子供の”遊び心”を育てるのは、将来の不測で困難な事態に対応するため
「夢に向かって頑張る」より「夢に向かって”遊ぶ”」ほうが脳に良い話を4日連続でボソッとさせていただきましたが、野球パパコーチである私が子供に「夢に向かって”遊ぶ”」ことの大切さを教える理由を改めて考えてみました。
今回は「夢に向かって”遊ぶ”」ボソッとの最終回、『なぜ私たち大人は子供に夢に向かって”遊ぶ”大切さを教えるのか?』について考えてみたいと思います。
と言っても、私自体、日ごろ遊び心を持って日常生活を送っているわけでもないし、最近、大人の遊びの感度が弱っていると言われている昨今、その弱っているメンバーの1人であるでしょうから、皆さんに偉そうなことは決して言える立場ではありません。
そこで、遊び心を追求しながら世界と戦ってきた人物の実際のお話をご紹介したいと思います。
その指南役とは・・・・
元陸上競技選手である為末大さん。
「夢に向かって”遊ぶ”」可能性について教えてくれたNHK番組『ヒューマニエンス 40億年のたくらみ』「“遊び” それは人類の可能性の宝庫」に出演された為末さんのお言葉をご紹介しながら、子供の”遊び心”を育てる大切さについて考えてみたいと思います。
スポーツは遊びである
NHK番組『ヒューマニエンス 40億年のたくらみ』「“遊び” それは人類の可能性の宝庫」では、為末さんは自分の競技人生で一番大事だったコンセプトが”遊び”だったことをおっしゃっておりました。
為末さんはホイジンガ著『ホモ・ルーデンス』を読むことで、ホイジンガが書いた”スポーツは遊びである”に共感、この本からスポーツのコンセプトが何なのかを教わり、そして”遊び”というコンセプトを取り入れた競技人生を送ったそうです。
その競技人生の中でも日々の反復練習の繰り返し、結果もすぐには出ない日々が続く中で、自分のモチベーションを高めるためにも、為末さんは常に実験のようなものを行っていたそうです。それはとっても楽しくて、遊びのような実験です。
【実践】目標を小さくして楽しい実験で遊んでもらう
為末さんのおっしゃった言葉にもありますが、腕の振り方を変えてみたり、スピードスケートの人の真似を取り入れたりと、陸上競技という枠組みを自分なりに変えたり、色々な世界から教わったことを取り入れて見方を変えたりしながら、遊ぶことを常に大事にした競技人生を送っていたというお話、このお話をそのまま子供たちにも伝えてみてはいかがでしょうか。
その際に、この話に興味を持った子供にひとつアドバイスをするならば・・・
為末さんも腕の強弱で走りはどうなるか?といった”小さな目標”に落とし込んでから実験してました。子供たちにも同じようにやってもらいたいですね。
大きな目標:ホームランを打ちたい
これを小さな目標に切り分け、ひとつひとつ毎日実験してもらう。
例えば、こんな”遊びの実験”はいかがでしょうか。
小さな目標①:フルスイングで毎日何本素振りができるのか?
小さな目標②:テニスラケットでフルスイングしてボールを飛ばせるのか?
小さな目標③:フルスイングだとバットにボールを当てられるのか?
小さな目標④:バットにボールを高い確率で当てられるのはどくらいのスイングスピードか?
小さな目標⑤:徐々にスイングスピードを上げていくと、どのスピードならば高い確率でボールに当てられるのか?
バットの振り方の強弱をつけながらボールを飛ばす実験、テニスという他のスポーツを取り入れた実験などなど、子供たちの遊び心に火をつけさせる実験は、子供たち自身でどんどん考えていってくれるのではないでしょうか。
大人が関わると遊び心は育たない
大人が教えすぎると子供の遊び心は育たない
これに尽きるのでしょう。
大人が関わると遊びじゃなくなる、
大人が良ければと思って教えたものが子供の育成の弊害となるかもしれない。
野球においても子供は自由に野球で遊んでいるだけ、それ以外なんでもないもの。
そこに大人が関わると、野球は遊びではなくなり、責任と義務感を感じながら子供たちは野球をやることになる。
子供は楽しみにしていた野球の試合なのに、大人の余計な一言で楽しい野球の試合は”義務野球”となってしまう。
例えば、こんな大人の一言でも”義務野球”になってしまいます。
以前、私のボソッとでもお伝えしましたが『子供たちに教えてはいけないこと~データ分析オヤジはご注意を!』の回でも「対戦相手に関するデータ分析をするオヤジはご注意を。そのデータは子供には教えないでください」というボソッとをしましたが、まさにこれですね。
そんなことを試合前に伝えたばかりに、子どもには責任と義務感を感じさせながら試合を迎えることになります。このような大人の一言によって子供の直観力を鍛えられるチャンスを失うばかりか、結局、大人の言われたことを忠実に守ろうとする”義務野球”を子どもたちはやろうとしてしまいます。つまり、楽しい試合で子供たちは自由に遊べるチャンスを失ってしまう、子供たちの遊び心も鍛えられない結果となります。
遊びは不測の事態も困難な状況も乗り越える力を与えてくれる
NHK番組『ヒューマニエンス 40億年のたくらみ』「“遊び” それは人類の可能性の宝庫」では、遊びによって、不測の時代が起きたときに役に立つ脳のモデルベースシステムを高める、遊びの経験の豊富な人の方が、困難に遭遇した時の対応力や落ち込みからの回復力(レジリエンス)が高いことを、番組では教えてくれましたが、為末さんもご自身の経験から、不測の事態も困難な状況も乗り越える力を遊びによって高めてくれるとおっしゃってくれています。
遊び心は突然変異を起こす力ではないか?
番組最後で為末さんが語ってくれたことをご紹介します。
これを読んだら、誰かのことを思い出しませんか?いま野球界で最も注目されている選手、そう大谷選手のことですね。
大谷選手が子供の頃から大事にしてきたことはたくさん報道されていますので皆さんもご存知ですよね。そんな大谷選手のことを想像すると・・・分かりますよね、大谷選手は遊び心を持って夢をかなえている選手だってことを。だから、こう妄想してみませんか?
大谷選手は高い遊び心が育ったため、突然変異を起こしたのではないか?