良い曲は”持つことに意味がある”と考える時代~手段が多様化する音楽
今日は大変驚いたニュースがありました、個人的にですが・・・
「レコード販売がCDを上回る」
アメリカではレコードの人気が復活したことで、とうとう35年ぶりにCDの売り上げを上回ったというニュース。
こんな時代が到来するとは・・・
音楽ファンでもある私は想像すらできなかったことが、とうとう起きたんだ!
「35年ぶり」という年数をみて更に驚きましたが、そうですね、私が物心つく頃には既に”CDがアタリマエ”だったわけですから、
CD全盛時代に生き抜いた私にとっては、このニュースはあまりにも衝撃的でした。
ちなみに、私は音楽ファンと言いましたが、私にとっての音楽全盛期は私が10代~20代の頃です。
そのため、ここ最近はCDを購入すらしなかったし、新しい音楽にも触れる機会もありませんでしたので、
私が知らないところでこの”逆転現象”が現実となったことに、ショックを受けたというわけです。
私だって若いころは音楽とともに生きたという意地もありますから、
CDが衰退した現実を直視しながら、”逆転現象”について考えてみたいと思います。
結論から言いますと、”逆転現象”を起こしたこのトレンドとは・・・・
”役に立つのも欲しいし、意味のあるものも欲しい”という価値観が広がっている
ということだと私は思っております。
35年ぶりにレコード販売がCDを上回る
それでは、このニュースを国際ニュースではどのように伝えられたかをご紹介しましょう。
アメリカレコード協会によると、去年2022年の販売枚数は4,100万枚、CDは3,300万枚となり、レコード盤の売り上げが、1987年以降はじめてCDの売り上げを抜きました。
毎週のようにレコード店に来る方
「スペースをとるし重いけど、人生の楽しみ、大好きです」
若いレコードファンも増えています。
インターネットのストリーミング配信が増える中、音なのか、ジャケットなのか、レコードは広い年齢層を店に呼び戻しています。
この現象は”アナログブームの到来”なのか!?
レコード盤がCDよりも売れるこの時代、”アナログブームの到来”と表現しているところもありますが、ちょっと違和感を感じています、なぜなら・・・
”これはアナログブームの到来ではない”
実は、私の若いころ(1990年代から2000年代)にもレコード盤への回帰現象が起こったことがありました。
そのころ、私はCDがメインだったのですが、いくつかレコード盤を買っていたこともあったのです。
この時代にも”アナログブームの到来”とは言われておりましたが、最前線にいる私たちはこう考えていました。
もちろん、アナログとしてのレコード盤の新鮮さを感じていましたよ。
「レコードの針を落とした瞬間、音が鳴るまでドキドキするのって新鮮!」
「なんかデジタルにはない”ボワッと”とか”ツッツツツ”みたいな音が聞こえてくるの新鮮!」
良い曲を”持つことに意味がある”
では、なぜ私はあの頃、レコード盤を買ったのでしょう。それは・・・
「アナログとかデジタルとか関係ない、ただレコード盤がカッコいいから買っただけ!」
自分の好きなミュージシャンのアルバムジャケットがCDよりもはるかに大きなレコード盤になっているんですよ、
もう憧れ以外に何もないですよ、もうすぐに飛びつきましたね。
あの頃の私の部屋は「そびえ立つCDラック」に200枚くらいのCDを並べていました。
音楽をかけながらそのCDラックを見ながらお酒飲むがカッコいいと思っていた自分、
ところがレコード盤も飾ってみると、大好きなジャケットのインパクトでやられました、もうね、”トレンディ”でカッコいい部屋になったことをよく覚えています。
つまり、アナログが良いという価値観ではなく、良い曲を”持ちたい”ということに最大の価値観を感じて、私はレコード盤を買っていました。
私の好きな本でもある『ニュータイプの時代』の作者でもある山口周さんがこの本でおっしゃっていたこと、
「役に立つ」から「意味がある」へ
レコードがCDを上回った逆転現象を表現するに適した言葉、
”レコード盤に意味を見出した現象”
役に立つのも欲しいし、意味のあるものも欲しい
音楽記憶媒体としてレコードやCDが誕生しましたが、いまの時代、ストリーミング・サービスが主流になってきたため、CDの売り上げは減少の一途をたどっていました。
では、レコードが盛り返してきたから、今後の主流はレコードとなるのか?ということには、誰もがそう思わないでしょう。
「主流は今まで通りストリーミング・サービスだろうな」
ストリーミング・サービスはやっぱり便利だし、安いし!
でも、好きな曲や、カッコいいジャケットは所持したいからレコードを買いたい!
つまり、これからの音楽業界のブームキーワードは
”役に立つのも欲しいし、意味のあるものも欲しい”
多様な手段を用いて音楽を楽しむことが、これからの音楽のトレンドなんでしょうね。
なぜ”CDを持つ”ことを選ばなかったのか?という疑問
ただ、私はこの”逆転現象”が起こった理由がいまいちわかっていなんです。
ストリーミング・サービスの普及によって曲を自分が所持することができない中で、
所持する手段はなぜCDではなかったのでしょうか・・・という疑問です。
CDにもジャケットがあるし、インテリアとしてもレコードにも負けていない。
それに、いまのZ世代は、CDを買ったことがないですよね?
CDよりもレコードが良いという好みとして考えるならば、CDを買ったことがない若者がなぜレコードを選んだのか?
それでも、CDよりもレコードが売れる時代となったわけだから、
きっと、CDよりも大きいジャケットでインパクトが大きいから”映える”とか、
CDよりもレコードのほうが”かわいい”とか”大事にしたい”という気持ちにさせてくれるから、
そんな価値観があるからこそ、レコードが選ばれたのでしょうね。
価格比較から考える
なぜ私がCDを選ばなかったという疑問を持った最大の理由は、実は【価格】にあったんです。
CDとレコードの価格比較を行ってみて、「それでもレコードを選んだのか・・・」と、疑問が更に深まったんです。
尚、ここ最近、レコードショップに行ったことがない私にとっては実情を把握していないかもしれませんが、AmazonとHMVのネットショップでの販売価格を調べた結果がこちらです。
ちなみに、「世界中でどのレコードが売れているの?」ということを調べたところ、
アメリカでは、人気歌手テイラー・スウィフトさんの新作がものすごく売れたようです。
イギリスでは、古いものが売れたそうで、その中に私が大好きだったオアシスの『モーニング・グローリー』がありましたので、
この2作品の価格比較を行ってみました。
価格比較(主にAmazonでの販売調査)
<テイラー・スウィフト『Midnights』>
CD:¥1,699
レコード:¥5,028
<オアシス『モーニング・グローリー』>
CD:¥1,956
レコード:¥4,782(※HMVだと¥2,371)
参考:
<ストリーミング・サービスのサブスク(サブスクリプション)>
\1,000/月ほどの定額制で音楽が聴き放題。
90年代においては、CDもレコードも同じ価格帯で販売していた記憶があるので、
この驚きの価格差が生じているのに、あえてレコードを選ぶとは・・・最大の疑問です。
私の勝手な妄想ですが、
めちゃくちゃ安いストリーミング・サービスのおかげで、音楽にかけるお金が余っているから、
趣味の領域として”お金をかけてレコードを所持する”ことができる。
なぜなら、私がCDを購入していたころは、毎週末のようにレコードショップに行って、
毎週のようにCDアルバムを購入していたので・・・月に1万円は音楽予算として計上していたはず。
あっ、そう考えると、腑に落ちた。
ストリーミング・サービスのサブスクでガンガン音楽聞いて、
最高に好きになったものを高いお金を出してでもレコードで買って、所持して、そして愛でる。
レコードを聴けない人でもレコードを買う時代。
山口周さんがおっしゃる通り、『ニュータイプの時代』到来ですね!