2024/03/03 読書記録 こどもの哲学・大人の絵本 赤瀬川原平
赤瀬川原平の「子供の哲学・大人の絵本」3部作を読んだ。
・不思議なお金
・自分の謎
・四角形の歴史
一番面白かった「四角形の歴史」について書いてみることにする。
最初に、犬は景色を見ていない、とある。
それはそうだろう…
犬の関心は目の前の食べ物、あるいは食べ物を与えてくれる人だけだ。
意識しなければ、見えないのは人間も同じである。人も昔は風景を見ていなかった、と赤瀬川さんは言う。人が風景画を描き始めたのは、モネやピサロやゴッホなど、印象派画家が台頭してからだ。それまでは、人物、建物、事件などだけで、風景は描かれていない。
絵が四角い画面に描かれるようになって、人は余白というものに気づいた。そもそも現実世界に余白なんてないのに。そして、風景を意識するようになった。四角いフレームがなければ、人も、犬の目のままだった、と赤瀬川さんは推論する。
太陽も月も丸い。自然界を見渡しても四角形は見当たらない。四角形は人間の頭の中で生まれた、人間の特許だ。と、赤瀬川がさんは言う。
この本の中で、ここまでが特に面白いと感じた。
さて、人の頭の中で、どのようにして四角形が生まれたのかは本を読んでもらうことにしよう(笑)
この本の最後には、四角を形づくるフレームが歳をとると曖昧になり、やがて視界から消え、自分がそのまま風景の中を旅行しているようなもので、余白はもうどこにもなくっているのではないか、と書かれている。赤瀬川さんの言わんとすることが、いまいち私には理解できないのだが…。人はボケると言いたいわけではないだろう(笑)
赤瀬川さんは、最初に出てきた犬を、犬の目をけっしてバカにしているわけではない。犬は風景は見えないが無意味が見える、と言っている。
人は歳を重ねることで、犬の目となり、無意味が見えるようになるということではないだろうか。無意味を眺めるのは気持ちいい、とも書かれている。