「せや、わたしたちと一緒に行くはじめての旅…ミクニ、どうだった?」
「はい!メイさん達とのはじめての旅、楽しかったです!これからもよろしくお願いします!」
「なんだって、ミクニちゃんももう、わたしたちの大事な仲間なんだから!」
これまでの旅は4人で行っていたが、この旅からミクニが新たに加わり、ともに旅していた。
「でも、お姉ちゃんと一緒に行けないのは残念です」
実は、キラも旅に誘っていたのだが、断っていた。
「私は、まだ伝説の血を誰かに受け継がせたい。でもそれは、人を殺めさせる為に遺すのではなく、伝説を風化させず魅せるものにさせたいから。ミクニ、一緒についていけないのは本当にごめん。でも、仲間であることには変わりは無い。わたしはあなたたちをサポートする側になる。辛い時や困った時、わたしの顔を見たくなったら戻っておいで。いつでも顔をだすからね」
そういって、キラは生まれ育った街で伝説の血を他の人へ遺して行きながら、メイたちの帰りを待っていた。
一方…
「そろそろお姉ちゃんに会いたいです!」
「そうか、もう1ヶ月も会ってないんだな」
「私でも会いたいって思っちゃう頃ですね…」
「ヒナも久しぶりにキラさんの顔を見たいです」
「そろそろ戻りましょうか」
こうしてミクニとはじめて行く旅を終えた5人はキラの待つ街へ戻った。
「お姉ちゃん!ただいま!」
「ただいま帰りました〜」
「おぉ、帰ってきたか。さぁさぁ、中に入って。疲れたでしょう?ゆっくり休んでね」
「はい!」
「どうだったミクニ、メイたちと行ったはじめての旅は?」
「すっごい楽しかった!早く次の旅に行きたくてワクワクしてる!いつか、お姉ちゃんも一緒に行ってくれるよね?」
「それは、そう遠くはないね。もうすぐ伝説の血を受け継がせる作業が終わりを告げようとしている。次の世代、その次の世代へ受け継いでいくには充分なほど幾多の者へ血を分けてあげることが出来た。もう、わたしの伝道師としての役目は終わった」
「じゃ、次の旅からキラさんも一緒に行っていただけるのですね?」
「もちろん」
「お疲れ様、そしてありがとうお姉ちゃん!」
「ただ、ひとつだけ条件がある」
「それは何ですか?」
「これからはあなた達もミクニも『キラ』と呼んでくれ。わたしも1人の仲間である以上、みんなと対等にしたい。だから敬語も取ってくれ」
「わかりました。ではこれからよろしく、キラ」
「あぁ」
「あと、ミクニちゃんとかも全然タメでイイからね!」
「はい!メイ、ユウカ、ヒナ、マリィー、よろしくね!」
「これからはキラも加わって、色んな街を廻って楽しむぞ!」
『おぉー!』
2つの絆がひとつになり、それがさらに深まっていったのだった。
そして次の旅に向けて、キラも一緒に準備をしていたその時…
『ついに見つけた。キラ…あなたに逢わせて…』
キラも旅に加わることとなり全員で旅をしていくことになった彼女たちは、新たな街へと向かっていた。
「次の街は、元は1つの大きな街だったケヤキだよ」
「この街も雰囲気良さようですね」
「どんな旅になるのか楽しみしかねぇので」
「いったいどうなるのかなぁ」
「キラと初めて行く旅、楽しみ!」
「そうか…」
「ケヤキ、この名前どこかで聞いたような…」
「ん?キラ、どうした?」
「そうだ…この街はわたしとミクニの両親が生まれ育った街だったな」
「えーっ!?」
「そう!キラに言われて思い出した!え?キラ…ここはもしかして…」
「そう、『ダーティー・ハリー』もこの街で生まれた」
『マジか!』
「両親と『ダーティー・ハリー』は幼なじみで家族ぐるみの付き合いだったんだ」
ミクニとキラにとっては、自身のルーツともいえる場所にはじめて訪れたことになり、両親はどんな風に育ったのだろうと胸をふくらませる。また、『ダーティー・ハリー』も生まれ育ったということもあり、これも彼がどのように育ったのかも気になってきた。
その時、街の向こうから謎の大群がなだれ込む。
「おい!そこの道をあけろ!」
男たちが叫ぶ。
するとミクニが、
「わたし、やっつけてきます!」
銃を抜こうとする。だが、
「ダメ!」
「なんでですか!?」
「私たちは決めたんだ、旅の道中では銃を無闇に抜かないって。どうしても命の危機にさらされて己を守らなければいけない時、初めて抜くと」
「それに、あの人たちまだ悪事を働くと決まったわけじゃない」
「ぜったい何かやりそうです」
「いや、人は見かけによらず…ですよ」
すると男がメイたちの元へ駆け寄ってくる。
「すいません、どなたかキラさんはご存じですか?」
「あぁ、私がキラだが。何か私に用があるのですか?」
「私たちのボスがあなたを探してました。彼女たちは?」
「私の大事な仲間だ」
「では、あなた達も一緒に来て頂きたいです」
男の言われるがまま、ついて行く6人。
そして…
「ボス、例の者を連れてまいりました」
「ご苦労だった。下がってよい」
「会いたかったぞ、キラ」
「あんたは…アカリじゃねぇか!」
「覚えていたか。最後にあったのはもうずいぶん前だからな。で、あなたの横にいる方たちは?」
「私と今、ともに旅をしている仲間だ」
「はじめまして、アカリさん。私はメイです」
「ユウカです」
「ヒナです」
「マリィーです」
「キラの妹であるミクニです。私のこと、ご存じないですよね?」
「いや、キラからはミクニのことを聞いていたよ。キラ、立派な妹じゃないか」
「いやいや、それほどでも…」
「キラ、この人とはどういう関係?」
「あぁ、彼女はアカリといって私の幼なじみだ」
「はじめましてで恐縮ですが、アカリさんからみてキラはどんな存在でしたか?」
「私にとってはキラは良きライバルだったな」
「それはどういう意味ですか?」
「いや、キラからは何も聞いてないのかい?」
「えぇ、まったく」
「では私の口から。実はキラと『ダーティー・ハリー』の一番弟子の争いをしていたのだ」
「えぇー!?」
「で、私はキラに先を越され二番弟子となったのだが、決して仲が悪いわけではない。もし悪ければ彼女のことを探したりはしないからな」
「では、なぜ今回キラのことを探していたのでしょうか?」
「それは、『ダーティー・ハリー』を殺った犯人を見つけたのかを聞きたくてな」
「あぁ、そのことか。そのことだが、もう決着をつけてしまった。偶然、彼女たちに協力した違う事件で元凶にたどり着いてしまって。彼を殺った犯人は私が、元凶は妹のミクニが始末した」
「そうか…その男の顔はまだ憶えてるか?」
「元凶はこの男です…」
6人は元凶であった男の写真を見せる。すると…
「え、うそ…でしょ?ホントに言ってる?」
「たしかにこの男で間違いないです」
「この男、知ってる」
「マジか!?」
「アカリ、あんたそれどういうことか教えてくれ!」
「知ってるも何も、あたしのお父さんなんだから!」
「え…?」
この瞬間、この場所の空気が一気に冷めてしまった。
そして…
「お父さんを殺してしまってごめんなさい!」
6人はアカリに精一杯の謝罪をした。
もちろん、普通なら謝って許されることでは無い。
「まさか、私たちが目の敵にしていた男がアカリさんのお父さんだったとは…」
「いや、あなたたちは知らなかったことだから謝らなくてもいいの」
「でも、私たちはアカリさんの大事な家族を死なせてしまったのですよ!?」
「後で知ってしまっても私たちは謝るべきなんですよ!」
「いいんです、もう…。過去は変えられないので…。今この現実を受け入れるしかありません」
突然知らされた自分を育ててくれた父の死。
アカリの精神がズタボロになっていくのは火を見るより明らかだ。
さらに…
「ボス、大変です!私たちの拠点が何者かによって燃やされました!」
「何でだ?いつやられた?」
「私たちが彼女たちを探している間にやられた模様です!拠点から逃げ出した者からの報告です」
「くそ…こんな災難続きに遭うなんて」
「悪い、今はそれどころの話ではないようだ。一旦失礼する!」
アカリは燃やされている拠点へ急いで戻った。
しかし、着いた頃には跡形もなく燃え尽きていた。
「わ、私と彼らの大事な家が……。中にいた者は?」
「既に何者かによって殺られたようです」
「おい、残っている者をすべて集めろ!あなた達を疑っているわけではないが、裏切ってないか確かめさしてもらう。もし、誰かが裏切っていたら…それは分かってるな?」
「おい、ここに全員集合させよ!」
アカリたちが慌ただしく動いている頃、6人は
「アカリさん、大丈夫かな?」
「今までの私たちだったらすぐに行くところだったが、今はそうではない」
「なんせ、私たちは自分からは例え正義であろうと銃を抜かない。でも向こうから助けてくれとお願いされた場合は別」
「キラ、もしアカリさんから助けの依頼があればどうする?この件はすべてあなたに任せる」
「彼女の父を殺めてしまった罪悪感はあるが、彼女の頼みであれば受けてあげよう。それが彼女への精一杯の罪滅ぼしとなるだろう」
「わかった。どちらにしろ、今はアカリさんの帰りを待とう」
「そうですね」
6人はアカリの無事を祈って待っていた。そして…
「あっ、戻ってきましたね」
「さっきは突然の出来事で済まなかった。私の父のことについてはもう問わない。だから、私に力を貸しておくれ」
「みんな、いいね?」
「はい!」
「感謝する!では、付いてきてください」
こうして、彼女たちは焼け野原になったアカリらの拠点へ向かった。
「これは…まっ黒こげですね」
「本当に跡形もないです」
「彼らは黒幕を探さないのですか?」
「いや、先ほど、私の部下たちが私のことを裏切って無いことを確認した。よって、彼らも協力する」
「当時の状況を知る人は?」
「この人だ」
「はい、俺たちはボス…いやアカリさんたちが留守にしていた頃、拠点を守っていました。ですが突然、暗闇に包まれたような屈強そうな男たちが大量に押し寄せてきたんです。そして、火炎瓶を投げつけられ…燃やされてしまったのです。残念ながら拠点にいた者のうち、私以外は炎とともに…」
「男たちの特徴は?」
「いえ、何も…。だが、去り際にこんなことを…
『オレらはこの世界をオレらの悪だけで染めてやるシャドウ・クリエーターズだ!オレらのつくる悪以外はすべて不必要の悪。貴様らもこの悪に染まるがよい!』って言ってました」
「なんてワガママな悪なんでしょう」
「このままだと、再び悪夢の連鎖がはじまってしまう」
「なんとしてでも食い止めないと」
「とりあえず彼らについて調べていくことが最優先事項になりそうですね」
「かなり、難解な道のりになりそうだが諸悪の根源を見つけ、根元を断ち切ってくれ」
「了解!」
こうしてふたたび悪夢の連鎖を断ち切る為に、メイたちはアカリたちと協力し、再び立ち上がった。
自分色の悪に染める集団『シャドウ・クリエーターズ』の行方を探すことになった彼女たち。
最初に何を話していたかと言うと、
「私たちのチーム名みたいなの、考えません?」
「ヒナ、ふざけてる?」
「いやいや、チーム名あった方が名前を名乗らずに済むと思うので」
「それは一理あるか…身バレが時に余計な災難を生みそうやからね」
「どうしよっか?」
「『シャドウ・クリエーターズ』って、影を創る人たちって意味だからそれに対抗するのが良さそう」
「じゃ、『サニー・ペインターズ』はどう?」
「これにした意味は?」
「シャドウに負けない強い光、つまり太陽の光を描いて暗闇に包まれた悪を消し去ろうという意味だ。どうだ?」
「イイですね」
「それにしましょう!」
「空にかかる邪悪な雲、ソラのヒカリで消えてなくなれ!ウィーアー『サニー・ペインターズ』!」
「それはそうと、『シャドウ・クリエーターズ』に関する情報を集めないと」
「そうだね。これは私の部下たちに調べさせる」
「人数が多い方がはかどるし、私たちは有事に備えておく必要がある。あなたたち、すぐに調べてきて!そういえばキラ、彼女たちの銃の腕の程は?」
「私が彼女たちに伝説の血を吸わせた。文句なしの腕だ。ミクニ以外は元々の腕も良かったが、今はミクニも他の子たちと遜色がないほどに強い」
「さすが、伝説の血を最初に吸った女じゃないか。妹もその片鱗を持っていたか」
「いえいえ、キラのおかげでここまで来れました」
「ということは私たちは伝説の血を最初に受け継ぎし7人ということか」
「なんか、荒野の7人の女版みたいなカンジですね」
「アハハハハハハ」
なんて話をしていると、
「アカリさん、ただいま戻りました!」
「どうだった?何か成果は得られたのか?」
「はい!調べた結果、多数の拠点がある事が分かりました」
「それで?」
「彼らは勢力を伸ばしながら、悪に染める計画を遂行している模様です。ですが、大元の拠点がどこかまでは現時点では…」
「わかった。引き続き調べて。それで拠点の場所は?」
「こちらです」
拠点の場所に点をつけた地図を見せる。
「結構、離れてるな…」
「でも、離れてるってことは一つずつ潰していく方が効果的だね」
最初に1番遠い拠点を狙うことにした彼女たち。
「では、参ろうか」
「待ってください!アカリさん、これを…」
渡したのは、メイたちが着ているのと同じ黒いドレス。
「私たちは仲間なので、同じのを着てくださるとわかりやすいです!あと、おそらくお父さんが作ったものです」
「わかった」
こうして、アカリの部下たちも一緒に『サニー・ペインターズ』は、最初の拠点の襲撃へと向かった。
そして…
「ここが一番遠い拠点です。到着しました」
「では、私たち全員で行きましょう」
「ちょっと待った!人数が多い方が有利ではあるが、後ろから誰か援護して欲しい。前がやられたら、それは諸刃の剣になってしまう。誰か狙撃のスキル高い人はいないか?」
「それなら…」
「私、行きます!」
「マリィーだと安心だね。天性の才能があるもんね」
「では、これを渡そう」
渡されたのは長距離でも一撃で仕留められるスナイパーライフルだった。
「いい?これは反動が大きい分、威力が高い。間違っても私たちに当ててしまうんではないぞ。もちろんマリィーのその才能とやらを信じてはいるが」
「分かりました」
「一度練習させてみません?」
「わかった。おい、誰か彼女の特訓を手伝ってくれ」
こうして、マリィーがスナイパーとなるための特訓がはじまった。
一方、6人は拠点の観察を続けていた。
「今のところ、人の出入りはありませんね」
「もしかして、留守だったりして」
「いや、その逆もある」
「突っ込む時は慎重に行く。なんせ私たちには暗闇の雲に風穴をあけてソラのヒカリを入れてくれる『おひさまスナイパー・マリィー』がいるんだよ」
「うわ、強そう…」
早くもすごい異名がマリィーについてしまった。
そして…
「ただいま戻りました」
「ご苦労だった。特訓の成果はどうだ?」
「はい、瞬く間にライフルの反動になれて、50メートル先のリンゴの真ん中を抜いてました!あまりにもスゴすぎる。彼女の才能に全員驚いてました」
「さすが、あなた達が推していた才能の持ち主だ。いい、マリィー?これから、あなたは敵の誰にも見つかってはいけない役職になる。心してかかってくれ。今からあなたは『おひさまスナイパー・マリィー』だ!」
「なんか、スゴい名前ですね…」
「もし、心細いと思うなら、用心棒をつれてくがよい」
こうして女スナイパーとなったマリィーは、敵に見つからないように移動し始めた。
「いよいよですね」
「私たちにも後ろ盾はいるんで気楽に行きましょう!」
そして…
『バキューン、バキューン』
「この世界を、おまえらの好きにはさせない!」
そういって、最初の拠点を襲撃し始めた。
「な、な、なんだ!?お前ら、さっさと殺っちまえ!」
拠点を守っている男たちが応戦する。だが、さすが伝説の血を最初に受け継いだ女たち。慣れた銃さばきでどんどん倒していく。だが、
『バキューン!』『ビシッ!』
「きゃっ、私の銃が…」
ミクニの銃が弾かれてしまった。
「ガッハッハッ。散々手こずらせやがって。お前はここで終わりだ!」
「えっ、あ、もうダメだ…」
ミクニ、万事休す…
かと思ったその時。
「終わりなのはあなたの方です!」
『バキューン!』 『ブスッ!!』
「ぅっ…ぐ…」
突然横に倒れる男。
撃ったのはもちろん…
「あ、そうだった!私たちには『おひさまスナイパー・マリィー』がいたんだった!マリィー、感謝!」
「あっぶね。もう少しでミクニが死ぬとこだった。気付いた自分、ナイス!」
マリィーは、持ち前の反射神経と視野の広さでミクニのピンチを救った。
「スナイパーの面目躍如ですね」
そしてギリギリで助かったミクニは再び銃を持ち、ユウカと協力し拠点にいた敵を一人残らず仕留めきった。
「これで、全員ですかね?」
「そうみたいだね」
「では、これ以上悪が拡がらないように拠点ごと燃やそう。私たちの拠点と同じように…」
そして、アカリは建物に火をつけこの拠点を跡形もなく消し去った。
6人は帰りの道中でマリィーと合流した。
「マリィー!助けてくれてありがとう!」
「いえいえ、ホントにギリギリでした…」
「さっすが!『おひさまスナイパー・マリィー』!」
「その名前、ちょっと恥ずかしいです…」
「な、言っただろ?後ろから援護する人は必要だっただろ?私たちは一人も犠牲者を出さずにこのまま行くぞ」
「アカリ、助かった。恩に着る」
その後も、様々な拠点を襲撃し、味方のピンチの時はマリィーの援護射撃で乗り切り、ここまで6か所の攻略を終え未だ1人の犠牲者も出さずに来た。
そして…
「いよいよですね…」
「あぁ、次はいよいよ暗黒の軍団『シャドウ・クリエーターズ』の本拠地だ。今までとは比べものにならない強さだ。油断せずに行こう!」
「おぉー!!」
その頃『シャドウ・クリエーターズ』の本拠地では…
「ボス、申し訳ありません。我らの拠点がこの本拠地以外何者かによって攻略され全焼になってしまいました」
「何だと!?ったく、使えねえヤツらだな。誰だ!?」
「それが…たった6人の女たちによってやられました」
「女だと!?情けない!このままだとホントに野望は果たせなくなるぞ!しばらくはここの警備を完全に強化する。抜かるんじゃねぇぞ!」
こうして『シャドウ・クリエーターズ』の本拠地が鉄の要塞と化していった。
いよいよ、暗黒の軍団『シャドウ・クリエーターズ』の本拠地の場所を突き止めた『サニー・ペインターズ』。
最後の決戦の時が近づいてきた。
今一度気を引き締め、本拠地の近くまでやってきた。だがそこは、守りがカンペキな要塞のようだった。
「これではちょっと…とてもじゃないけど無理がありそう」
「アカリ、どうする?」
「仕方ない、プランBにするか。ねぇ、彼女たちにアレを渡して」
そういって渡されたのは真ん中に穴の空いた丸い鉄の筒。
「あなた達、コレを銃の先に付けてくれ」
よく見ると反対側にネジのような螺旋の模様が。
そして、
「試しに撃ってみてよ」
「私たちのこと、バレません!?」
「大丈夫、平気だから」
メイが撃ってみる。すると…
『…』
「メイ、今撃った?」
「うん」
「銃声が響かない…?」
「そう、渡したのは『サプレッサー』っていって撃った時に出る音が出なくなるスグレものさ。特にマリィーにとっては隠密行動がしやすくなるのさ。マリィーには先に渡しとくべきだったね」
こうして、新たな道具を得た彼女たちは覚悟を決め要塞を攻め落としに行った。
まだ、今日攻め落とされることをまだ知らない『シャドウ・クリエーターズ』の幹部たちは、
「ヤツらはまだ来ませんね…」
「ワタシの作った要塞に怯えてんじゃねぇのかなっはっはっは」
「だが、万が一に備え警備は怠らない。頼むぞ」
何時でも来られてもいいように万全の準備をしていた。
一方、向こうにバレずに入口の近くまでやってきた彼女たち。いよいよ、決死の潜入が始まる。
『(バキューン、バキューン)』
「うっ…」「うっ…」
入口を守っていた2人を倒す。
そして、要塞の中へ…
「ここは3人ずつに別れよう。次に出会うのはボスのいる塔の中だ。それまで殺られるなよ。あとマリィーの存在もバレてはいけないからね」
こうして、メイ・ユウカ・ヒナ組とアカリ・キラ・ミクニ組に別れて塔をめざした。
その頃、アカリの部下2人を用心棒に連れてきたマリィーは、狙撃できる位置へ来た。
「この位置からだと、援護できる。今回も私の腕でピンチを救ってあげるから頑張って」
そう念じたその時…
「マリィーさん、危ない!」
2人がマリィーを引っ張る。
『バキューン』 『ビシッ』
「きゃっ」
マリィーには当たらなかった。だが、
「お兄さんたち、大丈夫ですか!?」
「あぁ、あなたは大丈夫のようですね。どうやら、敵にもスナイパーがいたようですね…」
「マリィーさん、どうかアカリさんとみなさんのことをよろしくお願いします…」
運悪く、2人とも敵の撃った同じ弾で体を撃ち抜かれ、そのまま死んでいった。
「よくも大事な仲間を…!絶対に仕留めてやる!」
感情的になるマリィー。しかし、
「そうだ、感情的になっちゃダメって言われてた」
ここで特訓の時に言われたことを思い出す。
「いいですか?スナイパーは存在がバレてしまうと意味がありません。どんなに感情的になってしまうことがあっても、表に出さず感情を押し殺さなければいけません。前にいる人たちは、あなたが殺られてしまうことで頼るものが無くなってしまい自分たちの勝利が遠のいてしまいます。それほどこのポジションは大事なのです」
教えてくれたのは先ほど身を呈してマリィーの盾になってくれた方だった。
「あなたが教えてくれたこの教訓、活かします」
マリィーは再び無の感情になり、敵のスナイパーを探した。
「そう、全集中…でも、殺気は出すな…焦るな…自分…いつか向こうからボロが出てくる…その時に……殺る」
一方、敵のスナイパーは、
「ちっ、今のは邪魔者が消えただけか…
まぁいい。アイツにはもう護るものがない。次の一発で………仕留める」
こちらも臨戦態勢。
2人とも相手に気配を悟られないように移動していく。
狙いを定める両者。
「ちっ、見つからねぇな。アイツ、どこいった?」
「この相手、なかなか手強いですね…」
その頃…
『(バキューン)』 『ビシッ』
「うわっ…」
要塞を守っている男たちを次々と倒していく6人。
「今回、マリィーの援護、1回も無かったですね…」
「おかしいな…マリィーの身になにか起こってそうな気がします…」
「でも、マリィーは大丈夫だと信じよう。仲間を信じる気持ち、大事!」
「マリィー、今回何も助けて来ませんね」
「少し嫌な予感がするが…」
「マリィーならきっと大丈夫ですよ!そう信じましょう!」
「無事ならいいのだが…」
その頃…
「そろそろ私が仕留めないとみなさんがピンチになってしまう…」
少しマリィーは焦りはじめた。で、案の定…
「お、アイツみーっけ。結構手こずらせてしまったが大したこと無かったな」
敵のスナイパーに、気配を悟られてしまった。
スナイパーライフルのスコープを覗き照準をマリィーに合わせゆっくり引き金を引こうとする。
「これでジ・エンドだ」
その時…
『ビシッ!』
敵のスナイパーの手はいつの間にか血まみれになっていた…
もう一度スコープを覗く。すると…
「なぜ、アイツがオレの方に向けて撃ってやがる…」
それは、こちらを捕捉し狙撃するマリィーの姿だった。
もう一度マリィーのことを撃とうとするスナイパー。だが、
『ビシッ!』 「ゔっ…!」
こんどはライフルが弾かれる。
その後も、マリィーは両腕を狙撃し完全に撃てなくした。
スナイパーに近寄るマリィー。
「どうして、ここにいるとわかった?」
「あなたは、私に照準を合わせている時から殺気が凄かったです。存在こそ薄かったのですが時間経過による焦りで次第に隠しきれずにボロが出てしまった。それがあなたの運の尽きです」
「スナイパーとしてのスキルがお前より下だなんてありえない!お前…ころ…」
「いや、私のことを見下した時点であなたは私より下。どんな相手でも手を抜かずに挑むのが強者であるべきです。あ、スナイパーは頭を狙うんでしたっけ?これで、あなたはチェックメイトです」
『(バキューン)』
「ゔっ…ぐぐぐぐ…」
完全に仕留め切ったマリィーは、はじめての狙撃戦を勝利で収めた。
その頃6人はピンチになっていた…
「ヤバい、囲まれた…」
「道半ばで終わるのだけはイヤ!」
「助けてくれぇ〜」
『マリィー!』
「あぁ、囲まれたな」
「くそ、マリィーはどうしたんだ?」
「もう一度私たちを助けてください」
『マリィー!』
その時…
『ビシッ!』もう一方でも『ビシッ!』
囲んでいた男たちが倒れる。
『…………マリィー!!』
彼女たちの目には、誰から見てもかっこいいと思える姿勢で狙撃を決めたマリィーの姿だった。
「遅くなってごめんなさい…」
「ったく、ヒヤヒヤしたぁ〜」
「さすがだね」
「信じるしかねぇかったので」
「信じてよかった」
「また私たちを助けてくれました!」
「このポジション、様になってるな」
6人はマリィーに感謝し、ボスの待つ塔の中へ入った。
まだ、塔の外がたいへんなことになっているとは知らない『シャドウ・クリエーターズ』の幹部たち。ようやく外の状況を確認した。
「ボス、あの…外の者が全員やられてます…」
「なんだと!?なぜ誰もこのことに気が付かないのだ?まさか…他の拠点を全て襲ったヤツらが来たんじゃねぇのか?」
「その…まさかだよ!」
『(バキューン)』 『パリーン』
花瓶が割れる。
「そうだよ!私たちが全て拠点を破壊した!」
「あなた達が世界を悪に染めるとお聞きしたのでね…」
「あなた達の好きにはさせません!」
「あんた達の野望はここで潰えてもらう」
「私たちの拠点がやられたお返し、させてもらうよ」
「待て、外の者達の他にスナイパーを忍び込ませたがそいつは?」
「知らないよ?全く狙撃もされてないし」
ボスがスナイパーのいる場所を望遠鏡で確認する。
目に映ったのは、トドメを刺され血を流してるスナイパーの姿だった。
「なぜ!?いつの間に!?誰が殺ったのだ?教えろ」
「いや、知りませんよ。私たちも今はじめて知りましたもん」
ここでメイたち6人はマリィーの援護がなかった理由に気付いた。
「(ナイスだったよ、マリィー)」
「(コレもある意味、援護だったのかもね。サンキュー)」
「(マリィーしか、勝たん!)」
「(マリィー、さすがです!)」
「(助かったぞ、マリィー)」
「(『おひさまスナイパー・マリィー』の本領発揮してるじゃん!)」
ボスにマリィーの存在がバレぬよう、心の中で喜んだ。
「なんか知らんけど、よくここまで来れたな。でも、私もまだ野望は諦めては無い。まずは、私と闘える器かどうか確かめさせてもらう。お前たち2人、相手してやれ。もちろん、手は抜く必要ないがトドメは刺すな」
幹部2人が近接武器を手に襲いかかる。
「オリャー!」
今まで近接武器を持つ相手と戦ったことの無いメイたちにとって、未知の相手だった。
「ゔっ…今までの相手より強い…」
「早すぎて、目が追いつかない!」
「ヤバい、このままだと…」
「やられてしまう!」
気づけば、防戦一方になってしまう。
「だけど、今は防御するので精一杯!」
「塔の中だから、狙撃の射線は通らない。ヤバいぞ」
負け知らずの彼女たちに訪れた、正真正銘の大ピンチ。
どんどん、劣勢になっていく。
「なんだ、お前たちの実力はそんなものか!使う武器変えただけでこんなに違うのか…ハッハッハ」
「ちょっと拍子抜けなんですけど?」
「まだ、私を倒すにはまだまだのようだな。ゲームオーバー、お前たちの負けだ…トドメを刺せ」
6人は完全に終わったと思った。そして、幹部の2人がトドメを刺そうとした、その時だった。
「まだ、勝負は決まっていません!」
現れたのは、マリィーだった。
「マリィー!」
「やっぱりまだいたのか。外のスナイパーは、お前がやったのか?」
「そうだよ!私がやった。だって私は、『おひさまスナイパー・マリィー』なんだから!私にかかればちょちょいのちょいだったわ。だって、アイツ、自分が上だって驕り高ぶってたもん。だから腹立って返り討ちにしてやった」
「(マリィー、意外と感情的だったんだ…)」
マリィーのことをよく知る5人はそう思った。
「スナイパーを倒したことは誉めてやろう。だが、私に勝てなければ意味が無い。ほらお前たち、やれ!」
再び近接武器を手に幹部の2人はマリィーに襲いかかる。
すると、マリィーは壁に刺さってた武器を取り2人に立ち向かった。
『カーン カーン ガギッ』
「おぉ、やるじゃねぇか」
2人を相手しているのに対等にやり合っていた。
だが、マリィーはコーナーに追い詰められてしまった。
「お前も所詮、弱かったな。コレで終わりだ!」
その時…
『グサグサッ…』
突然、壁を蹴り2人の間を低空姿勢で突っ切ったマリィー。手には近接武器を手にしていない。マリィーの持っていた武器はどこにあるのか?すると…
『ぐはっ…』
倒れる幹部2人。よく見ると2人の胸にはマリィーの持っていた近接武器が刺さっていた。
今のマリィーの刺し方は、まるで忍者がやるトドメの刺し方そのものだった。
「やっぱり、最後に油断しましたね」
スキを狙っていたマリィーが2人を完全に倒し切った。
「ほぉ、やるじゃねぇか、あの2人をキレイに倒し切るとは。この小娘となら私といい勝負になるだろう。では、ここからは私が相手になる。行くぞ!」
ボスも両手に近接武器をもち、マリィーを相手した。
さすがは悪の軍団のボス、2人とは段違いの強さでマリィーを圧倒していく。
「どうしたどうした?さっきの勢いはどこ行った?」
じわじわと壁に追い詰められていくマリィー。
すると…
「ゔっ… ま、ま、眩しい…」
メイたち6人は塔の中の鏡を集め、塔の光を反射させボスの目を眩ませたのだ。
そして…
『グサッ!』
「ゔっぐぐぐぐ…」
足と腕に深い切り傷をボスに負わせた。勝負あり。
「コレで私の勝ちです。あなたの野望はここで潰えました。観念してください」
そして、マリィーが最後の一撃を刺そうとすると
「止めて――――――!」
誰かが大きな声で叫ぶ。
「え?」戸惑うマリィー。
「私、やっと気づいた。ねぇ、あなたは私の…お母さんだよね?」
ボスがヘトヘトになりながらも立ち上がる。
「ようやく気付いたか…途中で捨てたりして悪かったな、アカリ」
「やっぱり、お母さんだったのね…」
正気に戻ったボスの正体はアカリの母だったのだ。
「アカリ、今まで迷惑をかけてすまなかった。ある日突然誰かに洗脳されてしまって…気付いた頃には夫婦ともに豹変しまって、アカリを捨て、それぞれ悪い事に手を染めてしまった。今まで辛かったろう?ゴメンな」
「いいのいいの…途中でこの顔、何処かで見たことがあるって思って、自分の記憶をたどったの。そして、今になってようやくたどり着いた。優しく世話してくれたお母さんの姿を思い出したんだ。お母さん、よく無事だったね…」
「あの娘に足と腕を切りつけられて、痛みを感じたことで洗脳が解け、アカリのことを思い出した。トドメを刺される前にアカリが気付いてくれて良かった。あなたもよく、アカリの声を受け入れてくれた」
「マリィー、ありがとう。私の叫びを聞いてくれて」
「いや、魂の叫びみたいだったもので…でも、良かったです、家族の絆で元に戻れたのは」
あと1歩遅かったらマリィーのせいで目の前で母を失うところだったアカリ。心からの大きな叫びで母を救ったのだ。
「アカリ、お父さんはどうしたの…?」
「それは…」
「すいません!私たちが…」
「そうか…」
ここで、ボス改めアカリの母に詳細を伝えた。
「当時は彼女たちもお父さんのせいでひどい目に遭っていたみたいなの。許してあげて」
「あの時はうちの主人が申し訳ないことをしました。主人はけっこう残虐なことをされてたのですね。それなのに、あなた達はよく生き延びてましたね。何かすごい能力とかお持ちなんですか?」
「いえ、すごい能力なのか分からないんですけど…」
「『ダーティー・ハリー』の血、受け継がせてもらってます!」
「あら、そんなもの、どこで…?」
「私の隣にいる人…この人は私と競った『ダーティー・ハリー』の一番弟子なんだ!」
「それで、彼女から受け継いだというのね…」
「そう、母を探していた時に彼女のことを見つけた。当時はライバル関係だった彼女の力なしではココにたどり着けなかった。互いに切磋琢磨した絆は途切れてはいなかったんだ」
「私もアカリと出会った時に運命を感じた。神様が巡り合わせたみたいだった」
「人とは何かの絆で結ばれているんだね…」
人間関係の深みを知った彼女たち。何かのキッカケで出会い、それが今になって大事なものだったと知る。
そして、傷だらけになったアカリの母とともに塔の外に出ると…
「晴れてきましたね…」
今まで曇り空だった空に雲の切れ目から太陽の光が差し込んできた。
「今回も、作成大成功でしたね」
「そうだね、ちょっと結末は違ったけど…」
「そうだ、お母さん…その傷はどうするの?」
「この傷は、私のせいで迷惑をかけてしまった人達からの戒めとして、残したままにする。二度と同じ過ちを繰り返さないように…とね」
「では…最後の決めゼリフ、言っちゃいますか!」
「せーの!」
「空にかかる邪悪な雲、ソラのヒカリで消えてなくなれ!ウィーアー『サニー・ペインターズ』!」
またひとつ、悪夢の雲が彼女たちの手によって消し去られていった。